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2013年11月21日木曜日

研究発表会

先日,ある理科関係の研究発表会に行ってきました。

理科の仕事をしているとはいえ,所詮書籍教材編集ですので,実験や観察に直に触れ合う機会は殆どありません。

そのため,どうしても知識面では文献頼りになりがちです。

その文献も,義務教育の仕事をしていると,どうしても教科書に沿うことが前提となります。

とはいえ,その教科書も,教科書会社によって微妙に表現や科学的見解に違いがありますし,小学生の教科書,中学生の教科書,高校生の教科書を見比べると,それぞれ表現の仕方や,学齢に応じたグレーゾーンなども多くあるため,いろいろと違う部分が多々あります。

それらを踏まえつつ,さらに教科書の指導書や教授資料を参考文献として教材を制作するのですが,研究会に参加すると,やはり机上の勉強だけでは限界を感じさせられます。

「教科書通りには実験はうまくいかないからこうしたほうがよい」とか,「実験がうまくいかない場合の理由を指導書にはこう書かれているが,おそらくこっちのほうが可能性が高い」とか,そういうのは実際に実験を行っている先生たちだからこそ分かることであり,実験ができない立場としては,研究会は間接的に疑似体験させてもらえる貴重な機会でもあります。

机の上ばかりで編集していると,思い込みに陥りやすくなるので,ときどき研究発表会のようなところに参加するのは,偏った知識をリセットする意味でも,とても勉強になります。

時間の取れるときは,積極的に参加したいものです。


2012年4月16日月曜日

新教科書情報

4月から中学校では新しい教科書が使用されているわけですが,先生方の疑問に応える形で,教科書会社がホームページ上でQ&Aなどを公開していますね。

啓林館では,「未来へひろがるサイエンスQ&A」が公開されています。
http://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/j-scie/q_a/index.html

文部科学省からの検定意見によるという表現も多いですが,参考になる内容も多々あります。

また,東京書籍には「教室の窓」というページが公開されており,こちらも脂肪の分解や新生代の件など,参考になります。
http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/downloadfr1/htm/jrd86710.htm

2010年12月5日日曜日

時制の一致

英文法の話のようですが,理科教材でも,時制を意識する必要があります。

理科では実験や観察などにおいて,その結果どうなったかということを問題として問うことがあります。

そんなとき,問題では「~しましたか」とか「~どうなりますか」といったように,過去形で問うことがあります。

このときの答えは「~しました」や「~なった」というように,過去形で答えるのが基本です。

実験や観察の結果どうなったかを問うているのに,「~なる」というように,結果が出る前のような答え方は理科としてどうかと思います。

この時制の一致に対して意識の低い方がときどき見られますが,個人的には基本中の基本だと思っています。

理科教材の制作では,必ず意識して欲しいと思います。

設定の重要性

理科の教材を制作しているのならば,問題等の設定も,科学的におかしくないかどうかということを意識するのが基本だと思います。

圧力や密度,速度などの計算問題で,計算しやすい数値を設定したときに,計算上は正しくても,実際にありえない数値を用いるのは,理科教材としてはどうかと思います。

意外と“その程度のこと”くらいにしか思っていない人がいることに時々げんなりするのですが,そこはこだわって欲しいものです。

たとえば,圧力の問題であれば,底面積の大きさと質量の大きさの関係から,その物体がありえるかどうか。

ときどきあるのが,実際は少しの風で倒れてしまいそうなくらい軽い物体になっていたり,金よりも密度が大きい物体になっていたりとか。

現実味のある設定にしてほしいものですし,その設定と図をある程度正確に描いてほしいものです。


密度に関する計算問題でも同様ですね。


また,水槽に水を入れる設定であれば,水の密度も意識して条件設定してほしいものです。

水槽の底面積を大きく設定しすぎて,質量から換算すると,水深がすさまじく浅かったり,すさまじく深かったりと,いくら計算しやすくなっていても,非現実的であれば,それは理科教材としてどうかと思います。


また,速さを計算させる問題で,人の走る速さがウサイン・ボルトより速かったり,自動車の速さが法廷速度より極端に速かったり,以前も書きましたが,地震波の速さを求めるさせる問題で,実際のP波やS波の速さより速すぎたりと,科学的なことをまったく考慮していない問題をときどき見かけます。


執筆者(作問者),編集者,校正者…,理科教材制作において内容に携わる方は,必ず意識して欲しい観点だと,個人的には思っています。

2010年10月25日月曜日

独立変数と従属変数

通常グラフでは,横軸に独立変数,つまり原因となる変化させる値を,縦軸に従属変数,つまり結果となる変化した値を示します。

そのグラフについて文章中で示すときも,基本的には「変化させる値(横軸)⇒変化した値(縦軸)」の順に示します。

意外と問題文を読んでいると違和感なく過ぎてしまいそうですが,原因があって結果があるので,必ずその順に文章も展開するのが基本となります。

いままで意識していなかった方は,意識して執筆・編集・校正に取り組んでみてはいかがでしょうか。

2010年9月25日土曜日

新常用漢字…12年度導入⇒入試は15年度から

新常用漢字について,学校現場での導入は2012年度,入試での導入は2015年度からという報道がありました。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100925-OYT1T00040.htm

つまり,中学校での新学習指導要領が開始する2年後から開始です。

ということは,新学習指導要領版となる新教科書も,2012年度からの導入に向けて新常用漢字を追加するということでしょうか。

そうなると,来年の5月頃には発表される教科書を製作している教科書出版社の編集者さんたちは,この決定を受けて,これから多大な労力をかけて修正を加えていく作業が入るのでしょう。

印刷・製本等の時間を考えるとそれほど余裕が無い中,これから修正を加えてミスの無いように校正をするなどの工程を踏んでいくとなると,かなり大変だと思われます。

この結論を出すのであれば,決定が遅すぎではないでしょうか。

2010年9月11日土曜日

「デジタル教育は日本を滅ぼす」

少し前の日経新聞に広告として掲載されていて気になっていた,田原総一朗著の「緊急提言! デジタル教育は日本を滅ぼす」(ポプラ社)を読みました。

タイトルとは裏腹にデジタル教育に関する内容は少なかったのですが,現在のデジタル教育が叫ばれるまでに至る,これまでの教育論の変化などを,さまざまな関係者の立場や話なども踏まえて述べられていました。

結論として,この本における田原氏の主張は,個人的には概ね賛同できました。

また改めて,「ゆとり教育」に対する自分の中での捉え方が,しっかりと肯定された気もします。

新学習指導要領になり学習内容が大幅に増えますが,教育としては「ゆとり教育」のままであるほうが,やはりよいかと思います。

しかし,その「ゆとり」を履き違えると,結局これまでと変わりません。

そこが難しいところです。

理科教材制作と話を結びつけると,執筆や編集に携わる人が知識詰め込み型のタイプであると,理科の本当の意味も本当の楽しさも,何もかもが伝わらず,理科ってつまらないな…ということが紙面から伝わってきます。

教材制作に携わる人も,ゆとり教育の本当の意味は何だったのかということをしっかりと受け止め,それを紙面に反映していかなければならないと個人的には思います。

新常用漢字続報

『196の新常用漢字,中学で「読み」指導へ 高校入試も?』という記事がありました。

http://www.asahi.com/national/update/0909/TKY201009080517.html?ref=rss

以前も書きましたが,理科に影響する新常用漢字はたくさんあります。

個人的には「ほ乳類」などのかな漢字混ざりは読みにくい上に意味も分かりにくいので,「哺乳類」というように漢字にしてしまったほうがよいと思っています。

しかし教材屋としては,このタイミングでまだ確定していないのであれば,現行通りにして欲しいというのが本音ですね。

校了間近のものすべてに変更を反映するのは,かなりの労力を要しますので…。

いずれにしても,もう少し見守りたいと思います。

2010年8月15日日曜日

「男女別教育は学力アップ」 シンポで報告(産経ニュース)

8月10日に,東京のアルカディア市ヶ谷で,「第1回男女別学教育シンポジウム」がありました。

そのシンポについて,産経ニュースで取り上げられていたので,ご紹介いたします。

http://sankei.jp.msn.com/life/education/100815/edc1008152034007-n1.htm

このシンポは興味があったのですが,目先の仕事が忙しかったのと,休日に片道1時間半かけて行くことに少々二の足を踏んでしまったため,行くのをやめてしまいました。

さて,男女における理解度が数値的にどの程度違いがあるのかいうことまでは,この記事からはわかりませんが,やはり男女の理解度において,男性は理数的思考,女性は文学的思考が強いといえるのかもしれません。

そう考えると,理科の教材といっても,男性向けと女性向け・・・というか,理数思考的な人向けと文学思考的な人向けと,本当は分けたほうがよいのかもしれません。

以前,理系一般書の編集をしたときに,結論を数式で終える文章がいくつもありました。

私としては,その数式が,それまでの話の展開すべてを物語っている結論であり,大変わかりやすかったのですが,それを言葉で示してほしいと言われて,少々困ったことがあります。

理科の教材だからといって理数思考的な人向けに制作してしまうと,理科嫌いの子がさらに理科を嫌いになってしまうかもしれません。

中学というのは,理科を嫌いになる子が増える時期でもあります。

中学理科教材の制作に携わっている人には理数的思考の理系出身の方もいると思いますが,文学的思考の人でも理解できるような理科教材づくりも意識して,制作にあたったほうがよいと思います。

2010年3月23日火曜日

学習評価

学習指導要領の改訂にともない,指導要録における学習評価の検討もされています。

教材ごとの特性もありますので,すべての教材において学習評価まで検討すべきかどうかという議論はありますが,世の中の動きの一つとしてブログに記しておきます。

現在の生徒指導要録の中学理科における学習の記録は,以下の4つの観点で評価されています。

・自然事象への関心・意欲・態度
・科学的な思考
・観察・実験の技能・表現
・科自然事象についての知識・理解

これらが適切な評価規準であるかどうか,また先生方に浸透しているかどうかなどが検討されており,「審議の中間まとめ」が2月12日に公示され,3月5日まで意見が公募されていました。

(詳細は以下のURL)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000457&OBJCD=&GROUP=


上記URL中にリンクされている「児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループにおける審議の中間まとめ」のPDFに改正案について記されており,中学理科は以下の4観点となっています。

・自然事象への関心・意欲・態度
・科学的な思考・表現
・観察・実験の技能
・科自然事象についての知識・理解

変更されている場所は「表現」の位置です。
(詳細は本文をご覧ください)

意見公募も踏まえて最終決定が4月にはされるのだと思います。

評価も踏まえた教材作りを検討するにあたり,最終決定を見るだけではなく,このような審議の中間まとめも大変勉強になります。

2010年3月19日金曜日

計算問題

理科の問題には,計算問題が出てきます。

質量パーセント濃度を求めたり,圧力を求めたり,速度を求めたり…。

いろいろな計算問題が出てきますが,その問題の条件設定をするときには,科学的信憑性も考慮したいし,校正の際も科学的信憑性を疑う必要があります。


例えば,質量パーセント濃度を求める問題では,溶かす物質の溶解度を超えていないかどうかを確認しなければなりません。

圧力を求める問題では,その物質が実際にありえる物質かどうか,密度を想定するとよいかと思います。

空気より軽くなってしまっていないか,また,重過ぎないか。できれば,鉄の密度7.87g/cm3より小さくしておきたいですね。

地震の速度を求めるのであれば,P波とS波がそれぞれ6~8km/s,3~5km/s程度になっているかどうか,チェックしておきたいです。

電力に関する問題では,電熱線に電流が流れすぎて,実際だったら電熱線が焼けきれてしまっているほどの大きな電流が流れてしまっていないかなども,疑ってみる必要があるでしょう。


また,計算問題ではありませんが,天気図を用いた問題でも,前線の移動する速度があまりに速すぎたらおかしいでしょう。

このような感じで,作問・校正の際には,科学的信憑性も疑っていきたいものです。

2010年2月28日日曜日

公立高校入試が始まる

公立高校入試が始まりました。

21年度から始まった移行措置がどのように扱われるかが,理科としては1つの焦点でしょう。

インターネット上でも入試問題が公開され始めており,東京新聞のWEBサイトでは,埼玉,神奈川,東京,千葉の4県の入試問題が公開されています。

http://www.tokyo-np.co.jp/k-shiken/index.html

神奈川は残念ながら,移行措置は扱われていませんでしたが,埼玉や千葉では大きく扱われています。

残りの県の入試も楽しみです。

2010年2月21日日曜日

しばらく公開

いろいろな中学校教材を見比べていると,科学的に微妙に感じるものが意外と多いことに気づきます。

もちろん各教材において,そのような部分はほんの一部であり,使用している人はほとんど気づかないだろうと思われるものばかりです。

しかし,高校教材を編集している人や高校の先生などが中学教材を見ると,私と同じように感じる方は多くいるかもしれません。


高校教材では,執筆・編集・校正する人が,それぞれ物理・化学・生物・地学などの分野ごとの専門性が強いため,科学的な正確性も比較的高くなります。

対して小学校や中学校教材になると,物理・化学・生物・地学の4分野をまとめて同じ執筆者や編集者,校正者が制作することが多くなります。

そのためだと思いますが,専門性に乏しい分野などで,若干の科学的誤差が生まれてしまうのでしょう。しょうがないことかもしれません。

そういう私も専門家ではないため,分からないこと,知らないことなどまだまだたくさんあり,科学的に完璧なものを作るというのは,かなり高いハードルです。


このブログを始めたきっかけの中にも,そのような科学的な疑問などを少しずつでも解決して,少しでも科学的に正確な教材作りをしていきたいといった意図が少なからずあったからです。



理科は,実際に見たり触ったり実験したりすることが重要視されます。

しかし実際は,教材等の紙面上だけで勉強を終えてしまっている内容があるのも現実でしょう。

そんなとき,児童・生徒が科学的に少し誤った内容の教材で勉強してしまい,その知識のまま大人になってしまったら,図書教材制作に携わる立場としても,申し訳が立たないなという気持ちがときどきわきます。


そう思うと,使用する児童・生徒が使用しているときは気づかなくても,教材を提供する立場として,少しでも科学的誤解のないようなものを作っておきたいものです。

そのように思い,仕事で長くお付き合いのある一部の方への公開からこのブログを始めました。


しかし児童・生徒のことを考えたら,もっとそのような知識を広めて,科学的誤解のない教材が多くの児童・生徒の手に渡ったほうがよいのではと最近は思っております。


そのようなわけで,試しにしばらくブログを公開してみることにしました。

2010年2月8日月曜日

なぜ小学校教師は「理科嫌い」なのか【産経ニュース】

一つ前の話の続きですが,同じく総合初等教育研究所の研究発表に関する記事で,『なぜ小学校教師は「理科嫌い」なのか』というのがありました。

http://sankei.jp.msn.com/life/education/100205/edc1002052130007-n1.htm

この記事の最後に,『教科書についても「理科指導を得意とする玄人好みの作りで、実験上の安全対策の記述も薄い。』と書かれています。

確かに,小学校の教科書は文章も少なく,子どもたちが教科書を読んで理解できたり,先生方が教科書だけで指導をするのは難しいかと思います。

ただし,先生のためには指導書もありますし,それも不十分だと思う先生は,自分で調べたらよいのではないかと私は思います。

先生方が理科だけに時間をとれるわけでもなく,すごい大変な仕事だということは十分にわかってはいます。

しかしそれでも,科学に対する興味を自分から持っていただいて,少しでも子どもたちに科学の面白さを伝えて欲しいと思うのは理系出身者だからでしょうか。


また,この記事から教材制作をする立場として思うのは,今は子どもたちだけでなく先生方も理科に興味をもっていただけるようにしなければならないのだということです。

そうすることで,科学好きになる可能性のある子供を少しでも多くすることができればと思います。

科学用語が苦手な小学生【産経ニュース】

「科学用語が苦手な小学生」という記事がありました。

詳細は以下のURLよりご覧ください。

http://sankei.jp.msn.com/life/education/100205/edc1002052048006-n1.htm

同記事では,『正答率の低い項目は「実験や観察の体験不足」や「科学用語や概念そのものの習得不足」に関係していた。』と述べています。

最近よくブログに書いていることに少し共通しますが,教材自身も結局は紙面上での理科ですので,本当の意味での理科は教えることができません。

教材を制作する立場として,少しでもそのギャップを埋められるようになれればと,このような記事を読むとよく感じてしまいます。

2010年1月17日日曜日

高校と中学

忙しい日々が続いております。

先週は,毎日遅くまで残業があり,ひどい日は帰宅が午前様のときもありました。

現職になってからの仕事による午前様は初めてかもしれません。
(出張や外出,遅くまで呑んでの午前様はときどきありますが…。)

今年,来年と改訂作業で追われることとなり,どうなるか今から少々不安ですね。


さて,今年もセンター試験が始まりました。

最近は中学以下の仕事ばかりでしたので,ふと高校の仕事を考えたときに,先週のブログで書いた「速さ」と「速度」の表記について少々疑問が上がりました。

そういえば,「速さ」はスカラー量を表すときに使用する用語で,「速度」はベクトル量を表すときに使用する用語だったなと…。

高校の仕事をしているときは気をつけているものが,中学以下の仕事をしているときには意識から外れてしまうことがある典型です。


似たようなことが,仕事をしている中で出会う問い合わせなどにも見られます。

例えば,「細胞質」と「細胞質基質」の用語。

「細胞質」は核以外の核を取り巻くもの,つまり,液胞や葉緑体,また細胞膜も細胞質です。

しかし,この細胞質を細胞質基質(細胞質から細胞小器官を取り除いた部分)と同意と誤解して理解されている方も意外と多くいるようです。

例えば,「植物と動物の共通する部分は」との問いに対し,「核・細胞膜・細胞質」と答えてしまうようにです。


もし生徒がこのような解答をしてしまった場合,まったく間違いとも言い切れないので,またたちが悪いのですが,そもそもそのような解答を生徒にされる可能性のある問題というのは,よい問題とは言えないでしょう。


ほかにも,身体の反射の例に見られます。

中学では指などが熱いものに触れたときなどに起こる屈筋反射,つまり脊髄反射とその反射弓を扱いますが,それ以外の反射はほとんど触れません。

つまり,脊髄反射の反射弓のみを例としてあげて,人体の反射とはこういうものですよと示します。


しかし,反射には瞳眼反射などの中脳反射や,唾液分泌の延髄反射などもありますので,ひとくくりでまとめること自体に無理があります。

でも中学までの知識で教えられている方の中には,すべての反射は同じ反射弓だと理解しまっている方もいるようです。


これは,教材制作においても大事なことです。

いくら中学の教材とはいえ,扱っていることは科学的内容ですので間違いがあってはなりません。


教材制作の際には,学習学年を超えた知識をもって制作にあたらなければなりません。

2010年1月7日木曜日

音引き

外来語に由来するカタカナ用語の末尾の音引きをどうするか。

この話題は,編集や制作をしているとときどき話題に出てくるかと思いますが,2008年の7月25日にこの話題が少し大きく取り上げられました。

それは,マイクロソフトが「マイクロソフト製品ならびにサービスにおける外来語カタカナ用語末尾の長音表記の変更について 」というプレスリリースを発表したからです。

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3491

マイクロソフトはそれまで,「外来語カタカナ用語末尾の長音処理に関しては,JIS 用語や学術用語に規定されていない用語について,『2音の用語は長音符号を付け,3音以上の用語の場合は(長音符号を)省くことを “原則” とする』主旨の規定に則した表記ルールを採用する」としていました。

しかし,そのプレスリリースにおいて,「国語審議会の報告を基に告示された1991年6月28日の内閣告示第二号をベースにしたルールへ原則準拠する」ということとなりました。


さて,これが理科教材制作とどう結びついてくるかというと,例えば「コンピュータ」なのか「コンピューター」なのかということです。

中学理科に限定すれば,末尾の音引きを意識するような用語はそれほどありません。

しかし,「コンピュータ」については,やはりずっと気になる用語ではあります。

教科書をはじめとする教育関連教材の多くは,編集者が意識しているだろうと思われるものについては,だいたいマイクロソフトと同様なルールに則っているような気がします。
(または教科書に右へならえなのか,またはたまたまなのかもしれませんが…)

つまり,「computer」は「com-pu-ter」で3音なので,末尾の音引きは省略し,「コンピュータ」と表記しています。

しかし,多くの人は「コンピューター」と発音するでしょう。

その実際の発音と表記の誤差をなくしたほうがよいというのがマイクロソフトの考えです。

では,教育関連図書や教材は今後どうなっていくのでしょうか。

教科書については平成24年度の新教科書が出てみないことにはわかりません。

しかし,新学習指導要領はすでに出ているので,文部科学省における表記については見ることができます。

確認したところ,「コンピュータ」となっていました。

ちなみに,文部科学省のサイトでも「スーパーコンピュータ」というように,末尾の音引きは省略されています。

というわけで,しばらくは「コンピュータ」でいくことになりそうです。

しかし,動向はときどき気にしておいたほうがよいかもしれません。

2009年12月28日月曜日

知識は中学以上に必要

本日は仕事納めでした。

1年間あっという間でしたが,特に12月はやることが多く,あっという間に過ぎ去ってしまったような気がします。

仕事にプライベートにあっちこっちと飛び回り,企画会議の資料作りや発表のリハーサル,そしていろいろな人と忘年会で飲む。

そんなこんなでなかなか時間が取れず,やっと昨日から年賀状の作成に取り掛かることができました。

地元へも帰らなければならないので,明日中には何とか年賀状の作成を終えようかと思っております。


さて,そんな忙しい日常の中,理科教材制作上で気になることも,やはり出てきております。

今は,中学校の仕事がメインですが,中学校の仕事といえど,知識は中学校内容以上に持ち合わせていなければなりません。

つまり,中学校の仕事であれば,最低でも高校レベルの知識を持って原稿作成や校正をするべきでしょう。

しかしながら,不思議なことに,中学校の仕事をしていると,中学校レベルの知識で校正をしてしまっているということに気づきました。

高校の仕事をしているときは当たり前のように気づく間違いも,中学校の仕事では意外と気づかないのです。不思議です。

例えば,「反射」の話を例にあげます。

高校では,まばたき反射は中脳を,唾液の分泌は延髄をそれぞれ反射中枢とすることを習います。

しかし中学では,脊髄反射しか習いません。

つまり,中学では,目などの顔に近い部位を反射の例として載せることはなく,熱いものに指が触れたときなどの例のみを示します。

そんなことは分かっているのに,中学の教材やテストではそこまでの内容に触れないので,反射を示す模式図の感覚器官などで目や耳などが例として載っていても,意外と気づかないのです。

校正をするときは,すべてに疑いを持って見るべきです。

しかしその際には,その校正している内容以上の知識を持って校正を行うようにしていくべきでしょう。

特に教材では,それを使用する生徒自身に,正誤の判断基準がない可能性が多々ありますので,より繊細な注意が必要だと思います。

2009年10月25日日曜日

移行措置スケジュール

新学習指導要領の移行措置が今年(平成21年度)から始まっていますが,念のため記しておきます。


中学校理科の移行措置はなかなか複雑で,意外と現場の先生方や父兄の方が理解していないということも多いようです。

もちろん教材を制作している私などはしっかり理解しているつもりではありますが,移行措置が細かすぎてときどき混乱を起こしてしまいます。


それでは,順番にあげていきましょう。



●平成21年度

1年生と3年生で移行措置が始まりました。

1年生では,「種子をつくらない植物のなかま」などの追加事項のほか,学年間移動で3年生で習うことになった「力のつり合い」などが削除になりました。

3年生では,「仕事とエネルギー」などの追加事項が始まりました。


●平成22年度

1年生と3年生の移行措置は平成21年度のままで,2年生(平成21年度は1年生)にも移行措置が始まります。

2年生の移行措置の内容は,「電流が電子の流れであること」などの追加のほか,3年生から「酸化と還元」や「化学変化と熱」が移動してくるなどもあります。


●平成23年度

3年生において,さらなる移行措置があります。

平成22年度までは3年生で履修していた「酸化と還元」や「化学変化と熱」が削除されたり,1年生から移動してきた「力のつり合い」などが追加されたりと,また複雑な移行措置となります。



さて,おさえておきたいことの1つは,平成22年度の3年生と平成23年度の3年生が違うということです。

移行措置によって平成21年度に入学した生徒は,一応新学習指導要領での学習となっていますが,同時に移行措置が行われているそれより上の学年の生徒は,完全な新学習指導要領ではありません。

このあたりを現場の先生方などが意外とわかっていない可能性があります。


また,教材制作の立場でいうと,微妙な部分が多々見え隠れします。


例えば,「酸・アルカリ・中和」が1年生から3年生に移動しました。

では,「気体の性質」で二酸化炭素が水に溶けて酸性を示したり,アンモニアが水に溶けてアルカリ性を示すというところの表現はどうしたらよいのでしょうか。

酸性・アルカリ性については小学生でも習っているため,中和という言葉さえ使わなければよいのでしょうか。

また,BTB溶液は使ってよいのでしょうか。1年で行う2分野の光合成と呼吸の実験などでもBTB溶液は使いますので,そういうところとの整合性とはどうしたらよいのでしょうか。


「化学変化と熱」が2年生に下りてきますが,そこで「エネルギー」という言葉は使ってよいのでしょうか。

「エネルギー」の概念は3年生で初めて学習することになるはずです。ということは,新指導要領の「化学変化と熱」では,「熱が出入りする」という表現とし,「熱エネルギーが出入りする」はダメなのでしょうか。

しかし,1年生の光合成などでは「光のエネルギー」というような表現も使いますので,「○○エネルギー」ではなく「○○のエネルギー」という表現なら大丈夫なのでしょうか。


こんな微妙な部分の疑問が多々あります。

平成24年度の新教科書が出るまでは,文部科学省が意図しているところは正直分かりません。
しかし,教科書が出る前に教材作りをしなければならない場面は多々出てきます。

そのため,結局は私なりの解釈で進めていかなければなりませんが,それにしても悩ましい問題ばかりです。

2009年9月28日月曜日

リットルの表記

リットルの表記には,小文字のエルのイタリック l や,手書きのイタリック ℓ ,大文字ローマン のエル L などが使われています。

しかし,現在の中学理科や高校化学の教科書類では,大文字ローマンの L でほぼ統一されていると思います。
(生物などでは,小文字エルのイタリック l を,まだ使用していることがあります)

この大文字ローマンになったのは,現在の教科書からで,それより前は小文字エルのイタリック l が主流だったと思います。


さて,なぜ大文字ローマンの L になったかというと,国際単位系(SI)に準じることになってきたからだと思います。

リットル自体はSIの単位ではないのですが,SIとともに併用される単位に含まれます。

このとき,SIの表記のルールとして,

  「書体は立体活字(ローマン体)で,人名に由来する場合には記号の最初の
   文字のみ大文字,他は小文字[例:m, s, cd, N, Pa,Hzなど]とする。 」

となっています。

つまり,リットルは,小文字ローマンの l を使用することになります。

しかし,小文字の l は数字の 1 と似ているため,混同するのを避けて大文字ローマンの L を併用することに1976年に決められ,使用状況を見ながらどちらかを将来的には削除することになりました。
(小文字 l の使用は,1879年に決定)

この併用については2006年発表の国際文書第8版でも変更されていません。


つまり,小文字のイタリックで表記するというルールは国際的にはないため,教科書類ではこのSIの文書にのっとり,大文字ローマン L を使用することとなったのだと思います。

そのようなわけで,現状の中学理科教科書と高校化学教科書は大文字ローマン L が使用されているのですが,なぜか高校生物などでは小文字のイタリック l を使用してる場合もあります。


いずれにしても,今後の流れとしては大文字ローマン L での表記が中学以上の教材での主流となると思いますので,意識しておいたほうがよいと思います。

もちろん,教材以外では混在して利用されているので,この限りではありません。


なお,国際単位系(SI)についての詳細は,以下よりご覧ください。
http://www.nmij.jp/library/units/si/