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2015年10月5日月曜日

言葉選び

先日行った生命大躍進展で思ったことを,もう一つ。

展示されている解説パネルを読んでいて,言葉選びのうまさと丁寧さを感じた。

知らない人が初めて読んでも,なるべく分かりやすく,すっと頭に入ってくる文体や言葉選びをしていた。

普段,教材制作をしていると,私などはとても重要なことだと思っているのだが,最近は言葉選びに重きを置いていない編集者が多いことに気づく。

例えば,用語や文節が行をまたぐことに違和感を覚えなかったり,一文字だけ次の行にあふれてしまったときなどに,うまく言葉を選んで,一つ前の行に収めるように努力したりということに,こだわりを持たないことだ。

子どもたちが初めて学ぶ内容について,用語や文節が行をまたいでいたら,読みにくいかもしれないということに配慮をしてこそ,教材編集者だと思う。

大人になれば,そのような文章を読むことに対する抵抗は小さくなっているかもしれない。しかし,教材編集者は,少しでも児童・生徒に,学ぶべき内容のみに注力してもらえるように文章を構成するかというのも,一つの仕事である。

読みにくい文章や体裁で,意味を読み取るのに労を要するような教材は,個人的には良い教材とは思えない。

もちろん,教材制作における必須事項でもないし,誰にも気づかれないかもしれない地味な作業であるが,それでも教材編集者が労を惜しまずに行うべき最低限の仕事の一つだと思っている。

そういうことが普通にできてこそ,より児童・生徒の学力向上に役立つ教材になるのではないかと思う。

生命大躍進展の展示解説は,このあたりの配慮が大変丁寧にされていることにも,私は感激した。

もちろん,100%完璧にそれができているというわけではないし,私も仕事上で完璧にやれるわけではない。しかし,生命大躍進展の展示解説では,多くの部分において,単語や文節が途中で行をまたがないような配慮がされており,とても読みやすかった。

このような小さな配慮は,積もり積もると大きな作業時間を要するのであるが,そういうところに手を抜いていない仕事に担当者の心遣いを実感した。

2015年10月1日木曜日

生命大躍進展

先日,国立科学博物館でやっていた,「特別展 生命大躍進」に行ってきた。

アノマロカリス好きの私としては,是非行ってみたいと思っていたため,何とか時間を作って見学してきた。

そもそもアノマロカリスを好きになったのは,遡ること高校2年制の頃。

NHKスペシャル「生命40億年はるかな旅」のビデオを同級生から借りて見た時からだ。
http://www.nhk.or.jp/archives/nhk-special/library/library_seimei.html

このNHKスペシャルで,いままで別々の生物の化石だと思われていた複数の化石が,アノマロカリスという一つの生物のパーツだったということから,これまでの説が覆ったということを言っており,進化の面白さを実感した瞬間で,いまでもその感動を覚えている。

また,そのアノマロカリスの模型を作成し,プールで泳がせていたのも,アノマロカリスを好きになった一つの要素でもあったと思う。

アノマロカリスだけでなく,オパビニアやハルキゲニアなど現在の生物とは違う生き物たちに,ロマンも感じたものだ。

それから数年たち,社会人になった頃,校正でお世話になっている方が,その「生命40億年はるかな旅」の録画を持っていたので借りて見て,感動が蘇ったのも覚えている。

そしてその感動が終わらないタイミングで,NHKスペシャルが「地球大進化 46億年・人類への旅」を放送した。
https://www.nhk-ondemand.jp/program/P200800000300000/

これも興奮して見た記憶がある。

それから月日は流れ,近年「137億年の物語」という書籍がブームになるなどしたが,今年放送されたNHKスペシャルの「生命大躍進」は,忙しさもあり,見ずに過ごしてしまった。

しかし,国立科学博物館でアノマロカリスの化石を見たいという衝動は抑えきれず,何とか時間を確保して,行ってきた。

案の定,とても感激し,17歳のときの興奮を思い出した。

教科書や書籍,映像などでいろいろな化石を間接的に見ることはできるが,やはり実物を見てこそだと,改めて思う。

大きさや質感,記憶や感動など,間接的な経験とは比べ物にならないくらいの経験となる。

また,編集という仕事をしているのであれば,紙面上の知識だけでなく,できれば経験をもった実感を踏まえて,その感動を書籍や教材等に反映していきたいと,改めて思った。

2014年12月3日水曜日

図版の単価と予算立て

理科の仕事をしていると,図版が必ずつきまといます。

その図版について,どれくらいの単価設定をしたらよいのでしょうか。

もちろん予算というのもありますし,実際にイラストレーターさんが作業に費やす時間というのもあります。

私がこの業界に入ったころは,まだロットリングで手描きされているイラストレーターさんもいましたが,AdobeのIllustratorも普及し始め,ベジェデータでの図版作成が急激に増え始めていました。

あれから15年も経ち,イラストレーターさんもIllustratorの操作も慣れ,さらに素材となるパーツもたくさん蓄えられているようで,かなりの短時間で作図ができるようになった印象です。

とはいえ,いくらパーツ流用がきくからといって,劇的に制作時間が短くなるわけではなく,時間がかかるものはやっぱり時間がかかります。

そのため,予算がないからといって,適正でない価格設定は,やはりいかがなものかとも思います。

私の場合は,素人ながら自分である程度までは作図できるので,私だったらこれくらいの時間で作成できるかな…という目安がもてます。

そのため,その目安をもとに予算立てを行います。


では,実際に,1点作図するのにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。

試しに,簡単な図版の例として,回路図と試験管を作ってみました。

まずは回路図です。


約3分40秒で作れました。


続いて,試験管です。


約6分20秒で作れました。

とりあえず,サイズ等の制限なしに適当に作りましたが,サイズの指定があったり文字があったりしても,5分〜10分でできるでしょう。

こんな感じでイメージして,私の場合は15分刻みで,この図はどれくらいの時間でできそうかな…という想定をし,単価設定をします。

なので,この回路図と試験管であれば,15分の単価で予算立てをいたします。

皆さんはいかがでしょうか。
参考になれば幸いです。

2014年3月11日火曜日

環境にないフォント

最近,フォント環境に関する話題を耳にする機会がちらほらあったので,編集現場とDTP現場やデザイン現場におけるフォントについて,書いてみようと思います。

誌面デザインをする際に,InDesingデータをデザイナーに渡してデザイン案を出してもらうというケースがあります。その際に,本文フォントがすべてゴシック体に置き換わる場合があります。

この原因は,基本的にフォントがMac環境(Windowsでも同じです)に無いと,デフォルトのフォント(小塚とかヒラギノとか)に置き換えられることによります。


しかし,よく編集現場で,「一般的なフォントしか使っていないのに,どうしてフォントが無いのだろう」という声も聞きます。

このケースの多くが,合成フォントによる影響だと想像できます。

合成フォントを設定したInDesignデータを開くと,合成フォントに利用されたフォントが1つでも無いと,その合成フォントがすべてデフォルトに置き換えられます。

例えば,「リュウミンR,新ゴR,ヒラギノ角ゴW3」を使って合成フォントを作ったとします。
最も使われる標準のフォントですが,最近ではWindowsでDTPを行っているところもあります。
しかしWindowsでは,ヒラギノが標準搭載されていないので,この合成フォントは環境に無いフォントとなり,すべてデフォルトで置き換えられてしまいます。

もちろん,標準的でないフォントを用いて合成フォントを作っていると,こうなるケースはさらに増えます。


また,同じ名前でも,モリサワのフォントではStd,Pro,Pro5,Pro6,Pro6Nなどのバージョンがあるので,これらも該当するバージョンを持っていないと,環境に無いフォントとみなされてしまいます。

ところで,最近の若い編集者は,モリサワパスポートなどの年間契約しか知らない人も多いのですが,パスポートを導入していない人も多いということを,まずは押さえておくべきでしょう。

そもそもフォントは買い切りが基本で,パスポートは比較的新しいサービスです。
モリサワの例でいうと,モリサワパスポートが開始したのは2005年からです。
それ以前は,みんな必要なフォントをMacの台数分購入していました。金額にすればかなりの額だったと思います。

フォントの歴史を見れば,OCFからCIDになり,そして2002年にOTFが発売となりました。
写研などの汎用機からMacに切り替え,フォントもOCF→CIDと高い費用を捻出して買い足してきたDTP各社も,InDesign+OTFが主流となると,再度費用を捻出してOTFをを買い揃えました。

そして2002年〜2004年にかけてOTFをMacの台数分購入したのに,いくら年間5万円で全フォント使用できるといっても日常使用するフォントは限られているわけで,滅多に使用しない多くのフォントのために,わざわざお金を毎年払うというのは理にかないません。

(感覚的には,購入済みのフォントに対して,わざわざお金を払い続けているとなるでしょう。)

しかし2005年以降,Macの台数を増やす際であれば,必要なフォントを一式購入するよりもパスポートのほうがハードルが低いので,パスポートにしようというようになってきました。
とはいえ,Macの台数が変わっていないのであれば,パスポートにする意味は皆無です。

なお,個人のデザイナーやイラストレーターさんなどは,投資としてOTFを初期から導入する人もいましたが,しばらくはOCFやCIDを使い続けている人も多々いました。

今ではOTFを持っている個人のデザイナーやイラストレーターさんも多くいますが,いまだにOCFを使用している人もいると聞きます。

以上を踏まえると,たとえば「リュウミンR,新ゴR」のみを使っているといっても,何も知らずにパスポートに入っている「リュウミンR Pro6,新ゴR Pro6」を使っており,そのデータを「リュウミンR Pro,新ゴR Pro」しか持っていないデザイナーさんに渡せば,バージョンが異なるのでデフォルトのゴシック体に置き換わってしまいます。
(もちろん,気を利かせて変換してくださる方もいらっしゃいます。)


何も知らずに現状の環境だけを学んで仕事をしていると,このようなケースに遭遇して二度手間,三度手間となってしまいます。しかし歴史を少し知っておくだけで,効率よく,そして気分よく,よりよいものが仕上がっていくと思います。

2014年2月27日木曜日

計算式用 英数字フォント

さて,久し振りの投稿です。
前回の投稿が昨年の11月21日なので,かれこれ3か月振りです。

さて,今は理科だけでなく,数学の編集もしております。
理科の場合はWordを使用した原稿が多いのですが,数学は手書きの人も多いですね。

Wordで計算式を入力するのはなかなか大変なのと,入力に気を取られて原稿を間違うリスクも考えると,手書きで書いたほうがよいというのもすごく実感しております。

とはいっても,Wordで綺麗に簡単に計算式を入力したいなという声は,数学の編集をしているとときどき耳に届きますし,私のようにパソコンで原稿を書くほうが好きなタイプにとっては,何とかして綺麗な数式を入力してやろうと,多少頑張ってしまう場合もございます。

でも,どうしたら簡単に,そして綺麗に計算式を入力できないものか。
そうだ,あんなフォントがあったら,絶対綺麗に入力できる。
とはいっても,そんなフォントはあるわけ無いしなぁ…ということで,オリジナルのフォントをデザインし,そしてフォントにしてしまいました。

以下のサイトで配布しているので,よければご利用してみてください。
「計算式用 英数字フォント」
https://sites.google.com/site/fontforword/

2013年9月12日木曜日

プルーフチェック

今日はプルーフチェックについて書いてみようと思います。

今回のプルーフとは,DDCPによって出力された出力紙を指して話します。
(人や会社によっては,DTPの初校出力紙や再校出力紙のことを初校プルーフや再校プルーフというところもありますからね。)

さて,過去から現在への流れで展開していこうか,それとも現在から過去へと展開していこうか迷いますが,前者でいこうと思います。

とはいっても,私の場合は版下時代までしか遡れませんが…。


アナログの版下時代は,その名の通り,1ページ1ページごとのアナログの版下ですので,それを職人さんが面付けして,フィルムに焼き付け,そして感光紙に焼き付けた青焼きが製版さんから渡されます。

当時の版下は,文字はイメージセッタから印画紙に書き出されたものでしたが,図版は手貼りなので,図版と印画紙の間で影ができることもありました。なので,青焼きではそういう図版とそれ以外の部分との境目あたりも,慎重にチェックしました。

また,平成14年度の指導要領の改訂では,抵抗の電気用図記号が変わったりしたので,版下流用で修正したものなどは,両面テープで抵抗の電気用図記号を上から貼り直したりもしました。

もちろん,用語が変わるなどした場合は,テキストだけ印画紙に打ち出して,同じく両面テープで貼りました。

それ以外にもいっぱい細かい修正を加えたりしましたので,切り貼り修正だらけのアナログ版下をフィルムに焼き付けると,ごくたまに切り貼りした部分がめくれていたり,文字落ちしていたりと,細かいトラブルが起こりました。なので,そのようなミスが起こっていないかどうか,青焼きチェックはかなり慎重にやっていました。

また,アナログで面付けしてるので,面付けが間違っていないかどうかも,金尺で裁ち切り線を引いたり,手でちゃんと折って折状にして確認したりと,青焼きのチェックではいろいろと見ることが多かった印象です。


これが,DTPデータから直接イメージセッタでフィルムが出力できるようになると,だいぶ楽になりました。

もちろん,先の投稿で書いたように,フォントやプラグインによるトラブルは多々ありましたが,面付け間違いは少なかった印象です。
とはいっても,中綴じで…といったのにノドにドブがあったり,地袋で…といったのに天袋になっていたりと,全ページ出力し直しのトラブルはときどきありました。

それもこれも,今はプロダクションやDTP会社が作成したデータを印刷する会社がRIP処理することが多いようですが,当時はデータを制作したプロダクションやDTP会社がフィルムまで書き出してから,印刷会社にフィルムを渡すということがよくありました。
そのため,印刷会社によって仕様が異なるのに,納品先とは違う印刷会社の仕様に合わせて出力してしまったりといったトラブルがときどきありました。

もちろん,面付けや綴じなどが間違っていたら全ページ出力し直しですが,小さなミスを青焼き段階で見つけた場合は,ストリップ修正ができていたので,職人さんがその場所だけうまく修正してくれたり,フィルムを削れば対応できるようなミスであれば,自分でカッターで削り落とすなど,アナログ的な修正が可能でした。

しかし,ストリップ修正ができなくなると,1ページ単位や,折り単位でのフィルム再出力が必要になりました。こうなると,再度一からチェックのし直しなので,これまた大変でした。

そういえば,一般にフィルムには,書籍名や何折の表か裏かなどを記すと思いますが,それを入れ忘れて,全フィルムにマジックで手書きしたということもありました…。


しばらく上記のようなトラブルが続いたのはQuarkXPress3.3Jや4.1Jの時代ですが,InDesign2.0が出た頃から,InDesign2.0でのネイティブデータ入稿が始まりました。
その頃は,それこそフォントの有無でトラブルが起こりました。当時はまだ,InDeignのネイティブデータ入稿も安定していなかったためか,フォントが置き換わったり,丸付き数字が反転したりと,原因不明のトラブルが起こっていました。まだまだOTFも出始めた頃で,CIDとOTFが混在していたりと,いろいろとDTP制作会社と印刷会社との間で環境が統一されておらず,大変でした。

それこそ,印刷する会社でDTPも行っている場合はそんなトラブルも少なかったのですが,DTPを行う会社と印刷をする会社が別の場合は,事前にDTP環境のすり合わせが何かと必要不可欠でした。

しかし,いくら環境をすりあわせておいても,何故かネイティブデータ入稿ではトラブルが起こってしまいました。未だに原因はよく知りませんが,InDesingCS2以降あたりからは,ネイティブデータ入稿でもだいぶ安定してきたような印象です。(あくまで私がやってきた仕事の範囲内の話ですが…)


さて,現在はというと,私の現場では,別の投稿でも記した通り,PDF入稿がほとんどです。
フォントがエンベットされたPDF/X-4をRIP処理しますが,InDesignからPDF/X-4への出力で問題が起こっていなければ,99%ほどの確率でRIP処理でのトラブルは起こっていません。
(まれに,PDF書き出しの段階で何かしら原因不明のトラブルが起こることがあったり,1色のはずなのにどこかに4色データが隠れていたり,写真などがRGBのままだったり,印刷物の一部をスキャンして用いた部分でモアレが起こったりといったトラブルはあります。)

というわけで,ラスターデータにちゃんとラスタライズされているかというのは,かなりざっくりとチェックするだけで,たいがい問題ありません。
面付けもコンピュータで行われているので,ミスが起こったこともありません。
そのため,プルーフチェックは,かなり楽になりました。


このように,これまでどのようなトラブルが起こってきたかを知っておくと,現在のプルーフチェックではどのような観点でチェックしたらよいかというのが,はっきりと見えてきます。
ときどき,版下時代と同じようなチェックを未だにしている人もいるようですが,時代に合わせたチェックの仕方を知っておくと,作業量はだいぶ減ると思います。


あっ,そうえいば,Illustratorで透明機能が付いたIllustrator9のときは,透明機能によるトラブルもよく耳にしました。そういうことも知っておくと,何かの役に立つかもしれませんね。


まとまりのない話になりましたが,PDFでの入稿以降しか知らない若い編集者の勉強にでもなれば幸いです。

2013年9月10日火曜日

割り付けとレイアウト

業界用語の違いについて,今回も書いておこうと思う。

今回は,「割り付け」と「レイアウト」である。

私がこの業界に入ったきっかけは,印刷会社でのオペレーターアルバイトとしてである。

その当時アルバイトをしていた印刷会社では,1ページにどのようの文字を配置するかということを「割り付け」と呼び,その設定を「割り付け設定」などと呼んだ。

大学卒業後にプロダクションに入ると,ちょうど版下や写研,DTPなどが入り混じる時代であり,「割り付け」と同意で「レイアウト」という言葉がよく耳に入るようになってきた。

いまでも「均等割付」などはよく聞くし,InDesign上にも「割付」という用語は用いられていた記憶があるので,完全に消えた用語ではないが,若い編集者からはあまり聞かなくなった用語であるのは確かな気がする。

まあ,雑誌などのように,割り付けなど関係なく,見栄え良く情報を紙面に配置していくようなものが増えてくると,そもそも割り付けではなく,それはレイアウトであるので,今となってはレイアウトのほうがしっくりくる用語かもしれない。

特に若いデザイナーさんなどは,割り付けなどという感覚は持ちあわせていない方も多くいるようで,古い頭の私などがデザイン案を見たりすると,テキストが綺麗に割り付けられておらず,すごく気持ち悪い感覚を覚えたりすることもある。

いずれにしても,いまとなっては「レイアウト」のほうが主流なので,主流に流されるしかないのが現状である。

台割とプロット

印刷物を制作する上では,当たり前であるが「折り」を考える必要がある。

このことは,一般書籍とか学習教材とかのジャンルによって異なることはなく,版を用いて印刷するであれば,どんな印刷物でも同じだと思う。

さて,文芸書にしろ教材にしろ雑誌にしろ,折りを意識しなければならないのであれば,台割を検討しなければならない。

見開き構成を意識したり,折りや綴じ方によって刷り色を検討したりするのは,この台割での作業になる。

つまり,1冊の本の設計図とも言えるものが台割である。

先の投稿のオフ入の話題になるが,印刷会社によっては,カンプとともに台割も合わせて用意して欲しいというところも多々ある。

さて,15年の経験の中で,いまの会社は5年目であるが,入社して驚いたのが,台割という用語を使用していないことである。

それまでの11年でお付き合いしていた会社のほとんどが台割という表現を用いていたものを,今の会社ではプロットと呼んでる。

プロットというと,私の中では台割の前の工程である。
ざっくりと1冊の本の構成を考えて,何章立てにしようかとか,単元数はいくつにするとか,コラムを入れようかとか,内容をどうしようかとか,物語であればどんな話の展開にしようかとか,そんな1冊の本の概要を,台割に落としこむ前のたたき台となったり,物語(原稿)を書き始める前に構成をまとめたりしたものが,プロットのイメージである。

そして,そのプロットをもとに台割に落とし込んだのち,固定費や変動費なども含めて試算し,採算ライン等を検討した上で,最終の台割が完成する。

とはいっても,教材とはちがい,文芸書や単行本の類などは,プロットで概要を固めたのち,著者から上がった原稿の分量によって最終的な台割が確定することも多いかもしれない。

いずれにしても,いろいろな印刷物があることを考えると,プロットと台割は使い分けたほうがよさそうな気がするが,いまの私の仕事上では,台割のことをすべてプロットと呼んでいる。ややこしい上に,協力いただいている会社やフリーの方には,皆さんが使い慣れない用語で話を進めなければならないので,ある意味申し訳ない…。まあ,私一人で打ち合わせをする場合は,台割と呼んでいるので問題ないかもしれないが…。


2013年9月8日日曜日

ネイティブデータ入稿時代

先の投稿で,現状はPDF入稿が多くを占めていることを書いたが,ネイティブデータ入稿時代のことも,少し書いておこうと思う。

私の場合は,12年ほど前からInDesignが出るまでの数年間は,QuarkXPress3.3Jないしは4.1Jの出力トラブルの洗礼を受けた人間である。

オフ入以降の話に絞ると,QuarkXPressのデータを印刷会社に入稿して,フィルム出力,および青焼きを出してもらうのだが,ここで何度もトラブルが起こったものだ。

まずはフォント。欧文フォントは同じ名前でも別物といったものが多々あるので,必ず入稿の際には,ネイティブデータと一緒に欧文フォントも印刷会社に入れる必要がある。しかし,オペレータさんがしょっちゅう入れ忘れる。以前同じフォントを渡したことがあるから大丈夫だと思って…というパターンがほとんどだったが,印刷会社からは不安だから,毎回入れて欲しいといわれる。(これは今でもそうだが…。)

次に多かったのが,サードパーティのプラグイン。最も被害を被ったのが下線革命というプラグインだったかな。
QuarkXPress上で下線を表現するのは面倒なのでプラグインを使用するのだが,オフ入時に印刷会社に渡し忘れたり,渡したのに印刷会社のほうで反映し忘れたりで,下線が入った部分以降すべての出力がおかしくなってしまったということが,何度かあった。
そのほか,記憶上では丸付き数字とか上付きや下付き文字だったかな。QuaekXPressのプラグインはあまり知らないが,初出の丸付き数字以降がすべておかしくなったことや,初出の下付き文字以降がすべて下付き文字サイズになってしまったりと,青焼きを見て愕然としたことは数度あった。
InDesignが出てこの不安から開放されるかと思いきや,初期のころは意外とトラブルがあった。記憶が正しいかどうか分からないが,丸付き数字でトラブルが出たことがある。その影響だと思うが,PDF入稿が常となった今でも,何となくプルーフチェックのときに丸付き数字に目が行ってしまう。

他にもいろいろとトラブルは起こっているはずだが,QuaekXPressから逃れられて既に6年以上も経つので,どんなトラブルが起こっていたかはほとんど忘れてしまった。

Illustratorで作ったリンクファイルのバージョンに伴うエラーもあったようななかったような…。記憶がだいぶ曖昧だ。

とりあえず,フォントがエンベットできるPDFで入稿できるようになったことで,フォントによるトラブルはだいぶなくなり,今は幸せ。
とはいっても,PDF入稿初期の頃は,PDFにフォントがエンベットできないというトラブルが時々あり,何度もPDFを出し直したこともあった。(今でも稀にそんな話を聞くが…)

いずれにしても,当時と比べれば,現状はトラブルがかなり少なくなったので,オフ入以降の作業は大幅に減ったが,どこかが楽になれば,楽だったはずのところが大変になるというのは世の常である。

機会があればそんな話題も書いてみようと思う。

PDF入稿

さて,昨日の話の続きとして,PDFでのオフ入稿の話題を書いてみようと思う。

私の感覚からすると,だいたい8〜9年くらい前から,データ校了後のオフ入のデータ形式として,印刷用PDFが少しずつ用いられるようになってきたような気がする。

それより前は,QuarkXPressやInDesignでDTPを行った場合は,ネイティブデータでの入稿が主流だった。

もちろん,今でもネイティブデータでの入稿はあるが,現状で私が仕事をしている中では,だいたい9割以上はPDF入稿になっている。

印刷用PDFとしてPDF/X-1aやPDF/X-4が広まり,印刷会社でもPDFによる入稿が安定してきたためであるが,この入稿時のPDFにおいても,印刷会社によって設定が異なるので,なかなか大変である。

印刷会社が「なんでも大丈夫ですよ。」といえば,たいがいどんなPDFを用意しても印刷会社のほうで何とかしてくれるが,融通のきかない(というか安定した設定でやることを重視する)印刷会社のほうが経験上多いので,入稿前にしっかりとPDFプリセットについてはやりとりをしておきたい。

また,DTPのオペレータさんの中にも,経験上でRIP処理エラーが多く起こったプリセットは,受け入れがたい場合も多いようである。
しかし,印刷会社にとっても,最もその印刷会社のDDCPで安定してRIP処理できるプリセットを検討した結果であるので,譲れないというのも最もである。

とはいっても,もしプロダクションの編集者やDTP会社のオペレータさんが,版元の編集者などから「PDFであれば何でもいいですよ」と言われた場合は,印刷会社から直接言われたわけではないので,念のためPDFプリセットを聞いておいたほうがよいと思う。

また,AdobeのAcrobatを使ってPDFを書き出すのか,それともInDesignから直接書き出すのかといったところでの問題もある。
過去にいろいろなトラブルを経験した人ほど,Acrobatの安定性を実感しているのでAcrobatでPDFを書き出したがるが,現状の私の仕事では,ほぼ100%がInDesignから直接書き出したものを印刷会社から要求されている。
いずれにしても印刷会社がRIP処理するので,プロダクションやオペレータの立場としては多少不安であっても,そこは印刷会社に従うしかない。

なお,細かいプリセットはあまりこだわらないが,トンボの有無とドブの幅については,やはり印刷会社の機械に合わないと,基本的に突き返されることが経験上多かった。

経験値としては,ドブは3mmのところと4mmのところがあり,トンボは必要なところと不要なところがあった。
これだけでも,4通りの組み合わせになるので,ちゃんと事前に言ってくれないと,最大3回やり直しの必要性が発生する。実に面倒だ。

そのほか,ときどき単ページPDFでの入稿を要求してくるところもある。最近はPCのスペックも上がり,PDFの書き出しが速くなったからよいものの,PCスペックが低いころは書き出しにも結構な時間がかかったので,連PDFを入稿したあとに単ページにしてと言われると,同じ以上の時間を費やすのかと,少々辟易したものだ。

いずれにしても,印刷会社と出版社・プロダクション・DTP会社の間で,しっかりとPDF書き出し設定のすり合わせは,事前にしておきたいものである。


2013年9月7日土曜日

データ校了〜オフ了における用語の違い

広く書籍の制作をしていると,いろいろと工程ごとに業界用語がある。

しかし,この業界用語は,どんな出版社や印刷会社,編集プロダクションなどでも同じかというと,意外に…というかかなり違う。

ときどき出版社の編集者に,「なんでこんなことも知らないんだ。業界標準だろ。」ということを自信満々に言う人もいるが,そんな人に限って,そこの出版社でしか通じない用語を使っていたりする。

校正記号一つとっても,とりあえず基準としてもよさそうなものにJIS規格の印刷校正記号というものがあるが,私も印刷出版業界に携わるようになり15年以上になるが,JIS規格ではない校正記号のほうが伝わるというものはときどきあった。

さて,そうはいっても最近は,原稿執筆からデータ校了あたりまでは,比較的用語の共通性も大きく,教材関係以外の編集者や印刷会社の方などと話をしていても,だいたい話は通じる場面が多い。

しかし,データ校了(といっても,データ校了がどこを指すのかが違うケースもあるのだが)以降においては,用語の統一性の無さはかなり大きい印象だ。

とりあえず,DTP上での校了(RIP処理前の校了)をデータ校了ということにして,話を進めたいと思う。

とはいっても,「印刷する会社がDTPを行っている場合」と印刷する会社以外の「DTP専門会社やプロダクションなどがDTPを行った場合」でも使用している言葉が異なるケースが多いので,これも結構厄介だ。
そのため,DTP専門会社やプロダクションから印刷会社にデータを入稿する場合は,その工程を「オフ入」といったり「データ入稿」といったりする。もちろん,それ以外の呼び方もあるのだろうが,印刷する会社がDTPを行っている場合は,単純に「入稿」といったり「RIP入稿」といったり,さらに様々だ。
(※印刷会社でも,DTPだけを行う場合もあるので,ここでは「印刷する会社」と記した)

いずれにしても,行う作業としては,InDesignなどのDTPネイティブデータ(生データといったりもする)や印刷用PDF(PDF/X-4など)などのベクターデータを,まずはRIP処理してラスターデータにラスタライズするとともに面付け作業を印刷会社が行う。これを「オフ入またはオフ入稿(「オフセット印刷のための入稿」からの短縮だと思う)」,「データ入稿」,単に「入稿」,そして「RIP入稿」などといったりするわけである。
(ベクターデータ,ラスターデータ,RIP,ラスタライズなどは,別途調べてください。)

いずれにしても,この段階では刷版はまだ出ておらず,刷版を出す前にちゃんとラスタライズされ,面付けがちゃんとできているかを確認しなければならない。
そこで,フィルム時代でいうところの「青焼き」のような出力紙でチェックしておきたい。このフィルムにおける「青焼き」にあたるものを,CTPでは何というかが,これまたかなり千差万別である。

例えば,青くないので,「白焼き」や「黒焼き」というところもあったし,インクジェットプリンタで出力するので「インクジェット」というところもあった。
しかし,レーザプリンタで出力するところもあり,そいうところでは「レーザプリント」というのかどうかは知らないが,そういうところもあるかもしれない。
さらに,印刷会社からみれば校正紙であるので,普通に「プルーフ」というところもある。
またさらには,そのプルーフを出力する装置をDDCPとよんでいる印刷会社などは,プルーフ自体を「DDCP」とよんでいたりする。
さらには,版下入稿〜フィルム時代の色校正とはだいぶ校正する観点は変わってしまい,ほとんど色校正ができないような状態なのに「色校正」というところもある。
とはいっても,しっかりとカラーマネージメントができている印刷会社がDTPからオフ了まで一貫して行っているのであれば「色校正」といってしまってもよいのかもしれないが,私の普段の仕事上では,色校正はほとんどできない。なぜなら,プルーフの色と実際の色はまったく違うから…。
しょうがないのでそんなときは,1折くらいのみ刷版を先に出してもらい,刷り出しをチェックして,プルーフとの比較でだいたいの刷り上がりを想像するしかない。
(私はこれを本機校正というが,もしここで色がおかしかったら,データ上の色を再調整しなければならないので,かなり大変なのである)

おっと,ここで「刷り出し」という用語を使ったが,「刷り取り」というところもあるし,ほかにもあるかもしれない。

さて,とりあえずDDCPから出る校正紙を「プルーフ」と呼ぶことにして,話を進める。

このプルーフのチェックをするときに最終ゲラと突き合わせをするのだが,そのゲラを何と呼ぶか。(「ゲラ」自体も,現在はゲラやゲラ刷りといってよいかどうかは正直疑問があるが,ゲラという言葉が今でも最も広く使われている印象なので,とりあえずゲラと呼んでおくことにする。)

「最終ゲラ」「(データ)校了ゲラ」「カンプ」「出力紙」「校了紙(責了紙)」…。
ほかにもあると思うが,ちょっと考えるだけでいくつもある。

私は「カンプ」とよぶので「カンプ」で話を続けるが,「プルーフ」と「カンプ」を突き合わせて,正しくRIP処理されてベクターデータがラスターデータにラスタライズされているかどうかと,面付けが正しくされているかを主にチェックする。

そして問題なければ「オフ了(オフセット校了からの短縮だと思う)」となるが,ここではじめてラスターデータとなったので「データ校了」という人もいれば,ここがすべてにおいての校了なので「校了」といったり,RIP処理の校了で「RIP校了」といったりするところもある。もちろん,ほかにもあるだろう。

そして,刷版が出力されて印刷され,製本前に「刷り出し」や「刷り取り」と言われるサンプルが届いて(印刷会社内でのチェックで終えることもあるが),印刷の品質のチェックをして,だいたい編集者の制作上の仕事は終わる。

以上,ざっくりと書いたので,正確にいえば間違っていると印刷会社の人には指摘されそうな部分もあると思うが,何となく業界標準がないということはまとめられたような気がする。


本当は,ここにCTP以前の話題も加えられたらなおよいのだが,おそらくひっちゃかめっちゃかになりそうな気がするので,今回はやめておいた。

いずれにしても,プロダクションなどの編集者で,版元によって用語が違いすぎて困っている人,または出版社の若手編集者などで,プロダクションとの意思疎通がうまくいかずこまっている人などの参考にでもなれば幸いである。

また,私の言葉不足で内容が理解できなかった人などで興味が出た方は,個々に調べてみていただければと思う。

2013年7月30日火曜日

選択肢の数と種類

選択問題の選択肢の場合の数について,先の投稿で記した。

今回は,選択肢の数と種類について,少々記しておきたい。

先の投稿でも書いたが,選択肢がやたらと多い問題を見かける。
たとえば,「下の語群から選べ」といった類のもので,その選択肢がやたらと多いものである。
ときどき耳にする「多くの選択肢の中から適切なものを選ぶのも学力だ」という声が正しいのであれば,私は学力がないのではないかと思うことすらある。
そのような問題を解いてみると,正しい答えが見つけられず,より適切な答えを選択したところ,答え合わせをしてみると間違っている。答えをもとに選択肢を見ていると,確かに答えがある。つまり,わかっているのに,なぜか選択肢の中から正しいものを見つけられないということがあるのである。

このような多くの語群選択肢から選ばせる問題のとき,必ずというわけではないが,ひっかけの選択肢がある場合がある。それが目に入り,正しい答えが目に入らないといったケースがある。
さらに,普通,たとえば「色」を選ばせたいのならば,色の選択肢が近くに並んでいればよいのだが,行をまたいで並んでいるなどして,目に入らない場合もある。

こうして,理解しているのに,間違うという現象が起こる。

ふるいにかけるという意味ではこのような方法もありなのかもしれないが,正しい学力が測れているかどうかは,いささか疑問である。

テスト工学的には,選択肢は4つか5つくらいが学力判定する上でちょうどよく,適切に学力判定できるという研究結果もあるようだ。


さて,「色」について触れたので,今度は「色」の選択肢について,例をあげて選択肢の種類について少し検討したい。

次の選択肢を見てみる。
ア 黄色  イ 赤色  ウ 赤褐色  エ 茶色  オ 橙色

少々極端な例を上げてみたが,ときどき見かける選択肢の悪例である。もちろん,入試や模試では見かけることはまずないが…。

例えば,答えはウの赤褐色であり,問題作成者の意図としては,教科書に書かれている用語を選ばなければならないという主張であったとする。

しかし,この5つの選択肢は,どれほど違いがあるのだろうか。色というのは主観が入るものでもある。見る人によっては,すべて正解になってしまう。もちろん,5つが似通った色ではなくても,5つの選択肢の中に迷う2つ,例えばここでは「赤色」と「赤褐色」が混ざっているだけで,本当は理解できている人が,ここの2つに分かれてしまうということもありえる。
つまり,このような問題の場合,明らかに違う色を選択肢としてあげておかなければならないのである。

また,色の問題で,「どのような色に変化したか」と聞いているのに,選択肢の中に「変化しなかった」というものが混ざっている場合がある。
これは設問文自体は変化したことを前提にしているような文末のに,「変化しなかった」という逆のことを述べている。これも,無闇に受験生を悩ませるので,問題文を適切なものにすべきである。
そのほか,「透明になった」という選択肢もたまに見かけるが,「透明」は色ではない。強いて言えば「無色になった」である。なお,問題内容によるので,ここでは単純例として示しただけなので,鵜呑みにしないで欲しい。

また,経験として受験生が聞いたことがない選択肢もいささか疑問だ。
中学生を例に上げれば,だいたい取り上げられる色というのは決まっている。しかし,選択肢を増やすために,いたずらに教科書等でほとんど扱われない選択肢が並べられている場合もある。そもそも,そんな選択肢を選択するのは,おそらく統計的に集計すれば,よほど理解できていない生徒か,イージーミスした生徒だけになると想像できる。学力を判定するという意味では,ほぼ無意味の選択肢となるので,そんな選択肢を入れる必要はないと思う。

というわけで,選択肢1つ取り上げても,考えることは多々ある。
今回はこのあたりにしておこうと思う。


選択肢と場合の数

先日,Twitterにて項目応答理論のことを少しツイートした。

項目応答理論とは直接は関係ないが,間接的に関係する選択肢について,少し書いておこうと思う。

センター試験はもちろん選択肢であるが,高校入試においても選択問題というのは多く存在する。

特に,受験者数の多い東京や神奈川,愛知などは,採点効率を上げるためなのか,選択問題が多いのも特徴である。

このような選択肢を多様した入試は,「いかに選択問題によって学力の違いを正確に測れるか」ということももちろん考えられているが,それ以上に,「いかに学力がないものが偶然によって正解してしまう確率を減らせるか」ということも考慮しているのではないかと想像する。

そんなことを想像しながら,問題をつくる立場として,どのような選択肢がよいかということを,今回は「場合の数」をもとに考えたいと思う。

具体的な例として,文章穴埋め問題を取り上げてみる。

例えば,文章中に2つの空欄( X )と( Y )があり,それぞれが「A」または「B」のどちらから選択しなければならないとする。

このとき,それぞれAかBのどちらかなので,場合の数としては,2×2=4 で,4通りの選択肢ができる。

具体的に示すと,
ア X:A Y:A
イ X:A Y:B
ウ X:B Y:A
エ X:B Y:B
となる。

これが,3つの空欄( X )( Y )( Z )とると,2×2×2=8 で,8通りの選択肢ができる。

具体的に示すと,
ア X:A Y:A Z:A
イ X:A Y:A Z:B
ウ X:A Y:B Z:A
エ X:A Y:B Z:B
オ X:B Y:A Z:A
カ X:B Y:A Z:B
キ X:B Y:B Z:A
ク X:B Y:B Z:B
となる。

これは選択肢の組み合わせであるが,組み合わせではなく,それぞれ2択の問題として答えさせる入試ももちろんある。

しかし,この選択肢の並びは今年の愛知県の入試で出題されたもので,実際に組み合わせで出題されることもある。

ここで注目すべきは,アのA・A・Aから始まり,クのB・B・Bで,AとBの並び方にルールがあることである。
並び方に必然性があることで,問題解答者にの学力とは関係のないところでの,変な勘違いやイージーミスを減らすことができる。
ときどき,この選択肢の並べ方がバラバラなものがあり,「バラバラな中から選ぶのも学力の一つだ」という声も聞こえるが,果たしてそれは学力なのかと疑問に思うこともある。
純粋に理解できているかどうかだけを問うのであれば,並べ方に必然性があったほうがよいと私は考える。

また,入試によっては,場合の数としては8通りであっても,4択しか示せない場合もある。

今年の神奈川入試では,3つの空欄に対して,増加・減少のどちらかが入るというパターンの選択問題があった。
ここでは,問題の内容は考えず,とりあえず選択肢の並びだけに注目してみる。

実際の選択肢は,
ア X:減少 Y:減少 Z:増加
イ X:減少 Y:増加 Z:減少
ウ X:増加 Y:減少 Z:増加
エ X:増加 Y:増加 Z:減少
である。

ここには,
オ X:減少 Y:減少 Z:減少
カ X:減少 Y:増加 Z:増加
キ X:増加 Y:減少 Z:減少
ク X:増加 Y:増加 Z:増加
の4つの場合の数が消去されている。

実はこの問題は,生態ピラミッドに関する問題の選択肢であるのだが,生態ピラミッドの問題において,そもそも上記のオやクというのは,解答としてはほぼありえない。
選択肢が増えることで見間違いによるイージーミスを誘うくらいであれば,選択肢は少ない方が,より学力を正確に判定できると思う。

また,ここではアが正解だとすると,選択肢の定石として,その逆を置いておくということもある。ここではエがそれにあたるが,まったく反対の理解をしていないかということを確認することもできる。
では,イとウについての必然性であるが,まずこの2つは逆の関係にあり,上記の定石としての組み合わせとしてはよい。
では,同じくカとキの逆の関係との違いはどこかというと,残念ながら私にはイとウの組み合わせを選んだ出題者の意図は読み取れなかった。

実際の問題を見てみると,私ならばカとキの組み合わせでもよいのではないかと思う。
なぜなら,この問題であれば,XとZに逆の言葉が入るような印象を受けるからである。
このあたりの判断は,神奈川の実入試を見て,個々に判断してもらいたい。

というわけで,内容に深く踏み込まずとも,選択問題の選択肢についても,いろいろと工夫は凝らされていることは理解できる。

判定テストを制作する人たちは「こんなの当たり前だよ」と思うかもしれないが,意外と世の中に出回っているテストにも,このようなことが全く考慮されていないものは多数あり,イージーミスなどによって,実際は理解できているのに,実力以下の評価を受けている子どもたちがいないとはいいきれない。

作問する立場として,子どもたちに正しい評価が出る作問をしたいものだ。

2012年4月16日月曜日

PDFのオーバープリントシミュレート

昨今,というかだいぶ前からですが,出力紙を使用せずにPDFでDTP関連会社さんとやり取りをするような機会が増えています。

昨年の改訂作業の中では,8割程度が校正用PDFでのやり取りでした。

そうなると,編集部内のプリンタからPDFを紙に出力するのですが,その際に注意が必要でした。

制作している教材には教師用の別版があり,グラフなどへの作図の場合,その解答となる教師用版がオーバープリントになっている必要があります。

かつて,InDesignなどのDTPデータから出力紙をプリントアウトしてもってきてくださっていたときは,紙面上でオーバープリントになっているかどうかの確認ができました。

しかし,校正用PDFでのやり取りだと,オーバープリントの確認ができないという声がときどき聞こえます。

しかし,Adobe Readerでは環境設定を変更すれば,オーバープリントのシミュレートができますので,オーバープリントシミュレートの設定をしたうえでプリントアウトすれば,無事解決できます。


ところで,Adobe Readerをオーバープリントの設定をしたときに気をつけたいことが1つあります。
ベタやアミの上に白を乗せたときに,その白がオーバープリント設定になっていると,その白が見えなくなるということがありました。
同じ版であればオーバープリントせずにRIP化されるのかもしれませんが,校正段階では不安になる要素ではあるので,気づいたらオーバープリントになっていないかどうか確認したほうがよいかと思います。

difff デュフフ

日本語対応で簡単に差分が確認できるテキスト比較ツール「difff(デュフフ)」というものが,GIGAZINで紹介されていました。
http://gigazine.net/news/20120416-difff/

PDF上で差分をチェックできるソフトは,pageで紹介されていたり,独自で開発して業務で使用されていたりと,DTP関連会社さんでときどき耳にするようになりました。

しかし,編集部という半ばアナログの世界では,相変わらずアナログ的な作業も多い状況です。

そんなとき,この「difff」http://altair.dbcls.jp/difff/が役に立つかもしれません。

最近は出力紙を出してもらわずに,PDFで初校~校了まで済ませてしまう場合があります。

そんなときは,PDFからテキストデータだけを取り出して,difffにコピペすれば,多少は校正漏れが減るかもしれません。

とはいっても,複雑なレイアウトのDTPからテキストデータを何十ページ,何百ページと取り出すのは大変です。

使用する場面とすれば,オペレーターさんが戻し校に修正したというチェックが入っているものの,修正が反映されていない場合などではないでしょうか。

得てして,そのような場合は,修正指示をしていない場所,つまり修正する必要のない場所を間違って修正してしまっている場合があります。

そのような元々ミスではなかった場所が修正されていて,冷や汗を流した記憶のある方は,使用されてみてはいかがでしょうか。

2012年2月7日火曜日

手書き数式認識サイト

少し前に,手書き数式を認識するサイトがあることを,GIGAZINで知りました。
GIGAZIN:http://gigazine.net/news/20120203-latex-mathml-web-equation/

そのサイトが,以下になります。
http://webdemo.visionobjects.com/equation.html

マウスで書くのは多少骨が折れますが,ペンタブレットを用いれば,気持よく数式を表現することができます。

また,iPadでも試してみましたが,こちらもなかなか快適でした。

とはいっても,Wordで原稿を書くことが多い中学教材制作において,LaTeXで出力できても扱えない場合が多いので,宝の持ち腐れかもしれません。

高等数学以上になると,LaTeXで原稿を書かれる先生も多く,LaTeXからDTPへコンバートという話もときどき聞きます。

しかしながら,電子化により自由に教材を開発できるようになった昨今であれば,最終的な用途に合わせてどのようなプラットフォームで作成していくのがよいかということを考えたとき,意外と使える場面が多々出てくるかもしれません。

時間があれば,ちょっと試してみたいと思います。

2012年1月30日月曜日

半年振りの投稿

忙し過ぎた改訂期でしたが、教材制作に携わっている皆様は、どんな1年だったでしょうか。

1年を通して使用する教材が完成し、一段落したと思ったら、すぐに夏休み教材の制作に取り掛からねばならず、なかなか落ち着かない日々を過ごせない状況でしょうか。

私も、夏休み教材の制作をスタートしている傍ら、営業と同行で教材の販促をしたりと、なかなかゆっくりとした時間が取れません。

また、それ以上に、自宅で子供が起きている間は、パソコンにゆっくりと向かうこともままならず、小さな子供がいる中で自分の時間をつくることの難しさを実感する毎日です。


さて、中学の教科書が変わり、指導要領では大きな変化が予想されなかったところにおいても、用語や定義の変化などが見られ、少々戸惑いも出たかと思います。

そのようなところにおいても、また整理しておければと考えています。

2011年7月12日火曜日

執筆・校正をご協力いただける方いませんか?

改訂作業がピークを迎えております。

理科は中高で改訂が行われているため、普段ご協力いただいている方々も、いまは仕事があちらこちらから入っているようで、飽和状態です。

そのため、校正をお願いできる方が現在たいへん不足しています。

もし中学理科教材の校正にご協力いただける方がいましたら、ご連絡いただけたら幸いです。

連絡先は、プロフィール欄からご確認いただければと存じます。

また、原稿執筆にご協力いただける方も不足しています。

合わせてご連絡お待ちしております。

なお、経験のある方を優先致しますので、ご了承ください。



さて、めっきり家でパソコンを起ち上げなくなりました。
立ち上げなくなったというよりか、起ち上げると子供に邪魔されて、何も作業ができなくなったというほが、正しいかもしれません。

そのため、今回の投稿は、通勤電車の中から、スマートフォンで入力しています。

スマートフォンからの長文入力は疲れますね。

2011年4月18日月曜日

久しぶりの投稿

改訂期ということで,忙しい日々をお過ごしの方も多いと思います。

特に,小学校・中学校・高校と仕事をされている方も世の中にはいるようで,そのような方はかなり大変な日々を過ごされていることでしょう。

私も疲労が溜まってきている毎日ですが,改訂期のためというよりも,子育てと通勤とのトリプルパンチによる疲労蓄積が大きい状況です。

家にいると子どもと過ごしている時間が多く,ゆっくりとパソコンの前に座る時間も減ってしまい,ブログの更新も滞ってしまっております。

今日は久しぶりに子どもが早く寝付いてくれたおかげで,久しぶりにパソコンの前でゆっくりと座っていますが,そんな落ち着いた日々が続くことは,しばらくないでしょう。

東日本大震災によって,親として理科教材編集者として,いろいろと考えさせられることが多い毎日です。

いま自分ができることは,子どもたちのための,よりよい教材をつくることだけですかね。

かなりからだに疲労がたまっていますが,とりあえず気合で頑張りたいと思います。

2011年3月1日火曜日

美しい枠囲み

どのようなルールで文字組みをしていくか。

編集者それぞれのこだわりがあると思います。

理科の場合は図版も多いため,わたしは図版の中でも細かいルールを設定しています。

その中の一つとして,図中のネームのバックに網掛けをするときには,『天地左右のアキはネーム級数の半角とし,行末にぶら下がった句読点やカンマは,そのアキに入れる。』というものです。

すごくシンプルですが,ルール通りに作成するかしないかで,紙面の美しさが変わります。

次の図は,ネームが12Q14Hのときの例です。



少しでも見た目よく作ろうと思ったら,小さなこだわりをたくさんちりばめる必要があります。

皆さんはどのようなこだわりがありますか。