ラベル 中学理科(化学) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 中学理科(化学) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2014年4月2日水曜日

化学式用 英数字フォント

2月末に公開した「計算式用 英数字フォント」に続き,Wordで使える「化学式用 英数字フォント」を作成しました。
https://sites.google.com/site/fontforchemical/

商品として見栄えの質が高い化学系書籍や問題集などをつくるのであれば,InDesignなどのDTPソフトを使用すれば,綺麗な化学式や化学反応式は表現できます。

また,最近はInDesignで原稿を書かれる教材系のライターさんや教材系の編集者さんも一部いますので,著者レベルから間違いのない綺麗な化学式や化学反応式を表現される方もいます。しかし,そのような稀な方は,全体として1%にも満たないでしょう。

もちろん,教育現場である学校の先生や塾・予備校の先生にいたっては,InDesignを使用している人はほぼ皆無だと思われます。

私が知る限りですと,パソコンを使用してテストやプリントを作ったり,出版社からの依頼で原稿を書かれたりしている先生方の多くは,Windowsに標準搭載のフォントを用いて,Wordや一太郎の基本機能だけで原稿を書かれています。それが一般的な感覚でしょう。

もしかしたら,Wordで化学式を表現するためのアドオンを入れている方もいるかも知れませんが,現状出会ったことがございません。

そんな環境のなか,ちょこっとでも普段の使い勝手のまま,Wordで化学式や化学反応式を表現できる何かがあればいいのになぁ…と,かつて思ったことがありました。

そんな中,計算式用 英数字フォント を作成し,これを応用すれば化学式用にも展開できるかも…と思い,化学式用 英数字フォント を作成してみました。

完璧なものが出来たとはいえませんが,それでも「Wordの基本機能でそこそこ綺麗に化学式や化学反応式,示性式や構造式の一部を表現する」という目的は達成できたかな…といったところです。

複雑な構造式は表現できませんが,ご興味のある方はご利用してみていただければ幸いです。

2011年5月7日土曜日

電離と中和

GWもあと1日となりました。

長かったようで短かったような,何とも言えないGWでした。

改訂期ということで仕事が忙しいのは当たり前ですが,実家に帰って息子の顔見せをしたり,子どもの世話などの家族サービスをしたりということも,当たり前のようにしなければならないのが生活です。

今年は渋滞を避けて,平日移動等をしたおかげで多少は楽でしたが,それでも1歳にも満たない子どもを連れての長距離移動は大変でした。


さて,月に1回の更新となってしまっていますが,今日は子どもが早く寝付いてくれたおかげで,ブログを書く余裕が取れました。


新学習指導要領では,3年生で電離を絡めた中和の内容があります。


ここで気をつけておきたいことに,大きく2つあります。

1つは,

 水もわずかながら電離しており,電離平衡を保っていること

もう1つは,

 物質によって電離度が異なり,電解質を水に溶かしても,すべてが電離するわけではないこと
 (電離度が著しく小さく,電離平衡状態のものもあること)

です。


高校化学では当たり前のことですが,中学理科では電離度や電離平衡について触れないために,作問において条件設定を忘れる場合が散見されます。


問題内容にもよりますが,新学習指導要領の中学理科での作問では,次のような条件設定が必要です。

・水は電離しないこととする。
・水に溶けた電解質は,すべて電離しているものとする。

ほかにもいろいろと条件設定しなければならないことがあるかもしれませんが,なるべくこのような条件設定が必要な問題を作るのは避けるほうが理想です。

しかし,どうしてもこのような条件設定が必要な問題を出したい場合は,条件設定を忘れずにする必要があります。

2010年12月2日木曜日

言葉の順序

「二酸化マンガンに過酸化水素水を入れる」「過酸化水素水に二酸化マンガンを入れる」

「石灰石にうすい塩酸を入れる」「うすい塩酸に石灰石を入れる」


同じことのように思えますが,実際はそれぞれ前者のほうが適切です。

実験操作を行うときに,液体中に固体を入れると,液体がはねることがあります。

その液体が,からだに触れると危険なものである場合,固体を入れておいた状態で液体を静かに注ぐほうが,液体がはねる危険性が減ります。


理科教材の作成では,意識しておきたいものです。

2010年9月20日月曜日

固体・液体・気体

新学習指導要領で,固体・液体・気体の状態を粒子で表して学習するようになります。

この内容については移行措置で平成21年度から学習がすでに始まっていますが,念のため取り上げておきます。

固体⇒液体⇒気体となるにつれて,規則正しく並んでいた状態から粒子の運動が激しくなって,粒子間の距離が大きくなっていきます。

1年生で学習する内容であり,分子という言葉を用いないので大丈夫だとは思いますが,この粒子と分子をごちゃ混ぜにして扱ってしまわないように気をつけましょう。

特に水の場合は,状態変化で液体から固体になるときは,水素結合の関係で体積が増えます。

他の物質の状態変化とは事情が異なるため,水と粒子の状態を関係させたような問題は作成しないほうが無難です。

2010年9月10日金曜日

原子量

新学習指導要領では,周期表を扱うことになっています。

その周期表についてどこまで扱うことになるかは想像の域を出ませんが,周期表を教材等で載せる場合,原子量も載せるかどうかで迷うことが出てくるかもしれません。

原子量は,同位体の相対質量や存在比などによって決まっていますが,それらが変わるなどの理由からなのか,ときどき変更があります。

最新の原子量については理科年表にも載っていますが,IUPAC関連のサイトにも最新の原子量が掲載されています。

http://www.chem.qmul.ac.uk/iupac/AtWt/

112番元素のコペルニシウムなども,ここであればちゃんと扱われています。

それにしても,周期表を扱うのであれば元素についても説明しないといけないと思うのですが,新指導要領において元素はどうなるのでしょうか。

これまでのように原子だけだと,表現の限界があるような気もします。

いずれにしても,新しい教科書が楽しみです。

2010年8月1日日曜日

指示薬

中学理科では,酸・アルカリ指示薬として,BTB溶液とフェノールフタレイン溶液が出てきます。

BTB溶液は,酸性で黄色,中性で緑色,アルカリ性で青色と表現され,フェノールフタレイン溶液は,酸性と中性では無色,アルカリ性では赤色と表現されます。

しかし,指示薬にはそれぞれ変色域というものがあり,アルカリ性だからといってフェノールフタレイン溶液が必ず赤くなるわけではありません。

BTB溶液の変色域は,pHが6.0~7.6くらい,フェノールフタレイン溶液の変色域は,pHが8.0~9.8くらいです。

つまり,BTB溶液は中性付近に変色域がありますが,フェノールフタレイン溶液はアルカリ性寄りに変色域があります。

たとえば,pHが7.8くらいのアルカリ性の水溶液では,BTB溶液では青色を示すのに対し,フェノールフタレインでは無色を示します。

高校化学ではこのあたりを詳しく触れますが,中学理科教材の制作においても軽く押さえておいたほうがよいと思います。

2010年6月8日火曜日

元素図鑑:The Elements

iPadの登場で,電子書籍の話題を多く耳にするようになりました。

電子書籍については,もう何年も前からいろいろと話題にはなっていますが,やはり時代はAppleなのでしょうか。

iPadの登場で,電子教科書やら何やらと,いまさらのように騒ぎ出している感じを受けます。

さて,そのiPadのアプリとして,「元素図鑑:The Elements」というものが登場しました。

http://itunes.apple.com/jp/app/id372994518?mt=8


その名の通り,元素の図鑑で,元素のサンプルを3D表示でき,それをグルグルと回転させることもできるようです。

元素を覚えるのが苦手な人も多いと思いますが,このアプリのようなもので視覚的な情報を得られるようになれば,覚えやすく,また理科嫌いが少しでも軽減されるようになるかもしれません。


紹介されていているサイトも,あわせてご紹介いたします。

NAVICON
http://www.kyozaishinbun.com/article/news/01/02/ipad_2.html
教材新聞Web
http://navicon.jp/news/8133/

理科は視覚的に学習したほうがわかりやすいものが多くあります。

いまでも視覚的な教材は多々ありますが,今後はさらに増えていくと思われます。

2010年6月6日日曜日

反応熱

中学校の理科では,化学変化にともなう熱の出入りとして,燃焼熱,生成熱,中和熱が扱われています。

もちろん,中学では物質量や熱化学方程式等は扱われないので,化学変化にともなって熱が発生したり,熱を吸収したりする程度の話となります。

この化学変化にともなう熱の出入りが,新学習指導要領では2年生に学習することになります。

しかし,中和を3年生で学習することになることから,化学変化と熱の学習では,中和熱についての扱いはなくなるのかもしれません。


ところで,熱の出入りは化学変化だけで起こるわけではなく,状態変化や溶解などの物理変化でも起こり得ます。

冷却パックを例として,溶解熱を「発展」として取り上げられている教科書もあります。


中学では「化学変化にともなう熱の出入り」が学習内容となっているので,このような溶解熱等の物理変化にともなう熱の出入りは発展扱いとなります。

しかしどうせなら,状態変化にともなう熱の出入りも含めて,指導要領内としてしまってもよかったのではと,個人的には感じます。

それは,2年のからだのつくりとはたらきで,汗を扱いつつ,汗が体表から蒸発することで体温が下がるということから,気化熱を定性的に扱ってもよいのではという考えからです。

汗こそ,こどもたちにとって身近な内容であり,それを科学的に考察することこそが,理解を深めることにつながると考えられます。

そうはいっても,学校によっては,化学分野と生物分野のどちらを先に学習するかわからないので,関連性を出せないのかもしれませんが…。

いずれにしても,新学習指導要領では物理変化にともなう熱の出入りは学習指導要領外となるので,注意が必要です。

2010年5月27日木曜日

スチールウールの燃焼

激しく熱や光を出して物質が酸化することを「燃焼」といいます。

教科書を見ると,スチールウールを空気中で加熱すると赤っぽくなりながら反応し,加熱したスチールウールを集気びんなどに集めた酸素中に入れると,激しく燃焼するのが写真等からわかります。

さて,この2つの違いはわかりやすいのですが,大日本図書の教科書や学校図書の教科書に出ている,次の場合について疑問をもちました。

それは,空気中でガラス管を用いて空気を送りながらスチールウールを加熱するという実験です。
(学校図書の教科書では,呼気をガラス管から吹きかけるという操作)

さて,どのような反応を起こすのでしょうか。


どうしても気になったので,コンビニでスチールウールを買って帰り,自宅で実験してみました。


呼気を吹きかけずにガスコンロでスチールウールを加熱したときのようすが,次の写真です。





赤っぽくなりながら燃えているのがわかります。

もう少し,炎に近づけてみました。





そして,呼気をストローで吹きかけてみました。







シャッターをきるタイミングで雰囲気がだいぶ変わりますが,酸素中での燃焼までとはいえなくても,熱や光を出して燃焼しているといってもよいような反応は示しました。

(呼気の勢いで,熱で切れたスチールウールの小片が舞っているだけのようにも見えますが…。)

大日本図書の教科書では空気,学校図書の教科書では呼気でしたが,呼気も16%程度は酸素なので,空気とあまり変わらない結果になるでしょう。

ちなみに,撮影はこんな感じで行いました。参考までに。

2010年4月3日土曜日

溶解度

物質ごとの溶解度を紙面等で表示する際に,理科年表のデータを用いることがあると思います。

しかし,中学校では溶解度を100gの水に溶ける物質の質量で表しているのに対し,理科年表では100gの飽和水溶液中に溶けている物質の質量で表されています。

そのため,数値を換算しなければなりません。

というわけで,エクセルを用いて計算してみました。



範囲B3~G6に記されている数値が,理科年表に掲載されている値です。

これを,範囲H3~M6に100gの水に溶ける物質の質量として換算しています。

計算式は簡単です。例えばH3には,次のような式が入っています。

  =(100/(100-B3))*B3

100g飽和水溶液中の水(溶媒)の質量を引き算で出し,その水の量を100gにしたときの比率で掛けただけです。



さて,ここで注意したいのが,これらの物質が無水物ということです。

中学校の実験で用いられている硫酸銅は,硫酸銅(Ⅱ)五水和物です。

そのため,硫酸銅を水に溶かしていくと,五水和物も一緒に溶けていくことになります。

よって,硫酸銅については,このことを踏まえて溶解度を算出し直さなければなりません。

というわけで,分子量を利用して算出してみました。



硫酸銅(Ⅱ)無水物の分子量が160,硫酸銅(Ⅱ)五水和物の分子量が250なので,無水物の値に250/160を掛ければ,五水和物の値になります。

例えば,D4のセルには =D3*250/160 の式が入ります。

ついでに,水和物の質量も出しておこうと思えば,例えばD5のセルには,=D4-D3 を入れればよいだけです。

さらに溶媒の質量も出しておこうと思えば,例えばD6のセルには,=100-D4 と入れればよいでしょう。


下の2行(五水和物・溶媒(水)の量)は余談ですが,100gの水に溶ける硫酸銅(Ⅱ)五水和物の質量を求めるには,先と同じように計算すればよいだけです。

例えば,J4のセルには,

  =(100/(100-D4))*D4

と入れるだけです。


ご興味のある方は試してみてください。

2010年3月8日月曜日

高校入試と再結晶

再結晶の用語の定義について,以前取り上げました。

さて,そんな再結晶という用語が,実際の高校入試ではどのように取り扱われているのでしょうか。


とりあえず,今年の鳥取の入試問題で再結晶の用語を答えさせる問題が出されました。


設問は次の通りです。

『実験のように,物質をいったん水にとかし,溶液の温度を下げたり,溶媒を蒸発させたりして物質をとり出す操作を何というか,答えなさい。』


というわけで,蒸発も再結晶に含めており,教科書に忠実な設問でした。

公立高校入試は地域で採択されている教科書に忠実であるべきなので,このようになるのでしょう。

2010年2月20日土曜日

112番元素コペルニシウム

112番元素が「コペルニシウム」と命名され,元素記号は「Cn」となることが公式決定したようです。


詳細は,以下のasahi.comよりご覧ください。

「ahahi.com」
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100220k0000e040017000c.html?inb=ra


また,あわせて国際純正および応用化学連合(IUPAC)のサイトでも発表がされていました。

「IUPAC」
http://www.iupac.org/web/nt/2010-02-20_112_Copernicium


今後,教科書等も修正されていくと思われます。


もちろん,現在の教材の多くは,教科書と同様に,111番元素まで示されたものになっていると思われます。

教材の改訂の際には,周期表修正を忘れずにしたいものです。


また,公式認定されていない118番元素までを掲載している周期表も,一部でみかけます。

そのような周期表では,112番元素が「ウンウンビウム」と示されていると思います。

もしそちらも仕事で接する機会があれば,修正を忘れずにしたいものです。

2010年2月18日木曜日

再結晶

今回は再結晶について,教科書や辞典を見比べてみます。

再結晶という用語についてときどき分からなくなるのが,水に溶けている溶質を,溶媒を蒸発させて取り出す操作も含んでいるのかということです。

それでは,教科書を見比べてみましょう。


まず中学校からです。


東京書籍
『固体の物質をいったん水にとかし,溶解度の差を利用して,再び結晶として取り出すこと』

蒸発を含んでいるようには読み取れません。

しかし,水を蒸発させることで水の量が減れば,溶けることのできる溶質の量が減るので,溶解度の差を利用しているともいえなくもありません。


啓林館
『物質をいったん水などの溶媒にとかし,温度を下げたり溶媒を蒸発させたりしてふたたび結晶としてとり出す操作』

明らかに蒸発させる操作も含めて再結晶と言っています。


大日本図書
『実験6のように,一度溶かした物質を再び結晶としてとり出すこと』

実験6では,冷却によってとり出す方法と,蒸発させてとり出す方法の2種類があるので,蒸発させる操作も含めて再結晶といっていると読み取れます。


では,高校の教科書です。


東京書籍
『溶媒に溶ける物質の量が温度によって変化することを利用し,目的とする物質を析出させて不純物を除く操作』

温度による溶解度の差なので,蒸発させる操作は関係ないように読み取れます。
例として示されているのも,冷却による操作だけです。


啓林館
『固体を溶媒に溶かし,溶解度の差を利用して分離,精製する方法』

例として示されているのが冷却による操作なので,蒸発による操作は関係ないように読み取れます。
また,『分離,精製する操作』と書いてあります。
蒸発による操作では,水に溶ける2種類以上の混合物からなる水溶液から特定の溶質をとり出すことはできません。
そのようのな意味でも,蒸発による操作は再結晶という言葉の中には含まれないと読み取れます。


実教出版
『不純物が混じった固体を熱水などに溶かし,冷却するとほぼ純粋な結晶をとり出すことができる。この操作を再結晶という。』

また,再結晶は『混合物から純物質を分離・精製する』方法の一つだともいっています。
蒸発による操作ではそれができません。
よって,蒸発による操作は再結晶という言葉には含まれていないと読み取れます。


続いて,辞典を見てみます。


岩波書店 理化学辞典
『…温度による溶解度の相違を利用…とか,溶媒を蒸発させて濃縮するとか,溶液に他の適当な溶媒を加えて溶解度を現象させる…』

蒸発による操作も含めています。


東京化学同人 化学辞典
『…適当な溶媒に溶解し,温度による溶解度の差や,溶液の濃縮や他の溶媒の添加などによる溶解度の減少あるいは共通イオン効果を利用し,…』

蒸発による操作は含まれていません。



多数決でいくと,

・蒸発による操作を含む(3票)
  中学大日,中学啓林,理化学辞典

・蒸発による操作を含まない(5票)
  中学東書,高校東書,高校啓林,高校実教,化学辞典

ということで,蒸発による操作は含まないとなります。

しかし,少々強引ですね。

どっちが正しいというわけではなさそうですが,私の見解としては,「不純物から純度の高い物質をとり出す」ということまで考えると,蒸発による操作は含まないとしたいところです。


正確な情報を知っている方がいらっしゃいましたら,教えていただければ幸いです。

2010年2月17日水曜日

石灰水と二酸化炭素の反応

石灰水について,あるSNSで少し話題になっていました。

中学理科の制作に携わっている方も知っておくとよい知識なので,今回は石灰水と二酸化炭素の反応について記しておきます。


中学校では,石灰水に二酸化炭素を通すと,石灰水が白く濁ることを習います。

しかし,さらに二酸化炭素を通し続けると,石灰水は透明になります。
このことを,意外と知らない方が多いようです。


石灰水に二酸化炭素を通したときに白くなるのは,炭酸カルシウムCaCO3が沈殿するからです。

このときの反応は,

  Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O

です。

しかし,さらに二酸化炭素を通し続けると,カルシウムイオンと炭酸イオンに電離して,炭酸水素カルシウムの透明な水溶液になってしまいます。

そのときの反応は,

  CaCO3+H2O+CO2⇔Ca2++2HCO3

です。

なお,この反応は可逆反応(どちらの向きにも起こる反応)です。

ブログでは可逆反応の矢印が表現できなかったので,「⇔」を用いています。


この炭酸水素カルシウムの水溶液を加熱して二酸化炭素が放出され,再び炭酸カルシウムの白色沈殿が生じます。


中学理科教材制作でも,今回のSNSでの話題のように,ときどきこの話題を耳にします。

知っておくとよいかと思います。

2010年2月13日土曜日

蒸留と分留

蒸留と分留の用語の違いについて,今日は記しておこうと思います。

中学校の教科書だけを見ていると,蒸留という用語の意味があやふやになりかねないので,分留との違いを高校の教科書や辞典をもとに,まとめておきたいと思います。


さて,蒸留について,中学校の教科書ではどのように示されているかというと,次のようになっています。

・東京書籍
『液体を熱して沸騰させ,出てくる蒸気(気体)を冷やして,再び液体にして取り出すこと』

・啓林館
『液体を加熱して沸とうさせ,出てくる気体を冷やしてふたたび液体にして集める方法』

・大日本図書
『液体を加熱していったん気体にし,それをまた液体にして集める方法』

つまり,「液体を蒸発させて気体にし,それを再び液体にすることが蒸留である」というように読み取れます。


では,高校の教科書ではどうかというと,次のような表記です。

・東京書籍
『海水から純水を得る場合のように,混合物である溶液を加熱して目的とする成分を蒸発させ,再び液体にして回収し,残った溶液と分離する操作』 

・啓林館
『液体を含む混合物を熱して沸騰させ,その蒸気を冷やして液体の分離,精製を行う操作を蒸留といい,海水から水(蒸留水)を取り出すなど,沸点差の大きい混合物でよく行われる』

高校の教科書の表記では,混合物の分離も含めて蒸留であると読み取れます。

また,高校の教科書では,中学校の教科書と違って,分留についても述べられています。

・東京書籍
『沸点の異なる2種類以上の液体からなる混合物も,成分物質のわずかな沸点の差を利用して,適当な温度範囲に分けて蒸留することにより分離することができる。この操作は分留と呼ばれ…』

・啓林館
『沸点差の比較的小さい液体混合物を蒸留により適当な温度間隔で区切って分離することを特に分留(分別蒸留)といい…』

つまり,「沸点差を利用して混合物を分離する方法はすべて蒸留というが,特に沸点差の小さい混合物を分離する場合は分留と呼ぶ」というように読み取れます。


では,辞典を調べてみます。

岩波書店の理化学辞典では,蒸留を次のように述べています。

『溶液を部分蒸発させ蒸気を回収して残留液と分離する操作』

なお,分留については記されていませんでした。


東京化学同人の化学辞典では,次のように述べています。

『液体混合物の成分分離を行う操作』

なお,分留については,「分別」の項でまとめられており,「分別」とは次のような意味であると述べられています。

『性質の似たいくつかの物質(または成分)から成る混合物を,それらの物質の物理的・化学的性質のわずかな差を利用して,それぞれの物質(または成分)に分離する操作』


以上より,啓林館の高校教科書で分留を「分別蒸留」と括弧で示しているように,分留とは,蒸留の中の一部であり,かつ分別の中の一部であるということが読み取れます。

中学の教科書だけ見ると,あくまで「液体を蒸発させて気体にし,それを再び液体にすることが蒸留である」と読み取れなくもないですが,蒸留という用語には,混合物を分離するという意味も含まれているということが,高校の教科書や辞典から分かります。


なお,中学校の教科書も,その部分だけを見ると誤解しがちですが,

・東京書籍
『沸点のちがう液体どうしの混合物は,蒸留を利用して,それぞれの物質に分けることができる』

・啓林館
『蒸留を利用すると,混合物中の物質の沸点のちがいにより,物質を分離することができる』

・大日本図書
『蒸留を利用すると,いろいろな液体の混ざった物質から,沸点の違いによってそれぞれの液体を分けてとり出せる』

というように,もちろん混合物の分離まで含めて,蒸留の話は展開されています。


理科の本質は用語を覚えることではないと思っているので些細なことかもしれません。

しかし,教材を編集している私が中学校の教科書をじっくり読んでいると,このような表現だと若干誤解して意味を読み取ってしまいそうになります。

2009年11月5日木曜日

l と I

lとI。これは,1バイトで入力したアルファベットです。

前が小文字のエル,後ろが大文字のアイです。

WEB上でも見分けがつきにくいですが,書籍上でもフォントによっては違いが分からない場合が多々あります。

内容を読めばどちらかというのはほとんど分かるのですが,学参の場合は,多少は気を使ったほうがよいかと思います。

例えば,元素記号をゴシック系で表現するときがあります。

私は中ゴBBBを好んで使うので,試しに小文字のエルと大文字のアイを表すと,次のようになります。



違いがほとんどわかりませんね。


元素記号は中ゴBBBでやるんだと決めたんだから,これでいいじゃないかと思う方もいるかもしれません。

また,小文字のエルだけで表される元素記号もありませんから,1文字でエルだかアイだか分からないのが出てきたら,アイに決まっているとおっしゃる方もいるかもしれません。

しかし,違いが分かりにくいという事実は変わりません。

じゃあ,変えましょう。

別に中ゴBBBじゃなくてもいいじゃないですか。

大文字のアイだけリュウミンMにしてしまいましょう。



これならパッと見て大文字のアイだと分かりますし,ヨウ素だって一目で分かるじゃないですか。

では,リュウミンMの大文字アイと中ゴBBBの小文字エルの入ったイオン反応式を試しに作ってみましょう。



すごく見やすくなったように思えませんか。

なお,数字はリュウミンM,+と-はじゅん101,矢印は中ゴBBBを加工した画像といった感じで,個人的なこだわりも入っています。

美しい化学反応式の表現については,また別の機会で取り上げようと思いますが,化学反応式がきれいに紙面上で表されていると,紙面がびしっとしまった感じがします。

というわけで,まずは大文字アイと小文字エルの違いを出すことから始めてみてはいかがでしょうか。

2009年11月2日月曜日

燃料電池電気自動車

10月30日(土)に,幕張メッセで行われている,東京モーターショー2009に行ってきました。

2007年にも行ったため,そのときと比較する形での見物となりましたが,やはり不況の影響はかなり出ていたようです。

まず,規模が前回に比べて,かなり小さくなっていました。

展示スペースも大幅に縮小された印象もありましたが,それ以上に輸入車のブースがほとんどないということに寂しさを感じました。

また,何とかホールの空きスペースを埋めようと,自動車メーカーやパーツメーカーなどのブースだけでは足りなかったためか,親子向けのイベント会場であったり,FMブースであったりと,本筋とは違うブースが目立ったのも,かえって寂しく感じました。


さて,今回のモーターショーは,ハイブリッドカーや電気自動車などによってエコを謳っているメーカーが多かったのですが,個人的にはいわゆるスポーツカーのほうが好きなので,前回の日産GT-Rがメインだったのにくらべて,少々盛り上がりに欠けました。

ところで,ホンダのFCXクラリティやトヨタのFCHVなどの燃料電池電気自動車も展示されていたようですが(この2台はあまりしっかり見ていませんでした…),この「燃料電池電気自動車」の表現が,数年前までは「燃料電池自動車」といわれることが多かったように思います。

しかし現在は,「電池」ということばを入れて「燃料電池電気自動車」,略して「FCEV」です。

理由はさだかではないですが,何となくトヨタとホンダ以外が「ハイブリッドカー」ではなく「電気自動車」の開発に重点を置いているため,「燃料電池自動車」も実質は「電気自動車」の1つであるため,「電気」ということばを入れたのかもしれません。

いずれにしましても,調べてはいませんが,教科書等で「燃料電池電気自動車」となっている可能性が高いので,それにあわせて「燃料電池電気自動車」で統一するようにしたほうがよいかと思います。

2009年9月24日木曜日

水素

9月23日に,三鷹市の市民協働センターで行われたサイエンスカフェに行ってきました。

日本の理科教育界の礎を築き,サイエンスショーの草分け的存在として知られている縣秀彦さん,左巻健男さん,滝川洋二さんの3名がゲストとして招かれ,「科学を文化に」をテーマに語られました。

さて,そのなかで左巻さんのお話の中で,水素に関する実験が行われました。

炭酸水素ナトリウム水溶液を電気分解して水素と酸素を発生させ,その水素と酸素が混ざった気体をシャボン玉に閉じ込めます。そのシャボン玉を点火すると,「パンッ!」と激しい音を立てて燃えるという実験です。

中学校の教科書では金属にうすい塩酸を加えて,それを水上置換などによって試験管に集めて,それにマッチの火を近づけると,水素が爆発して燃えて水ができることを学びます。

また,教科書には水素の発生口に直接火を近づけないようにとか,水素と酸素が混ざり合った状態で火がつくと激しい爆発が起こり危険であることが記されています。

さらに予備知識として,水素爆弾などが危険であったり,ロケットエンジンに液体水素が用いられているなど,水素はかなり大きな化学エネルギーを備えているのであろうということも想像できるかもしれません。

しかし,それを実感する機会というのはなかなか得られません。

高校入試対策教材などでも,「ポンッ」と音を立てて燃えるなど,それほど大きなエネルギーを持っているという印象は得られない始末です。

その実感を,このサイエンスカフェで得ることができました。

直径1~2cm程度のシャボン玉を点火すると,かなり激しい音で「パンッ!」という音とともに水ができました。

文字で表現しても伝わりにくいかもしれませんが,かなりのものです。

さらにその水素と酸素の混合気体を3~5mくらいの細い透明なチューブに入れて同じように点火したところ,同じく激しい音がなりました。

この実験を公教育の現場でやることは難しいかもしれませんが,実感をともなう科学とは,こういうことかもしれません。


このサイエンスカフェの話の中で,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている高校で理科の実験をしていないところがあるという実態を聞きました。

実験をやることによってテストや模試の成績が下がることは許されないため,結果として知識偏重の授業となってしまっているようです。

実験・観察がすべてではないですが,少々さびしいお話です。


また,理科教材を制作している私が,紙面上だけでの知識で制作していることの危うさも,少々感じてしまいました。

実験をしっかり行っているような現場の先生方の意見を聞いてつくられる教科書と違い,教材はそのような方々に手伝っていただくことは少ないかと思います。

教科書までとはいわないまでも,少しでも実感の伴った教材が制作できればと感じられたサイエンスカフェでした。

112番元素

シルバーウィークにより更新が止まっていましたが,本日より再開いたします。

さて,少し前の話になりますが,112番元素が正式に認定され,名前の候補として「コペルニシウム」が提案されているとの報道がありました。

元素が最後に認定されたのは,2004年の111番元素「レントゲニウム」でした。
そのため,それ以降の教科書等に掲載されている周期表では111番元素までしか載っていません。

しかし,1996年にドイツの研究者が112番元素の合成に成功するなど,112番目以降の元素の存在も発表されていました。

実験や検証などが不十分であったためウンウンビウムなどの仮称が用いられていたのですが,日本の研究者が合成に成功するなど,国際純正・応用化学連合(IUPAC)により112番元素が正式に認定されたようです。

正式認定されたことにより112番元素を発見したドイツの研究グループが「コペルニシウム」という名称を提案しているそうで,数か月後にはIUPACが最終決定するそうです。

さて,中学校の教科書は平成24年度(2012年度)から新教科書になり,高校の教科書も平成25年度(2013年度)から新教科書になります。

おそらくその頃までは正式名称も決定し,教科書も更新されることと思います。
そのため,新学習指導要領による教材制作で周期表を扱うことがあれば修正する必要があるかもしれませんし,もし,それまでに正式名称が決定していれば,これから制作する教材等ではそれを反映する必要があります。

そのため,112番元素の名称の正式決定には,少し耳を傾けておいたほうがよいかと思います。