2010年11月13日土曜日

アノマロカリス

『地球最古の大型捕食動物と考えられていた、エビに似た巨大な生物アノマロカリス・カナデンシスが、実際はぜん虫類を主食とする“軟弱者”だったとする最新の研究が発表された。』という記事がありました。

詳細は,以下のURL(ナショナルジオグラフィックニュース)をご覧ください。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20101104004&expand


古生代カンブリア紀の代表的な動物であるアノマロカリスは,個人的には大好きな動物です。

最初にアノマロカリスを知ったのは,高校生くらいのころだったと思います。

高校生のとき,NHKスペシャルで,「生命40億年はるかな旅」という進化に関する特集をやっていました。

いまだにそのNHKスペシャルを見て感動したことを覚えているのが,アノマロカリスの特集です。

クラゲのような形の動物の化石だと思われていたものが,大型の捕食性動物であるアノマロカリスであり,それがわかったことで説が覆されたといったようなことを述べていた記憶があります。

そのクラゲのような形の化石が,大型捕食動物であるアノマロカリスの口であることがわかったことから,三葉虫などの硬い殻をもつ生物を噛み砕いて食べていたのだと言っていたことも,何となく覚えています。

また,アノマロカリスのラジコンをつくり,プールを泳がせていたところをみて,当時すごく感動しました。

そのNHKスペシャルを見たあと,学校の図書館で進化に関する図鑑を見ていたことも,何となく覚えており,「進化っておもしろい」と感激していた時期でした。


さて,その記憶が覆されるのが,今回の記事です。

アノマロカリスの口は,三葉虫のような硬い殻を持つ生物を噛み砕くことはできなかったのではないかという説です。

進化については説が時々説が覆るのでおもしろいのですが,仕事上は注意をしていないと,嘘をいってしまうことにもなりかねないので,注意が必要です。

2010年11月1日月曜日

神経細胞

中学2年でヒトのからだについて学習するとき,次の図のような神経細胞の簡略図を示すことがあると思います。



この図について,簡略図とはいえ,基本的な間違いをよく見かけます。

そもそも,この簡略図がどのような図を簡略化しているかというと,次のような図です。
(ちょっと雑ですが…)



つまり,簡略図にネームを書き足すと,次のようになります。



まず基本的なこととして,神経細胞は細胞体と軸索からなりますが,感覚神経の細胞体がない図を多々見かけます。

神経細胞としての基本構造が成っていません。

続いてよく見かける間違いが,次のような図で,赤で示した神経細胞です。



2つ目の図で「伝導」と「伝達」というネームと矢印を入れていますが,伝導は電気信号,伝達は化学物質による信号で,それぞれ伝わる方向に規則があります。

電気信号である伝導は,刺激を受けたところからどちらにも伝わりますが,化学物質による伝達は,神経末端のシナプス小胞からシナプスに放出される神経伝達物質が,次の神経細胞の細胞体の樹状突起に興奮が伝わります。

つまり,神経末端から細胞体の方向へ伝達するのに,神経末端から神経末端に伝達が起こってしまっています。

これはさすがにおかしいと思います。

描くとすれば,



または,



でしょうか。

これなら,神経末端から細胞体へ伝達している図になると思います。

最後に,感覚細胞の細胞体を示す際に,背根のない図もよく見かけます。

感覚神経の細胞体は,背根にありますので,背根のない図も,違和感を覚えます。



かなり簡単な説明ですが,簡略図とはいえ,基本は押さえておいたほうがよいと思います。

なお,反射には,膝蓋腱反射のように,介在神経を介さず,感覚神経と運動神経のみの単一シナプス反射もあるので,(中学理科ではあまり影響はないとは思いますが,)注意が必要です。