2010年11月1日月曜日

神経細胞

中学2年でヒトのからだについて学習するとき,次の図のような神経細胞の簡略図を示すことがあると思います。



この図について,簡略図とはいえ,基本的な間違いをよく見かけます。

そもそも,この簡略図がどのような図を簡略化しているかというと,次のような図です。
(ちょっと雑ですが…)



つまり,簡略図にネームを書き足すと,次のようになります。



まず基本的なこととして,神経細胞は細胞体と軸索からなりますが,感覚神経の細胞体がない図を多々見かけます。

神経細胞としての基本構造が成っていません。

続いてよく見かける間違いが,次のような図で,赤で示した神経細胞です。



2つ目の図で「伝導」と「伝達」というネームと矢印を入れていますが,伝導は電気信号,伝達は化学物質による信号で,それぞれ伝わる方向に規則があります。

電気信号である伝導は,刺激を受けたところからどちらにも伝わりますが,化学物質による伝達は,神経末端のシナプス小胞からシナプスに放出される神経伝達物質が,次の神経細胞の細胞体の樹状突起に興奮が伝わります。

つまり,神経末端から細胞体の方向へ伝達するのに,神経末端から神経末端に伝達が起こってしまっています。

これはさすがにおかしいと思います。

描くとすれば,



または,



でしょうか。

これなら,神経末端から細胞体へ伝達している図になると思います。

最後に,感覚細胞の細胞体を示す際に,背根のない図もよく見かけます。

感覚神経の細胞体は,背根にありますので,背根のない図も,違和感を覚えます。



かなり簡単な説明ですが,簡略図とはいえ,基本は押さえておいたほうがよいと思います。

なお,反射には,膝蓋腱反射のように,介在神経を介さず,感覚神経と運動神経のみの単一シナプス反射もあるので,(中学理科ではあまり影響はないとは思いますが,)注意が必要です。