2009年10月27日火曜日

△=三角

理科教材というよりも数学の話かもしれませんが,今日は「△」の話題です。

教材では,「△ABC」という場合などによく用いられます。

この「△」のフォントによるデザインに,違和感を覚えます。

私はモリサワのリュウミンRを使用することが多いので, 試しにすべてリュウミンRの14Qで○△□と△ABCと入力してみると,次のようになります。



△が平たい二等辺三角形となり,格好悪くないでしょうか。

では,リュウミンRのまま,何とかして△を正三角形にしてみたいと思います。

左右の大きさを□にそろえると,△を15Qにして130%長体をかけるとよいようです。

ただし,ベースラインが上によってしまったので,0.7H下げました。



しかし,長体をかけたことによって,△の底辺の線の太さが130%の太さになってしまい,やや違和感が出てしまいました。

では,思い切って△のみ小塚明朝Rにしてみましょう。
ただし,ベースラインがリュウミンと違うため,○と□にあうように0.4H下げました。



さっきよりはよくなったような気がしませんか。


では,△だけ小塚明朝Rにするのもややこしくなるので,○△□の3つとも小塚明朝Rにしてしまったらどうでしょうか。



特に違和感がないように思えますが,小塚明朝のベースラインがリュウミンよりはやや上なのでしょうか,リュウミンのABCよりもやや上がって見えます。

どうせなら,○△□の3つとも,やや下げたほうがよいかもしれません。
試しに,0.5H下げてみました。



なかなかバランスがよいのではないでしょうか。


では,小塚明朝は使わずに正三角形の画像を作って本文に埋め込んだらどうでしょうか。



これでも問題ないですかね。しかし,画像を埋め込んだときのベースラインの調整等でいらぬ仕事やミスが増えないとも言いかねませんので,最適とはいいかねません。


とりあえず,今回試したものの中では,○△□を小塚明朝にして0.5H下げたものが最もよいでしょうか。

先日も話題に上げましたが,現在は合成フォントができるので,○△□を最初から小塚明朝で組みあがるような設定にしておくとよいかと思います。


さて,今回は○△□の3つでしたが,まだほかにも「×」というやっかいな存在があります。

こちらについては,また別の機会にお話しします。

2009年10月25日日曜日

移行措置スケジュール

新学習指導要領の移行措置が今年(平成21年度)から始まっていますが,念のため記しておきます。


中学校理科の移行措置はなかなか複雑で,意外と現場の先生方や父兄の方が理解していないということも多いようです。

もちろん教材を制作している私などはしっかり理解しているつもりではありますが,移行措置が細かすぎてときどき混乱を起こしてしまいます。


それでは,順番にあげていきましょう。



●平成21年度

1年生と3年生で移行措置が始まりました。

1年生では,「種子をつくらない植物のなかま」などの追加事項のほか,学年間移動で3年生で習うことになった「力のつり合い」などが削除になりました。

3年生では,「仕事とエネルギー」などの追加事項が始まりました。


●平成22年度

1年生と3年生の移行措置は平成21年度のままで,2年生(平成21年度は1年生)にも移行措置が始まります。

2年生の移行措置の内容は,「電流が電子の流れであること」などの追加のほか,3年生から「酸化と還元」や「化学変化と熱」が移動してくるなどもあります。


●平成23年度

3年生において,さらなる移行措置があります。

平成22年度までは3年生で履修していた「酸化と還元」や「化学変化と熱」が削除されたり,1年生から移動してきた「力のつり合い」などが追加されたりと,また複雑な移行措置となります。



さて,おさえておきたいことの1つは,平成22年度の3年生と平成23年度の3年生が違うということです。

移行措置によって平成21年度に入学した生徒は,一応新学習指導要領での学習となっていますが,同時に移行措置が行われているそれより上の学年の生徒は,完全な新学習指導要領ではありません。

このあたりを現場の先生方などが意外とわかっていない可能性があります。


また,教材制作の立場でいうと,微妙な部分が多々見え隠れします。


例えば,「酸・アルカリ・中和」が1年生から3年生に移動しました。

では,「気体の性質」で二酸化炭素が水に溶けて酸性を示したり,アンモニアが水に溶けてアルカリ性を示すというところの表現はどうしたらよいのでしょうか。

酸性・アルカリ性については小学生でも習っているため,中和という言葉さえ使わなければよいのでしょうか。

また,BTB溶液は使ってよいのでしょうか。1年で行う2分野の光合成と呼吸の実験などでもBTB溶液は使いますので,そういうところとの整合性とはどうしたらよいのでしょうか。


「化学変化と熱」が2年生に下りてきますが,そこで「エネルギー」という言葉は使ってよいのでしょうか。

「エネルギー」の概念は3年生で初めて学習することになるはずです。ということは,新指導要領の「化学変化と熱」では,「熱が出入りする」という表現とし,「熱エネルギーが出入りする」はダメなのでしょうか。

しかし,1年生の光合成などでは「光のエネルギー」というような表現も使いますので,「○○エネルギー」ではなく「○○のエネルギー」という表現なら大丈夫なのでしょうか。


こんな微妙な部分の疑問が多々あります。

平成24年度の新教科書が出るまでは,文部科学省が意図しているところは正直分かりません。
しかし,教科書が出る前に教材作りをしなければならない場面は多々出てきます。

そのため,結局は私なりの解釈で進めていかなければなりませんが,それにしても悩ましい問題ばかりです。

2009年10月24日土曜日

言葉の使い方の間違い

ここのところ忙しい日々が続いており,更新が滞ってしまいました。

さて,忙しいとはいっても,通勤時間が長いため,毎日往復で2時間くらいは,電車の中で読書などに時間を使うことができます。

まあ,朝は電車の中で寝てしまっていることも多いので,実質は1時間くらいなのですが…。


そんな前置きはいいのですが,今週ある有名な小説を読み終えました。
有名とはいっても最近出たものではなく,少し前のものです。


その小説を読んでいて気になったことがありました。



最近,正しい意味で言葉が用いられなくなったという話題がメディアで時々取り上げられます。
その小説でも,間違った用法である言葉が使用されていました。


そのことばが「煮詰まる」です。


「煮詰まる」とは,「議論・交渉が結論の段階に近づく(三省堂 Web Dictionary)」という意味です。
これを,「行き詰まる 意味:先へ行けなくなる,進退に窮する(三省堂 Web Dictionary)」と間違えて使用していました。

それも,気づいた限りでは2か所ありました。


編集という仕事上,そのような間違いに違和感を覚えるというのもありますが,最近はこのような間違いをする人が多いようです。


また,この間違いに違和感を覚えた人はいないかとインターネットで調べてみると,同じ小説内で「力不足」を「役不足」と間違えて使用している箇所もあったと指摘している人がいました。

これは私も普段間違えて使ってしまいそうになる言葉であったため,見逃してしまったようです。


さて,言葉というのは時代とともに変わるもので,現在は正しいとされている言葉も,かつては違う意味で用いられていたというものは多々あります。

この「煮詰まる」や「役不足」も,何十年もしたら「行き詰まる」や「力不足」と同じ意味で用いられるようになってしまっているかもしれません。

しかし,現在はまだ,違う意味の言葉です。

教材においては,決して間違った意味で使用してはなりませんので,もし著者の方が間違って用いてしまっていたら,修正する必要があります。


では,小説はどうなのでしょうか。ふと,疑問を覚えました。

小説などの編集をしたことがないのでわかりませんが,やはり著者の原稿が最優先なのでしょうか。
それとも,たまたま編集者や校正者が気づかずに校了してしまっただけなのでしょうか。

何とも言えませんが,やはり教材に限らず,書籍や雑誌などの文字媒体では,現在での正しい用法で制作すべきだと思います。


私も日常生活では間違った用法で言葉を使っているものはないとは言い切れませんし,必ずあると思います。
しかし教材制作者である以上,生活でも極力正しい用法を使うような意識を持っていないと,校正の際も気づきません。

そのような意味でも,普段から用法を間違いやすいといわれる言葉は,意識してリストアップしておいたほうがよいかと思います。

2009年10月20日火曜日

合成フォント

フォントメーカーのモリサワのサイトに,「じょうずなワニのつかまえ方」というのがあります。

http://www.morisawa.co.jp/font/techo/crocodile/

上記URL中の説明文を引用すると,次のように書かれています。


引用ここから***

1986年『じょうずなワニのつかまえ方』(ダイヤグラムグループ著、バベル・インターナショナル訳)初版が、株式会社主婦の友社から出版されました。
「いまは無用の知識でもいつか必ず役に立つ!」という内容で、モリサワをはじめとする国内の主要なフォントベンダーのいろいろな書体を駆使し、項目ごとに書体・級数を変えて組んだ、文字の見本帳としての機能もありました。
現在、再編集され扶桑社文庫より文庫本が刊行されています。
この度、その『じょうずなワニのつかまえ方』があらゆるモリサワフォントを駆使して再編集されWeb初登場!

引用ここまで***


この「じょうずなワニのつかまえ方」を見ることで,モリサワのフォントの適当な使い方が見られます。


さて,この「じょうずなワニのつかまえ方」を見ると,ひらがなと漢字が違うフォントになっているものなど,一見面倒くさそうなことをしているなと感じるかもしれません。

しかし現在のDTPソフトではそのようなことは簡単で,InDesignでは合成フォントといって,「漢字は中ゴBBB,ひらがなはリュウミンR」などというように,フォントを組み合わせて「本文」などとフォントの組み合わせを設定することもできます。

以前わたしも,化学式などでは,数字はリュウミンM,アルファベットは中ゴBBBなどとして「化学式」フォントを設定して作業をしていたこともありました。

教材制作では内容が最も重要ですが,フォントへのこだわりをもつのも面白いかと思います。

2009年10月18日日曜日

日仏教育学会 公開シンポジウム

1週間前になりますが,東京理科大学の森戸記念館で行われました,日仏教育学会 2009年度 研究大会 の 公開シンポジウム「科学教育の今日的課題 -子どもの理数離れをどうするか-」に行ってきました。

日本の子どもたちが現在,学校で習う理数への関心が世界的に見て薄れているのではないかという話題を,よく耳にします。

そのことに対して私もいろいろと興味がありまして,この公開シンポジウムに参加してみました。

さて,日仏教育学会なので,日本とフランスの教育を比較しての話となりますので,まずは前提となる日本とフランスの教育制度の違いをあげると,以下のようになります。


日本      フランス
  
小学校1年  エコル  CP1(準備クラス) 
     2年        CE1(初級クラス)
     3年        CE2
     4年        CM1(中級クラス)
     5年        CM2
     6年  コレージュ第6級(前期中等教育)
中学校1年        第5級
     2年        第4級
     3年        第3級
高 校1年   リセ   第2級(後期中等教育)
     2年        第1級
     3年        テルミナル(最終学級)

本シンポジウムはフランスの研究者からの発表もあったりと,ふだんは聞くことのできない貴重な話を聞くことができ,その中でも興味深かった点についてお話していきます。


フランスの前期中等教育であるコレージュの第6級では,物理・化学は習わないようです。
それは,日本で言う生物や地学(シンポでは生命科学と地球科学と表現)が生徒にとってとっつきやすいものであるからだそうです。

そして,第5級~3級にかけて,物理や化学も扱われるようになるのですが,その物理や化学についても,生命科学や地球科学に関連することを多く取り上げることで,より生徒たちに実感として伝わるようにしているとのことです。

また,日本では理科と技術は別教科という位置づけですが,フランスでは「科学と工学の統合教育の試み(EIST)」という,科学や工学に対する統合的な見方をもち,生徒たちがこれらに興味をもちやすいようにすることを目的とした試みを行っているとのことです。

その一環として,もともとは別々の教師によって行われていた3つの科目(物理・化学,生命科学・地球科学,工学)が,1人の教師によって行われるようになり,そのことによって,3つの科目間での影響関係が深まり,生徒の科学や工学への好奇心をかき立てられるようになったほか,フランス語(国語)や数学などとの結びつきも強くなたようです。


また,リセの第2級では,文系も理系も同じ科学教育を受けるようですが,文系の生徒は第1級以降は科学を行わないようで,あくまで科学は教養の一部であるとか。
教養の一部ではありますが,その教養というのは,理系の生徒以外にも科学を利用する市民育成の意味からも,科学教育を保障するものであるとのこと。

対して理系は,より深い内容まで学び,本物の科学教育を学び,技術系に進んだ生徒もより専門的に学ぶようになり,そのレベルは日本で言う大学2年生くらいまで行うようです。



さて,これらはシンポジウムのほんの一部の内容ですが,いろいろと考えさせられるものがあります。

フランスで言う工学科目が日本で言う技術科目と同じかどうかは分かりませんが,科学と工学を分けて学ぶことの意味は,確かにないように感じます。

男性のほうが傾向としては多いのかもしれませんが,科学好きには工学好きが多いというのがあるかと思います。

そのような理系志向の生徒がより科学に興味をもち,専門分野に進んでいってもらうようにするためにも,科学と工学をいっしょに学ぶ意義はあるように感じました。


フランスの教育に関しても課題はまだまだあるということもシンポジウムでは言っておりましたが,とりあえずこの「科学と工学をいっしょに学んでいく」という考え方は,私としてはかなり共感を得られるものでした。


また,教員養成に関する話題もあり,日本の2週間程度の教員実習とは違って,フランスでは3年間で学士を取得したあと,2年間の修士課程があり,その2年目に多くの実習があり,教師に求められる高度な実践能力を養っているようです。

なお,この3年+2年も,ヨーロッパの他の国の動向に合わせて,5年間で修士取得を教員免許取得資格の最低条件とすることに変更されたとか。

この修士までの取得や多くの実習をするという考えが,現在の日本で政府や文部科学省などが提案している教員免許制度改革に関連しているのではないかと考えられます。


いずれにしましても,図書教材制作という立場ではありますが,理科教育に少なからず関わっているものとして,このような動向には耳を傾けていたいものです。


なお,本シンポジウムにはレジュメのない部分もあったり,フランス研究者の話の内容を翻訳していただきながら聞いたりと,私の受け取り方に間違った部分があるかもしれませんので,ご了承ください。

スクールニューディール政策

先週は仕事が忙しく,更新が滞ってしまいました。

関東に来て2年以上経ち,自宅から会社までの距離が遠いことにも慣れましたが,残業が多いときなどは,やはりプライベートの時間がなくなってしまうことが欠点ですね。

やはり,できれば通勤時間は1時間以内のところに引っ越したいものです。

とはいいつつも,関東で自家用車をもったまま,手ごろな家賃でそこそこ広いところを探すのはなかなか大変で,周りからは千葉に引っ越したらいいよと言われつつも,やはり少しでも故郷に近い,西側に住みたいのが心境です。


さて,そんなことは置いておいて,今日はスクールニューディール政策についてです。
先ほどNHK教育でICT授業のことを取り上げており,ふと話題にしようかと思った次第です。


スクールニューディール政策とは,国の政策の一環で,各学校の耐震化,エコ化,電子化をなどを図ろうというもので,その電子化の中に電子黒板を入れようというものがあります。
(詳しくは文部科学省のサイトなどをご覧ください)

このことに関して何か仕事としてできないかと以前から調べていたのですが,民間教育の図書教材制作と公教育の図書教材制作において,なかなか実現しがたい壁が多いことを実感していました。


さて,そんな愚痴は置いておいて,国が推奨している電子黒板に,パイオニア製のプラズマディスプレイの電子黒板があり,正直いかがなものかと個人的には考えております。

パイオニアがプラズマディスプレイ産業から撤退することで安く導入できるのではないかということで,このパイオニア製電子黒板の導入を推奨しているのかと勝手に想像していますが,より使いやすくより安価な電子黒板製品など,現在の市場にはほかにもいろいろとあります。

今年のブックフェアにもいろいろと出展されていましたし,検討の余地はまだまだあったのではと思います。

子どもたちの見易さや先生方の使い易さ,そして私たちの税金を有効に使っていただくという意味でも,安易にパイオニア製を推奨せずに,もっと市場の他の製品も選択肢に入れていただきたいなと感じました。

また,パイオニアがプラズマディスプレイから撤退したというのにそれを導入してしまったら,故障してしまったあとの修理はどうするのだろうか…と,普通の人なら考えそうなものです。


そんなことを思ったのも数ヶ月前の話ですが,技術は日々進歩し,電子黒板も少しずつ進歩しています。

将来的に図書教材がまったくなくなるとは思いませんが,図書教材だけの企画でやっていけるとも思えません。

スクールニューディール政策を機に,図書教材出版各社もいろいろと考えるようになっていくものと私は思っているのですが,まだまだ有用な話は聞こえてきません。

eラーニングが日本でなかなか広まらないように,日本の教育機関では授業に電子機器を使うことへの積極性が少ないのかもとも思えますが,もう少し世代が変わって電子機器に慣れた先生方が増えれば,一気に電子化が進むのかなとも思います。

そんなときに乗り遅れないように,日々情報を張っておく必要はあるのかなと感じる次第です。


まとまりのない話となりましたが,現在もパソコン教材やeラーニング教材,任天堂DSの教材など,電子機器を使った教材は増えつつありますが,将来的にはもっと様々な媒体での教材制作が増えていくことと思われます。

そのような制作にも対応できるように,日々情報収集は欠かせない時代となってきていると感じております。

2009年10月13日火曜日

計算式中のミス

最近気になるのが,計算式のミスに気づかないことです。

外部の校正者や編集を依頼しているプロダクションの方々も含め,同じものを4~6人で見ているのに,みんなが同じところで校正漏れをしているということがあります。

そしておまけに,私まであやうく同じ箇所で校正漏れしそうになって,冷や汗をかいてしまうことがあります。

そのみんなが同じように校正漏れをする箇所というのが,解説の計算式中で使用されている算用記号のミス,特に分数が混じった計算式中の,×と÷が間違っていることに関するミスです。

どうしてみんなが同じところで校正漏れをしてしまうのでしょうか。

自分の校正の仕方から考えられることは,解説を見ながら校正をしてしまっていたことです。


初校では,解説を見ずに一度問題を解き,解答欄に導き出した答えを入れていきます。
そして,そのあと解答・解説と照合しながら解答・解説の校正を進めます。

しかしこのとき,問題を解くときに使用した計算式との照合がおろそかになっていることに気づきました。
本来であれば,解答を導くために使用した計算式は丁寧に書いておくなどし,それともしっかり照らしあわせる必要がありますが,自分の校正を振り返ってみると,計算過程を裏紙などに走り書き等で行っていることに気づきました。

高校の仕事をしていたときは計算が複雑なものもあるため,もう少し計算過程も丁寧に書き残しつつ校正をしていたのが,中学・小学の仕事をするようになり,おろそかになっていたようです。


そんな校正の仕方をしていて校正漏れをしたまま,再校に進んだとします。

再校になると,初校とは異なり,最初から解説を見ながらの校正を行うようになります。
そんなときに,実際に計算をしているようで,正確な計算ができていないということが起こっていました。

特に中学・小学の内容は,ほとんどが頭の中で暗算できてしまう程度の計算式です。
そのため,校正も暗算で行ってしまい,初歩的な計算ミスの校正漏れをしてしまうのだと思います。


このような単純な校正漏れを引き起こさないためにも,問題の校正は次のステップをしっかり踏んだほうがよいでしょう。

1.初校・再校では,解答・解説を見ずに一通り問題を解く。
  その際に,計算式は走り書きせず,丁寧に書いて残しておく。
2.模範解答と自分の解答を照らし合わせる。
  解説と解答を導き出した解法(計算式など)を照らし合わせる。
3.1・2が済んでから,初めて内容校正・文字校正・体裁校正に移る。

この1・2・3をまとめてやってしまうことに,初歩的な校正漏れが起こってしまうのだと思います。

特に再校でこれをやってしまうと,万が一初校で校正漏れしていた場合,その箇所をスルーしてしまう可能性があります。

やはりどれだけ初校でチェックをしたと思っても,再校でもそれなりの校正は必要だということです。


高校教材は複雑な計算があるため計算過程も当たり前のように丁寧に校正しますが,それ以上に中学・小学教材に出てくる簡単な計算式の校正は,慎重に行うべきだと感じました。

2009年10月12日月曜日

生物の図版

今年のノーベル化学賞に,リボソームの立体構造と機能を解明し,抗生物質の開発を大きく前進させたとうことで,イギリスのベンカトラマン・ラマクリシュナン博士(57),アメリカのトーマス・スタイツ博士(69)、イスラエルのアダ・ヨナット博士(70)の3氏に贈ると発表されました。


さて,この記事を見ていてふと思ったのは,生物の図版をどこまで正確に,また詳細に描くかということです。

リボソームに限らず,細胞の電子顕微鏡像の図版を起こす際に,どうしても教科書や参考書などの図を参照しながら,オリジナルで起こします。

本当はオリジナルの電子顕微鏡像を見ながら描くべきなのかもしれませんが,現実的にはほぼ不可能です。

というわけで,教科書や参考書を参照せざるを得ないわけですが,このときに知識不足で間違った図に仕上がったまま,気づかずに校了ということも少なくありません。

特に,中学理科の教材を見ていると,中学までの知識しかない人が制作しているせいか,高校までの仕事をしていた人からみるとおかしいと思える図をちらほらみかけます。

まあ,同じことが大学以上の専門家の方々から見れば,高校教材にそのようなことがあるのかもしれませんが。

いずれにしましても,図を起こす際は,それ以上の知識をもってチェックする必要があるかと思います。

中学の図版であれば高校の教科書を参考するだけでも,中学の教科書だけをみてチェックするよりは多少でも正しい図に仕上がるかと思います。

使っている生徒や先生がそのときは間違いに気づかない可能性があっても,将来の子どもたちが間違って覚えてしまわないように,少しでも正確なものを提供するのが教材制作に携わる私たちの義務かもしれません。

土星の輪

数日前の話題ですが,一応アップしておきます。

土星に,もう一つ巨大な輪が発見されたと,NASAから発表されました。

土星の輪のはるか外側(600万~1200万kmの範囲)に,赤道から27度傾いた大きな輪があるようです。

詳細は,以下のURL(asahi.com)よりご確認ください。http://www.asahi.com/science/update/1008/TKY200910080126.html?ref=rss


中学および高校の理科でこのことに触れられることはしばらくないと思いますが,事実として知っておくと,何かしらの訳に立つかもしれません。

暦計算室

昨日のMitakaに引き続き,今度も国立天文台のサイトからの紹介。

今日は「暦計算室http://www.nao.ac.jp/koyomi/」です。

公共のサイトにはいろいろと役に立つものがあり,このサイトでは「日・月の出入り,南中時刻,高度方位」などが調べられます。

これまでの指導要領では中学で月の運動はありませんでしたが,平成21年度の移行措置から中学3年生で月の運動と見え方を学習することとなりました。

それにともない,模試などで既存の学習内容と月をからめる必要性がでてくると思います。

そんなとき,満ち欠けの共通があることから,金星を用いることが最も想像しやすいでしょう。

しかし,何年何月何日の何時ころどのあたりに月がくるかというのがわからないと,条件設定として信憑性が低くなってしまいます。

そこで,国立天文台の暦計算室にある「今日のほしぞら」に入ってみると,日時を設定することで,惑星と月との位置関係を知ることができます。

これによって,より信憑性のある問題制作ができるようになりますし,県版テストなどでは県ごとで設定した作問ができます。

インターネットの公共のサイトには,いろいろと仕事に使えそうなものがあります。

今後もよさそうなものが見つかれば,随時ご紹介いたします。

2009年10月10日土曜日

Mitaka

国立天文台が開発した「Mitaka」というソフトをご存知でしょうか。

以下のURLに概要が示されていますが,抜粋しますと・・・
http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/index.html

『Mitaka は,国立天文台 4次元デジタル宇宙プロジェクトで開発している, 天文学の様々な観測データや理論的モデルを見るためのソフトウェアです。 地球から宇宙の大規模構造までを自由に移動して,宇宙の様々な構造や天体の位置を見ることができます。 』

というように,宇宙空間をパソコン上で仮想的に見ることができるソフトです。


このソフトですが,先日のサイエンスカフェで初めて存在を知り,感動しました。

というわけで,上記URLよりMitakaをダウンロードして,パソコンにインストールしてみました。

まだ使いこなせていませんが,このソフトがあれば,問題の制作や校正が楽になりそうです。


かつて,オリジナルの天体の問題を作ったときなど,何年何月何日何時何分の空の様子をネットのフリーソフトなどを駆使して調べ,問題を作成したものですが,なかなか大変でした。

しかし,このソフトを使えば,問題作成も校正も軽減できそうなきがします。

オリジナルの問題を作るためには,やはり天体の正確なデータが必要です。
そのような意味でも,国立天文台が開発しているというだけでも,信用度もあがります。

使用してみてはいかがでしょうか。

2009年10月7日水曜日

台風

過去10年で最も勢力が大きいといわれる台風が,日本列島に接近しています。

ブログを書いている10月7日の23時現在,台風は和歌山県沖の海上を通過し,私の住んでいる神奈川県も強風件に入っております。


さて,明日の出勤がどうなるかわからない状況ですが,台風と理科を結び付けましょう。


平成22年度からの移行措置では,2年生の日本の気象で,台風も扱われるようになります。


平成22年度の2年生は平成23年には3年生になり,模試などを受けることが増えてきます。
そしてわたしたちは,そんな平成23年度の3年生のために模試をつくります。

そしてそんな平成23年度の3年生たちは台風を勉強しているので,今回の台風18号を題材にすることができます。

新指導要領で台風が扱われるようになったということ,また過去10年で最も勢力が大きく,日本を横切ることなどから,入試で出題される可能性も高くなります。

特に完全に真上を通過する可能性のある近畿~東海~北陸にかけては,題材としてはもってこいかもしれません。

というわけで,とりあえず天気図を保存しておくとよいかと思います。

気象庁のサイトでは,3時間ごとの天気図を公開しています。

http://www.jma.go.jp/jp/g3/

これを保存しておき,平成23年度以降の模試や平成22年度以降向けの教材で使用してもよいかもしれません。


先日の写真に引き続き,天気図も,使えそうなときに保存しておくとよい材料でしょう。

なお,高校地学でも台風は扱われていますので,そちらでも使用できるかもしれません。

2009年10月6日火曜日

しばらく旅に出ていました

更新が滞っております。


先週の金曜日・土曜日と社員旅行がありました。

そのようなわけで,前日の木曜日は準備のため更新できず,金・土はもちろん更新できませんでした。


そして,社員旅行の全行程が終了したあと,東京へは帰らず,私は現地で他の会社の人と分かれ,一人名古屋へ移動しました。

土曜日の夜は名古屋で1泊し,日曜日の早朝4時半に起き,鈴鹿へ移動しました。

というわけで,日曜日はF1日本GPを鈴鹿サーキットで観戦しておりました。


さらに日曜日の夜は鈴鹿で1泊し,翌月曜日も鈴鹿サーキットでF1関係のイベントに参加しておりました。


月曜日は気温も低かった上に,4日の旅で体調はやや不良でした。
そのようなわけで,名古屋では途中下車せず,気合で一気に神奈川まで帰りました。

神奈川の自宅には夜7時過ぎに到着。疲労がたまっていたため,早めに寝てしまいました。


そして,本日火曜日,通常業務のスタートでしたが,午後からは外出で半肉体労働でした。

というわけで,頭も働かず,このような話題でとりあえず更新です。


明日から再開の予定ですが,8日夜はまた仕事で食事会があるので更新できそうもありません。

まあ,台風の影響でこの食事会もどうなるかわかりませんが・・・。


シルバーウィークに社員旅行,そしてF1日本GPと,ドタバタした2週間もやっと終わり,そろそろ日常に戻ります。