2010年12月14日火曜日

PDF-XChange Viewer

最近は,校正紙をPDFにしてメールで送受信したり,印刷所への入稿をPDFで行ったりと,PDFデータを扱うことが多くなっています。

そんなPDFデータを閲覧するとき,Adobe Readerを使用されている方も多いと思いますが,多くのPDFファイルを同時に開いていると,パソコンの動きが遅くなったりといったことはありませんか?

ハイスペックのパソコンであれば苦にはならないかもしれませんが,会社のパソコンは自分で選べないので,自分の使いたいスペックよりも低スペックの環境で仕事をせざるを得ない方もいるかもしれません。

そんなパソコンでいくつものPDFファイルをAdobe Readerで開いていると,開いたファイル数だけメモリを消費してしまうので,動作が遅くなってしまします。

一昔前は,Internet Exploreがその状態を引き起こすので,それを嫌う人はタブブラウザを使うようになり,いまではほとんどのWebブラウザがタブブラウザとなりました。

タブブラウザとは,1つのアプリケーションの中で,複数のサイトを開くことができ,タブでサイトをチェンジさせるブラウザのことです。

Adobe Readerでも同じことができればいいのにと思っていていたのですが,なかなかそのようなバージョンアップがされません。

そこで,最近はPDF-XChange ViewerというアプリケーションでPDFを見るようになりました。

http://www.tracker-software.com/product/downloads?key=044bcde3c09c642567f0a78eda788f68

これは複数のファイルをタブで切り替えることができるので,複数のPDfファイルを開いてもメモリを圧迫しません。

同じような不満をお持ちの方は,フリーソフトなので試してみてはいかがでしょうか。

断層と津波

少し前の毎日小学生新聞に,断層と津波の話が載っていました。

毎日小学生新聞は,理科の知識を増やすという意味でも,なかなか役に立つ情報がありますし,大人でも楽しめる内容が多々あります。

そんな毎日小学生新聞に,海底で地震が起こったときの津波の起こり方について,記されていました。

地震などによって断層が形成されるとき,その断層には,正断層,逆断層,横ずれ断層があります。

正断層は引っ張る力によってできるので,地層がずり下がります。

海底で地層がずり下がれば,そこに海水が大きく入り込むので,最初は引き波が発生します。

対して逆断層は押し合う力によってできるので,地層がずり上がります。

海底で地層がずり上がれば,それが海水を大きく押し上げるので,押し波が発生します。

そして,ずり下がったりずり上がったりしない横ずれ断層では,海水の上下動が起こらないので,津波は発生しません。

海底で地震が起こると津波が発生すると中学理科では一言で言ってしまいますが,実際はこのように一言では言えないようです。

まだまだ勉強の足りなさを実感します。

2010年12月5日日曜日

図文字のQ数

教材では,図中に用いられる文字のことをネームといいます。

さて,そのネームのQ数は,本文Q数の2Q落ちにすることが多いのですが,その際に気になることが少しあります。

たとえば選択問題で,ア~エの選択肢がそれぞれ図のとき,「ア」「イ」「ウ」「エ」の文字をネームとみなすか,本文とみなすか。

本文とみなせば本文Q数ですし,ネームとみなせば2Q落とします。

個人的には,本文Q数にそろえます。

用語や文の選択肢の場合は本文Q数なのに,図になっただけで2Q落ちにするのは,大変違和感があるからです。

また,「図1」などの図番号。これを2Q落ちにするのか本文Q数にそろえるのか。

個人的には2Q落ちにしますが,なぜか「表」だけ本文Q数になっているという教材を見かけます。

「図」を2Q落ちにするのなら,「表」も2Q落ちにしたほうが,美しいと思います。

見栄えにこだわらない人は気にならないのかもしれませんが,教材は内容が大事である以上,その内容以外のところに違和感があったり,読みにくかったりというのは,個人的には受け入れられません。

使用者が中身に深く入り込みやすく,そして学習に身が入りやすくなるためにも,紙面上のレイアウト等にこだわりをもつのが,作り手の仕事の一つだと個人的には思っています。

小さなこだわりを大事にしたいものです。

時制の一致

英文法の話のようですが,理科教材でも,時制を意識する必要があります。

理科では実験や観察などにおいて,その結果どうなったかということを問題として問うことがあります。

そんなとき,問題では「~しましたか」とか「~どうなりますか」といったように,過去形で問うことがあります。

このときの答えは「~しました」や「~なった」というように,過去形で答えるのが基本です。

実験や観察の結果どうなったかを問うているのに,「~なる」というように,結果が出る前のような答え方は理科としてどうかと思います。

この時制の一致に対して意識の低い方がときどき見られますが,個人的には基本中の基本だと思っています。

理科教材の制作では,必ず意識して欲しいと思います。

設定の重要性

理科の教材を制作しているのならば,問題等の設定も,科学的におかしくないかどうかということを意識するのが基本だと思います。

圧力や密度,速度などの計算問題で,計算しやすい数値を設定したときに,計算上は正しくても,実際にありえない数値を用いるのは,理科教材としてはどうかと思います。

意外と“その程度のこと”くらいにしか思っていない人がいることに時々げんなりするのですが,そこはこだわって欲しいものです。

たとえば,圧力の問題であれば,底面積の大きさと質量の大きさの関係から,その物体がありえるかどうか。

ときどきあるのが,実際は少しの風で倒れてしまいそうなくらい軽い物体になっていたり,金よりも密度が大きい物体になっていたりとか。

現実味のある設定にしてほしいものですし,その設定と図をある程度正確に描いてほしいものです。


密度に関する計算問題でも同様ですね。


また,水槽に水を入れる設定であれば,水の密度も意識して条件設定してほしいものです。

水槽の底面積を大きく設定しすぎて,質量から換算すると,水深がすさまじく浅かったり,すさまじく深かったりと,いくら計算しやすくなっていても,非現実的であれば,それは理科教材としてどうかと思います。


また,速さを計算させる問題で,人の走る速さがウサイン・ボルトより速かったり,自動車の速さが法廷速度より極端に速かったり,以前も書きましたが,地震波の速さを求めるさせる問題で,実際のP波やS波の速さより速すぎたりと,科学的なことをまったく考慮していない問題をときどき見かけます。


執筆者(作問者),編集者,校正者…,理科教材制作において内容に携わる方は,必ず意識して欲しい観点だと,個人的には思っています。

2010年12月2日木曜日

言葉の順序

「二酸化マンガンに過酸化水素水を入れる」「過酸化水素水に二酸化マンガンを入れる」

「石灰石にうすい塩酸を入れる」「うすい塩酸に石灰石を入れる」


同じことのように思えますが,実際はそれぞれ前者のほうが適切です。

実験操作を行うときに,液体中に固体を入れると,液体がはねることがあります。

その液体が,からだに触れると危険なものである場合,固体を入れておいた状態で液体を静かに注ぐほうが,液体がはねる危険性が減ります。


理科教材の作成では,意識しておきたいものです。

天気記号

天気図で快晴・晴れ・曇りなどの天気を表すときに,天気記号を用います。

この天気記号に羽をつけて,風力と風向を示し,天気図上で示します。

この天気記号に羽をつけたものを何と呼ぶかですが,何と呼ぶのでしょうか。

回路図で用いられる電気用図記号という言葉にあわせて,天気用図記号と使用されているものをときどき見かけたり,天気図用記号と用いられているものをときどき見かけたりします。

しかし,気象庁などのサイトを見ても,適切な言葉は無いようです。

つまり,天気だけを示す「天気記号」はあっても,それに羽をつけたものに対する用語は無いのかもしれません。

とりあえず,「天気図で用いられる記号」という表現になるのでしょうか。

もっと適切な表現があれば,知りたいものです。

テスト作成の基礎基本

気がつけば,12月に入ってしまいました。

一段落ついたのは,ほんの一瞬で,11月も驚くほどにあっという間に過ぎてしまいました。

もっと頻繁に更新したいのですが,少々心に余裕が無い毎日が続いております。


さて,すごく基本的なことですが,意外と意識されていないのだなぁ…と感じたので,今日はそんな話題です。

理科のテストを作成するとき,用語を記述で答えさせる問題があったとします。

そんなとき,1回分のテスト全体の中で,その答えとなる用語が,同じ大問内ではもちろんのこと,他の大問で用いることはタブーです。

なぜなら,その用語が他の問題文などで用いられていた場合,生徒が「問題文中に示されているのだから,それは答えではないかも…」と思ってしまう可能性があるからです。

そうなると,本当は分かっているのに,深く考えてしまったがために間違いとなってしまう生徒が出てしまうことにもなりかねません。

このような,本当は分かっているのに,問題の不備によって間違いを誘ってしまう問題というのは,問題としては不完全です。

(国語のテストで,漢字の問題として出題されている言葉が,漢字で他の文章中や問題文中に載っているのと同じことです。)


これが入試にでもなれば,不公平ということになり,その問題自体を全員正解扱いとしないといけないということにもなりかねません。


これはテスト作成における基本中の基本だと思いますが,校正等でも見落とされることが多々あります。

テストや模試を作成する際は,この点も慎重にチェックしたいものです。

2010年11月13日土曜日

アノマロカリス

『地球最古の大型捕食動物と考えられていた、エビに似た巨大な生物アノマロカリス・カナデンシスが、実際はぜん虫類を主食とする“軟弱者”だったとする最新の研究が発表された。』という記事がありました。

詳細は,以下のURL(ナショナルジオグラフィックニュース)をご覧ください。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20101104004&expand


古生代カンブリア紀の代表的な動物であるアノマロカリスは,個人的には大好きな動物です。

最初にアノマロカリスを知ったのは,高校生くらいのころだったと思います。

高校生のとき,NHKスペシャルで,「生命40億年はるかな旅」という進化に関する特集をやっていました。

いまだにそのNHKスペシャルを見て感動したことを覚えているのが,アノマロカリスの特集です。

クラゲのような形の動物の化石だと思われていたものが,大型の捕食性動物であるアノマロカリスであり,それがわかったことで説が覆されたといったようなことを述べていた記憶があります。

そのクラゲのような形の化石が,大型捕食動物であるアノマロカリスの口であることがわかったことから,三葉虫などの硬い殻をもつ生物を噛み砕いて食べていたのだと言っていたことも,何となく覚えています。

また,アノマロカリスのラジコンをつくり,プールを泳がせていたところをみて,当時すごく感動しました。

そのNHKスペシャルを見たあと,学校の図書館で進化に関する図鑑を見ていたことも,何となく覚えており,「進化っておもしろい」と感激していた時期でした。


さて,その記憶が覆されるのが,今回の記事です。

アノマロカリスの口は,三葉虫のような硬い殻を持つ生物を噛み砕くことはできなかったのではないかという説です。

進化については説が時々説が覆るのでおもしろいのですが,仕事上は注意をしていないと,嘘をいってしまうことにもなりかねないので,注意が必要です。

2010年11月1日月曜日

神経細胞

中学2年でヒトのからだについて学習するとき,次の図のような神経細胞の簡略図を示すことがあると思います。



この図について,簡略図とはいえ,基本的な間違いをよく見かけます。

そもそも,この簡略図がどのような図を簡略化しているかというと,次のような図です。
(ちょっと雑ですが…)



つまり,簡略図にネームを書き足すと,次のようになります。



まず基本的なこととして,神経細胞は細胞体と軸索からなりますが,感覚神経の細胞体がない図を多々見かけます。

神経細胞としての基本構造が成っていません。

続いてよく見かける間違いが,次のような図で,赤で示した神経細胞です。



2つ目の図で「伝導」と「伝達」というネームと矢印を入れていますが,伝導は電気信号,伝達は化学物質による信号で,それぞれ伝わる方向に規則があります。

電気信号である伝導は,刺激を受けたところからどちらにも伝わりますが,化学物質による伝達は,神経末端のシナプス小胞からシナプスに放出される神経伝達物質が,次の神経細胞の細胞体の樹状突起に興奮が伝わります。

つまり,神経末端から細胞体の方向へ伝達するのに,神経末端から神経末端に伝達が起こってしまっています。

これはさすがにおかしいと思います。

描くとすれば,



または,



でしょうか。

これなら,神経末端から細胞体へ伝達している図になると思います。

最後に,感覚細胞の細胞体を示す際に,背根のない図もよく見かけます。

感覚神経の細胞体は,背根にありますので,背根のない図も,違和感を覚えます。



かなり簡単な説明ですが,簡略図とはいえ,基本は押さえておいたほうがよいと思います。

なお,反射には,膝蓋腱反射のように,介在神経を介さず,感覚神経と運動神経のみの単一シナプス反射もあるので,(中学理科ではあまり影響はないとは思いますが,)注意が必要です。

2010年10月31日日曜日

アサガオ

理科の教材を制作していると,アサガオがときどき出てきます。

アサガオを扱うときに文字だけや写真で扱うのであれば問題ないことですが,作図する場合に気をつけたいのが,つるの巻き方です。

植物は種類によって巻き方が遺伝的に決まっており,アサガオであれば左巻きです。

なお,この左巻きという表現は,アサガオを上から見たときに左回り,つまり反時計回りに巻きついていくから左巻きというようです。

しかし,植物学の世界では左巻きという表現が,一般的な科学の世界では右巻きと言われることから,現在では右巻きと言われるようになってきているようです。

正確なところはわかりませんが,教科書や教材上では,誤解を招かないように右巻きや左巻きという表現は扱わないほうがよいでしょう。

とわいっても,巻き方に決まりがあるので,作図の際は気をつけなければなりません。

ちなみに,アサガオの花のつぼみの巻き方は,つるとは逆向きなので,こちらも注意が必要です。

また,植物によっても右巻きと左巻きが異なりますし,属は同じでも種が違えば,つるの巻き方が異なるものもありそうです。

2010年10月29日金曜日

以前どこかで,「湖は河川からの水が流入しているところであり,河川と繋がっていないものは大きな水たまりである」ということを聞いたことがありました。

最近多い雑学系の番組かもしれません。

少し前に,仕事でその話題が出たので調べてみました。


平凡社の新版地学事典によると,湖沼の項で

『四方を陸地に囲まれ,海とは離れた静止した水塊。【中略】湖は沿岸植物の侵入しない震度をもつもの,沼は浅く沈水植物の生育するものとする。【後略】』

と記されていました。


つまり,河川の流入は関係ないようです。


ということで,インターネットで調べて見ました。

正確にはわからなかったのですが,おそらく国土交通省が河川法に則って管轄する場合の湖の取り決めとして,河川の流入があるものを湖として管轄し,河川の流入がないものについては管轄外としているようです。

いろいろな考え方があるものです。

2010年10月26日火曜日

蒸散

蒸散は“現象”なのか“はたらき”なのかというのが,ときどき話題となります。

教科書での表現如何にかかわらず,学者や先生によって,考え方が異なる部分のようです。

しかし,現在の中高生物においては,“現象”と表現しているほうが多いような気もします。


さて,その蒸散ですが,たとえば「植物の表面から水分が蒸発する現象」というような表現で教科書等で示されています。

つまり,植物が何かしらのエネルギーを利用して行っているわけではなく,気孔が開いているときに,水が水蒸気として気孔から出て行ってしまうということです。

このように定義すると,はたらきと考えるよりも現象ととらえるほうが自然な気がします。

では,気孔がどうして開いたり閉じたりするかというと,孔辺細胞の浸透圧や膨圧が変化するからです。

根からの吸水が高くなり孔辺細胞の膨圧が上がると,孔辺細胞が湾曲して気孔が開き,その結果として気孔から水蒸気が蒸発していきます。

逆に乾燥状態になると孔辺細胞の膨圧が下がるので,孔辺細胞が湾曲が小さくなって気孔が閉じ,その結果として気孔からの水蒸気の蒸発が減ります。

なお,植物体が乾燥状態になるとアブシシン酸という植物ホルモンが合成され,孔辺細胞の濃度が高まります。

アブシシン酸は孔辺細胞の浸透圧を下げるので,液胞から水分が失われることで膨圧が下がり,気孔が閉じて植物体からの蒸散量が下がります。

逆に水分量が多いときはサイトカイニンの濃度が高まり,気孔が開きます。

このように考えると,アブシシン酸やサイトカイニンなどの植物ホルモンの“はたらき”で気孔が開閉し,その結果として蒸散量が増減しているといえるので,蒸散は“現象”としてとらえたほうがしっくりしそうな気がします。

いかがでしょうか。

2010年10月25日月曜日

独立変数と従属変数

通常グラフでは,横軸に独立変数,つまり原因となる変化させる値を,縦軸に従属変数,つまり結果となる変化した値を示します。

そのグラフについて文章中で示すときも,基本的には「変化させる値(横軸)⇒変化した値(縦軸)」の順に示します。

意外と問題文を読んでいると違和感なく過ぎてしまいそうですが,原因があって結果があるので,必ずその順に文章も展開するのが基本となります。

いままで意識していなかった方は,意識して執筆・編集・校正に取り組んでみてはいかがでしょうか。

半角カタカナ

MSWord等で原稿を書いた場合,そのデータを組版さんに渡して,テキストデータとして使用していただくことがあります。

そのとき気をつけたいことに,半角カタカナの存在があります。

Wordで原稿を書く際に,どうしても文字が収まりきらない場合や,ときにはテキストボックスに文字を入れて示す場合などに文字があふれてしまう場合などがあると思います。

そんなとき,文章中にカタカナがあると,そのカタカナを半角カタカナで入力してWord上での原稿は済ませ,DTP上では全角カタカナにしてから“かな詰め”や“長体”等で対応させる場合があります。

このようなとき,文章中に半角カタカナが混ざっていれば,初校が上がったときにすぐ気づきますが,化学反応式中の化学式の下などに示している物質名が,あたかも長体50%のように存在していることがあります。

間違いではありませんが,やはり見栄えがよくないので修正したいですし,濁音や半濁音が混ざっていると,濁点や半濁点が1文字取りになっているので,違和感があります。

例えば「バリウム」の場合,実際は長体62.5%(62.5%×4=250)で済むところを,半角カタカナを用いてしまったことで濁点が1文字となり,結果として長体50%(50%×5=250)のように見えるといったことになります。
(言葉だと伝わりにくいでしょうか…)

いずれにしても,半角カタカナ(1バイトフォント)については,全角カタカナ(2バイトフォント)にするのが基本ですので,校正等では半角カタカナに対して違和感を持つようにしていただくとよいかと思います。

2010年10月24日日曜日

そろそろ

先週多くの教材がばたばたとオフ了し始め,ご採用見本の印刷が多々始まっています。

毎日遅くまで仕事をして,会社帰りにコンビニでパンやおにぎりを歩きながら食べて夕飯を済ませ,自宅に帰れば生まれたばかりのわが子の相手をするという,心に余裕のない1か月半を過ごしていました。

まだまだオフ了していないものも多々あったり,生徒用の印刷までにやることは多々ありますが,今年のピークは先週末に過ぎ去り,少々心に余裕が出てきたような気がします。

しばらくブログの更新が滞ってしまっていましたが,そろそろ更新ができそうです。

2010年9月26日日曜日

カモノハシ

今年の移行措置で,中2から生物の進化が扱われるようになりました。

各教科書会社の補助教材を見てみると,カモノハシが扱われているところもあります。

このカモノハシについて,補助教材では,爬虫類から哺乳類への進化の証拠であったり,爬虫類の特徴を残した哺乳類といったような表現がされていたりしています。

しかし,このカモノハシについて,鳥類の特徴もありますよとの校正者さんからの指摘を受けて調べてみたところ,2008年に発表されたゲノム解読結果では,爬虫類と鳥類と哺乳類の特徴を同じくらいずつ持つようです。

とりあえず,インターネット上で見かけた情報サイトは,以下の通りです。

NEDO海外レポート
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1025/1025-06.pdf

AFP BBNews
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2388402/2908952

これまで私も,カモノハシについては補助教材のような認識でしたが,これを踏まえて,教材上での表現は検討し直したほうがよさそうです。

とはいっても,公立高校入試は教科書および補助教材に則って出題されるので,少なくとも今の中学2年生が受験する2年後の公立高校入試でカモノハシが取り上げられる場合は,補助教材での表現に則って出題されるものと思われます。

(正直なところ,「それでよいのか」と思わなくもないのですが…。)

2010年9月25日土曜日

新常用漢字…12年度導入⇒入試は15年度から

新常用漢字について,学校現場での導入は2012年度,入試での導入は2015年度からという報道がありました。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100925-OYT1T00040.htm

つまり,中学校での新学習指導要領が開始する2年後から開始です。

ということは,新学習指導要領版となる新教科書も,2012年度からの導入に向けて新常用漢字を追加するということでしょうか。

そうなると,来年の5月頃には発表される教科書を製作している教科書出版社の編集者さんたちは,この決定を受けて,これから多大な労力をかけて修正を加えていく作業が入るのでしょう。

印刷・製本等の時間を考えるとそれほど余裕が無い中,これから修正を加えてミスの無いように校正をするなどの工程を踏んでいくとなると,かなり大変だと思われます。

この結論を出すのであれば,決定が遅すぎではないでしょうか。

2010年9月20日月曜日

固体・液体・気体

新学習指導要領で,固体・液体・気体の状態を粒子で表して学習するようになります。

この内容については移行措置で平成21年度から学習がすでに始まっていますが,念のため取り上げておきます。

固体⇒液体⇒気体となるにつれて,規則正しく並んでいた状態から粒子の運動が激しくなって,粒子間の距離が大きくなっていきます。

1年生で学習する内容であり,分子という言葉を用いないので大丈夫だとは思いますが,この粒子と分子をごちゃ混ぜにして扱ってしまわないように気をつけましょう。

特に水の場合は,状態変化で液体から固体になるときは,水素結合の関係で体積が増えます。

他の物質の状態変化とは事情が異なるため,水と粒子の状態を関係させたような問題は作成しないほうが無難です。

2010年9月11日土曜日

「デジタル教育は日本を滅ぼす」

少し前の日経新聞に広告として掲載されていて気になっていた,田原総一朗著の「緊急提言! デジタル教育は日本を滅ぼす」(ポプラ社)を読みました。

タイトルとは裏腹にデジタル教育に関する内容は少なかったのですが,現在のデジタル教育が叫ばれるまでに至る,これまでの教育論の変化などを,さまざまな関係者の立場や話なども踏まえて述べられていました。

結論として,この本における田原氏の主張は,個人的には概ね賛同できました。

また改めて,「ゆとり教育」に対する自分の中での捉え方が,しっかりと肯定された気もします。

新学習指導要領になり学習内容が大幅に増えますが,教育としては「ゆとり教育」のままであるほうが,やはりよいかと思います。

しかし,その「ゆとり」を履き違えると,結局これまでと変わりません。

そこが難しいところです。

理科教材制作と話を結びつけると,執筆や編集に携わる人が知識詰め込み型のタイプであると,理科の本当の意味も本当の楽しさも,何もかもが伝わらず,理科ってつまらないな…ということが紙面から伝わってきます。

教材制作に携わる人も,ゆとり教育の本当の意味は何だったのかということをしっかりと受け止め,それを紙面に反映していかなければならないと個人的には思います。

新常用漢字続報

『196の新常用漢字,中学で「読み」指導へ 高校入試も?』という記事がありました。

http://www.asahi.com/national/update/0909/TKY201009080517.html?ref=rss

以前も書きましたが,理科に影響する新常用漢字はたくさんあります。

個人的には「ほ乳類」などのかな漢字混ざりは読みにくい上に意味も分かりにくいので,「哺乳類」というように漢字にしてしまったほうがよいと思っています。

しかし教材屋としては,このタイミングでまだ確定していないのであれば,現行通りにして欲しいというのが本音ですね。

校了間近のものすべてに変更を反映するのは,かなりの労力を要しますので…。

いずれにしても,もう少し見守りたいと思います。

2010年9月10日金曜日

原子量

新学習指導要領では,周期表を扱うことになっています。

その周期表についてどこまで扱うことになるかは想像の域を出ませんが,周期表を教材等で載せる場合,原子量も載せるかどうかで迷うことが出てくるかもしれません。

原子量は,同位体の相対質量や存在比などによって決まっていますが,それらが変わるなどの理由からなのか,ときどき変更があります。

最新の原子量については理科年表にも載っていますが,IUPAC関連のサイトにも最新の原子量が掲載されています。

http://www.chem.qmul.ac.uk/iupac/AtWt/

112番元素のコペルニシウムなども,ここであればちゃんと扱われています。

それにしても,周期表を扱うのであれば元素についても説明しないといけないと思うのですが,新指導要領において元素はどうなるのでしょうか。

これまでのように原子だけだと,表現の限界があるような気もします。

いずれにしても,新しい教科書が楽しみです。

2010年9月2日木曜日

光合成とBTB溶液

BTB溶液を溶かした水にオオカナダモを入れて光を当てると,水中の二酸化炭素が吸収されることから,光合成では二酸化炭素が使われることがわかる・・・という実験があります。

この実験は,光合成で発生する酸素の泡に二酸化炭素が取り込まれることによって水中の二酸化炭素が減少する可能性も否めないということで,教科書によっては扱っていないものもあります。

しかし,扱っている教科書もあるので,光合成によって水中の二酸化炭素が使用されて減少するとして,今日の話題は展開したいと思います。

この実験について教材で取り上げるとき,表現に少し注意が必要です。

まず,この実験を始めるにあたり,水にBTBを溶かします。

このときの水は水道水を使用する可能性が高く,その水道水はアルカリ性寄りであるため,水道水にBTB溶液を溶かすと,青色を示します。

この青色を示した水溶液に呼気を吹きこむことで,呼気中の二酸化炭素が水溶液中に溶けこみます。

この操作により,BTB溶液を緑色にします。

つまり,呼気によって二酸化炭素を水溶液中に溶けこませるのです。

そして,オオカナダモを入れて光合成を行わせることで,溶けこませた二酸化炭素が使用されて,青色に「戻る」のです。

最初から中性で緑色を示した水溶液があり,その中に二酸化炭素が溶けているわけではありませんので,ご注意ください。

2010年8月31日火曜日

目が滑る

ブログをご覧になってくださっている皆様,ここのところ更新が滞っており,申し訳ない次第です。

あまりの日々の作業量の多さに,少々疲弊気味です。

最近は,会社では校正をする時間も取れず,校正作業は自宅で行う日々が続いております。

しかしながら,自宅で校正をする利点もあります。

それは,声を出して校正できることです。

会社で黙々と校正をしていると,しっかりチェックしているつもりでも,ときどき目が滑って,校正漏れを犯すことがあります。

皆様がどのような表現を使用してるか分かりませんが,しっかりチェックしつつ読んでるつもりでも,思い込みで読み進めてしまう状態を,私は「目が滑る」と勝手に表現しています。

例えば,数字が(1)(2)(3)(4)・・・と続いていなければならないのに,(1)(2)(2)(4)・・・となっていても,なぜか頭の中では,1,2,3,4・・・と読み進めてしまう状態です。

しかし,声を出して校正をしていると,そのような目が滑る状況を避けることが,私はできます。

いろいろな校正の仕方があると思いますが,なかなかケアレスミスはなくなりません。

声を出して校正するなど,ケアレスミスをなくすいろいろな方法を試していきたいものです。

2010年8月16日月曜日

イモリとヤモリ

少し前までは,両生類の例としてイモリが,爬虫類の例としてヤモリがよく扱われていました。

しかし,最近はめっきり取り扱われる機会が少なくなったような気がします。

そもそも,今の子どもたちが,イモリやヤモリを見たことがあるかどうかは疑問です。

中学生レベルであれば,身近な生物で理科の内容を理解すればよいと思うので,教材等で子どもたちが見たこともないようなイモリやヤモリを扱い,間違いやすい選択肢とするのもいかがなものかと思えます。

そういう私も,ここ数年はイモリもヤモリも見ていません。

最後に見たのは何年前でしょうか…。少なくとも,関東に来てからは見ていません。

関東に来てからは山を散策する回数も減ってしまったので,出会う機会も減ってしまったというのもあります。

しかし,わざわざ出会いに行かないと出会えないイモリやヤモリは,テレビや本などで広く一般的に取り上げられるような動物よりは,一般的ではないでしょう。

一般的な生物という感覚も,これからは大きく変わっていくことでしょう。

ところで,このイモリとヤモリですが,漢字で書くと「井守」と「家守」と表せます。

水辺で生息することから,井戸を守るに転じて,井守となったのでしょうか。

詳しくは分かりませんが,水辺に生息するというイメージが名前からわかるので,両生類ということがわかります。

対して,家を守るという意味の家守は,水辺でなくても生息できるというイメージが名前からわかるので,爬虫類ということがわかります。

理科が暗記教科の一つであるような考え方は好きではありませんが,このような言葉のイメージから理科を楽しむのもよいかもしれません。

2010年8月15日日曜日

「男女別教育は学力アップ」 シンポで報告(産経ニュース)

8月10日に,東京のアルカディア市ヶ谷で,「第1回男女別学教育シンポジウム」がありました。

そのシンポについて,産経ニュースで取り上げられていたので,ご紹介いたします。

http://sankei.jp.msn.com/life/education/100815/edc1008152034007-n1.htm

このシンポは興味があったのですが,目先の仕事が忙しかったのと,休日に片道1時間半かけて行くことに少々二の足を踏んでしまったため,行くのをやめてしまいました。

さて,男女における理解度が数値的にどの程度違いがあるのかいうことまでは,この記事からはわかりませんが,やはり男女の理解度において,男性は理数的思考,女性は文学的思考が強いといえるのかもしれません。

そう考えると,理科の教材といっても,男性向けと女性向け・・・というか,理数思考的な人向けと文学思考的な人向けと,本当は分けたほうがよいのかもしれません。

以前,理系一般書の編集をしたときに,結論を数式で終える文章がいくつもありました。

私としては,その数式が,それまでの話の展開すべてを物語っている結論であり,大変わかりやすかったのですが,それを言葉で示してほしいと言われて,少々困ったことがあります。

理科の教材だからといって理数思考的な人向けに制作してしまうと,理科嫌いの子がさらに理科を嫌いになってしまうかもしれません。

中学というのは,理科を嫌いになる子が増える時期でもあります。

中学理科教材の制作に携わっている人には理数的思考の理系出身の方もいると思いますが,文学的思考の人でも理解できるような理科教材づくりも意識して,制作にあたったほうがよいと思います。

天体観測

夏期休暇も残りわずかとなってきました。

とはいっても,今年の夏期休暇の半分以上は,自宅での仕事に費やしましたが…。

さて,今日は細く輝く三日月の近くに,金星が見えるはずでしたが,曇っていて見えませんでした。

少し前の金星・火星・土星が近くで見えるというタイミングのときも,曇っていて見えませんでした。

今年はちょうど夏期休暇の時期に天気が悪くなり,天体観測のタイミングにおける自宅からの空の眺めは,雲量8~10の日ばかりでした。

報道では,「天気もよいなか,ペルセウス座流星群の観測会が開かれた」など,観測良好というような声も聞こえてきましたが,なぜか私の住んでいるところは,雲,雲,雲…。

月食のときも天気が悪く見られなかったので,今年は天体観測に関して運がない年なのかもしれません。

2010年8月9日月曜日

スルメイカ

夏期休暇に入りました。

とはいっても,自宅で仕事三昧の日々を過ごしております。

そんな仕事三昧の中にも,少しは楽しみを…ということで,スルメイカを買ってきて,開いてみました。

そして写真を撮り,背景の色を変更したり,引き出し線と文字を入れてみたりと,加工してみました。



少々自信のない部分もありますので,間違っていたらすみません。

もっとじっくりと観察すべきでしたが,夕飯をつくるついでに撮影したので,写真を撮るにとどまってしまいました。

ちなみに,外套膜は刺身に,鰭と腕は醤油と砂糖で炒めたあと,水溶き片栗粉でとろみをつけていただきました。

なお,外套膜の刺身は,醤油ではなく,私は肝臓につけて食べます。

塩辛のように数日間置いてから食べるのもよいですが,新鮮な肝臓はそれだけでじゅうぶんにうまいので,醤油のかわりでじゅうぶんです。

お勧めですが,鮮度や寄生虫などの保障はしかねますので,自己責任でお願いいたします。

2010年8月1日日曜日

指示薬

中学理科では,酸・アルカリ指示薬として,BTB溶液とフェノールフタレイン溶液が出てきます。

BTB溶液は,酸性で黄色,中性で緑色,アルカリ性で青色と表現され,フェノールフタレイン溶液は,酸性と中性では無色,アルカリ性では赤色と表現されます。

しかし,指示薬にはそれぞれ変色域というものがあり,アルカリ性だからといってフェノールフタレイン溶液が必ず赤くなるわけではありません。

BTB溶液の変色域は,pHが6.0~7.6くらい,フェノールフタレイン溶液の変色域は,pHが8.0~9.8くらいです。

つまり,BTB溶液は中性付近に変色域がありますが,フェノールフタレイン溶液はアルカリ性寄りに変色域があります。

たとえば,pHが7.8くらいのアルカリ性の水溶液では,BTB溶液では青色を示すのに対し,フェノールフタレインでは無色を示します。

高校化学ではこのあたりを詳しく触れますが,中学理科教材の制作においても軽く押さえておいたほうがよいと思います。

2010年7月31日土曜日

公立高校入試対策模擬試験(3)

ここ2週間ほど仕事がかなり忙しく,帰宅後にブログを書く余裕がありませんでした。

気がつけば明日から8月。月日は経つのが早いです。

さて,公立高校入試対策模擬試験問題作成の第3回目,STEP3です。

今回は,表現の統一についてです。

入試問題というのは,都道府県ごとに問いかけに対する表現に特徴があります。

もちろん入試問題に限らず,一般的な問題集を作成する際でも,表現を統一させることは,編集上の基本の一つでもありますが,そっくり問題を作成するには,より丁寧に分析する必要があります。

「次の問いに答えなさい。」「あとの問いに答えよ。」などの表現から始まり,「次のア~エから選べ。」「次のア~エから最も適当なものを一つ選んで,記号で答えよ。」などなど,表現で気にすべきところは山ほどあります。

県によっては,大問,中問,小問,枝問と,それぞれ微妙に特徴があるものがあったり,「1つ」と「一つ」が混ざっていたりと,独特な部分は多々あります。

大きな特徴は簡単に拾えますが,大きな特徴以外の微妙で独特な特徴をどれだけ拾えて,どれだけそっくりにできるかが,模擬試験問題作成では重要です。

というよりも,本来は最低限やるべき作業であり,各都道府県の表現の特徴を押さえることは,模擬試験問題作成における,最低限のレベルでもあります。

表現の統一というのは,簡単なようで奥が深く,完全にそっくりにさせるのは,なかなか難しい作業です。

最低限やるべき作業ではありますが,その最低限のレベルの問題に達するための分析力は,問題作成者の力の入れ方が顕著に出る部分だと個人的には思っています。

この表現の分析は簡単に済ませず,しっかりやってもらいたいものです。

2010年7月18日日曜日

天体の問題

天体の問題を作成するときに,天球上の星座の動きの図を示すことがあります。

そんなとき,過去問などから図を引っ張ってくる方も多いと思いますが,それだとどこかで見たような問題になってしまいます。

できればオリジナルの状況を作って,作問したいものです。

そこで役に立つのが,シミュレーションソフトです。

フリーで使用できるシミュレーションソフトもあるので,それを使用すればオリジナルの状況設定も簡単にできます。

例えば,「Javaアプレットで天体観測/星座早見盤」という次のサイトを利用してはどうでしょうか。
http://www.u-sys.net/seiza/seiza4/seiza4.html

観測地点も設定できるので,県版模試の作成などでは,実施都道府県と模試実施日付近に設定するなどすれば,県版模試としては少しレベルの高い問題が作成できると思います。

2010年7月17日土曜日

公立高校入試対策模擬試験(2)

県版模試について第2回目,STEP2です。

理科の入試問題を分析する上では,どのような問題が何問ずつ,出題されているかというのを把握するのは重要です。

・選択問題
・用語記述問題
・短文記述問題
・順番整序問題
・作図問題
・文章穴埋め問題
などなど,ほかにもあると思います。

また,それぞれについても,細かく分析する必要があります。

選択問題であれば,
・選択肢はいくつか。
・用語選択か短文選択か。
・用語選択の選択肢の中の傾向はどのようになっているのか。
 「上がった」「下がった」,「右回り」「左回り」などの単純なものなのか,すべての選択肢がまったく異なったものなのか。
・選択肢に理科以外の用語が扱われているのかいないのか,造語的なものが入っているのかいないのか。
・同じ学年内,分野内など,どのような範囲の中で選択肢が構成されているのか。
など,県ごとの入試を見ながら,選択肢の傾向を読み取る必要があります。

用語記述問題では,
・どの学年のどの分野・内容からの出題が多いのか。
・どのような場面で用語を聞いてくるのか,実験・観察問題等でも出題されるのかどうか。
など。

短文記述問題では,
・だいたい何文字くらいの解答を要求されているのか。
・用語説明的なものか,実験・観察における操作の意味的なものなのか,現象を説明させるものなのか。
・使用する用語を提示するのかしないのか,また提示する場合は1つなのか複数なのか。
・書き出しや書き終わりを指定することがあるのかないのか。
など。

順番整序では,
・どのようなものの順番整序なのか。
・実験の操作手順,事象の変化の順序など,どのような分野のどのような場面が多いのか。
・いくつくらいのものを並べ替えるのか。
・並べ替えは記号を使うのか数字を使うのか。
など。

作図問題では,
・どのような作図が出されているのか。表を読み取らせてグラフをかかせるものや,時間が経ったあとのようすをかかせるものなど,作図のパターンはどのようなものか。
・グラフ作図の場合は,数値・単位まで記させるのか。
など。

文章穴埋め問題では,
・穴はいくつあるのか。
・穴埋めは記述か選択か。選択なら語群があるのか,選択肢の傾向は。
・どのような分野のどような場面設定で出題されることが多いのか。
など。


とりあえず,上記に記したのは,分析する上でのほんの一部です。

実際は,入試問題と向き合いながら,気づいた傾向にあわせて過去3~5年分を分析する必要があります。

分析は慎重に,かつ丁寧に,なるべく多くの傾向を見つけることにエネルギーを注いでいきます。 

2010年7月14日水曜日

公立高校入試対策模擬試験(1)

公立高校入試対策模擬試験,いわゆる県版模試です。

県版模試を作成する際は,過去の3年から5年の各県の入試問題を分析し,そして直近の入試に傾向を近づけて作成します。

この「分析」について,これから何回か記していきたいと思います。


とりあえずSTEP1

基礎中の基礎ですが,まずは大問数・小問数・枝問数などの基本的な数を把握します。


過去3~5年を見て,何問ずつ出されているかを把握します。

もちろん大問ごとの小問数や,小問ごとの枝問数なども把握します。

そして配点。それぞれの大問・小問・枝問がどのように配点されているか把握します。

続いて問題がどの範囲からどれだけずつ出題され,大問ごとに出題形式が決まっているか把握します。

物・化・生・地のバランス,学年のバランスなどを把握します。


という感じで,基礎中の基礎の数の把握です。


問題作成にとりかかるまでの道のりは,まだまだ険しく,この段階では,まだ靴すら履いていない状態です。

とりあえず,今回はここまでです。

2010年7月11日日曜日

東京国際ブックフェア

先週金曜日,毎年恒例のブックフェアにいってきました。

気になるセミナーにも2本参加し,8時間じっくりとブックフェアを堪能し,そのあとの懇親会で3時間,そして新しく出会った人と帰りの電車でもご一緒し,刺激に満ちた12時間となりました。

しかしならが,会場は例年にないほど規模が大きく,忙しい昨今,1日しかスケジュールを空けられなかった今回においては,未消化に終わった感もありました。

時間に余裕をもって,2日間くらいは参加できるようにしたいものです。


さて,ブックフェアでは過去にお世話になった人や現在お世話になっている人と懐かしい話や情報交換ができたり,直接やっている仕事以外の面を知ったりということもありますが,それ以上に新しい人や情報との触れ合えることが最大の楽しみであります。

さまざまな刺激を受けることで,新しい仕事の可能性が頭の中を駆け巡り,その刺激が活力となります。

また,ブックフェアという場は,みんなが新しい人を受け入れようと心を開いているので,こちらも話をしやすいということもあり,話がはずみます。

今回お知り合いになれた方々との関係は大切にし,何かしらビジネスを行うことができれば最高です。

改訂期という教材業界特有の忙しい状況の波にもまれている毎日ですが,新しい風は受け流さずにしっかりと受け止め,仕事の可能性を広げていきたいものです。

2010年7月7日水曜日

MCBook

モリサワから,電子書籍用アプリの制作を可能とする「MCBook」を7月20日にリリースするとの,プレスリリースがありました。

InDesignからのEPUB書き出し等に関するフォントの埋め込みにおいて,そもそも埋め込めるのか,それ以前にライセンス契約上埋め込んでよいのかなど,疑問点がありました。

しかし,フォント会社であるモリサワから電子書籍用アプリ制作ソリューションが提供されることから,MCBookを使用すれば,少なくとも上記の問題はクリアできることになりそうです。

教材制作ではモリサワのフォントを使用する場面が多くありますので,既存のデザインを踏襲したまま電子書籍を検討していく際に,このMCBookが活用されるようになるかもしれません。

いずれにしても,これからもっと電子書籍用アプリ制作ソフトは,どんどん出てくることでしょう。

http://www.morisawa.co.jp/biz/news/20100707_01.html

2010年7月3日土曜日

成長点

以前,「最近は成長点という用語を使用しなくなった」という話をしました。

http://rika-kyozai.blogspot.com/2010/02/blog-post_05.html


なぜ使用しなくなったのかについて,「啓林館ユーザーの広場」のサイトの高校生物1改訂版の解説の中で触れられていましたので,ご紹介いたします。

http://www.keirinkan.com/kori/kori_biology/kori_biology_1_kaitei/contents/bi-1/1-bu/1-3-4.htm

教科書で使用されなくなった理由などは,指導書や教授資料,教科書会社のサイトなどで情報提供されていることが多いので,調べてみると知識が深まり,面白いです。

2010年7月2日金曜日

燃焼

用語に関する説明というのは,教科書や教材,参考書によって微妙に違います。

用語を覚えることが理科の本質だとは思いませんが,教科書・教材・参考書に記されている表現によって,同じ用語でも,その用語のもつ意味の印象が変わることもあります。

例えば,「燃焼」です。

・激しく熱や光を出しながら酸化する反応を燃焼という。
・熱や光を出しながら激しく酸化が進む反応を燃焼という。

前者は,「激しく」が「熱や光」にかかっていて,後者は「酸化が進む」にかかっています。

前者のほうは,マグネシウムが明るい光を出して酸化しているような場合を燃焼というような印象を受け,空気中でスチールウールが赤っぽく光りながら燃焼するのは,燃焼ではないような錯覚を受けそうです。

もちろん,空気中でのスチールウールの酸化も燃焼ですので,この感覚は間違いです。

そうなると,後者のほうであれば,「激しく」が「熱や光」にかかっていないので,空気中での赤っぽく光ながらスチールウールが酸化する場合も,違和感なく燃焼と受け取れそうです。

どちらの表現も間違いではありませんが,言葉の並びがちょっと違うだけで,大きく印象が変わる例でした。

教育用タブレットPC

東芝とインテルが,共同で教育用タブレットPCを開発し,発表しました。

http://www.toshiba.co.jp/about/press/2010_07/pr_j0101.htm

本格的に,教育産業へのタブレットPCの導入が進んできているようです。

さて,スペックを見てみて気になるのは,その重量でしょうか。

1.8kgもあります。

児童・生徒にとって,1.8kgものPCを自宅と学校で往復させるには,少々重すぎるでしょう。

とりあえずこの製品は,校内での持ち運びのみを前提に考えているようですが,総務省がすべての教科書をデジタルにと謳っている以上,これからは自宅学習でも使用することを考える必要が出てくるのだと思います。

しかし,コストのことを考えると,HDDをSSDに変えるのは少々厳しいかもしれません。

とはいっても,2015年にもなれば,SSDのコストもかなり下がっているとは思いますので,4年後には同じ価格で1kgを切るような教育用タブレットPCが出ている可能性は高いと思われます。

だからといって,教科書をすべてデジタルにするという考えは,個人的には好きにはなれません。

子供が小さいうち,できれば小学生のうちは,パソコンではなく,紙と実体験で学習して欲しいと考えます。

パソコンによる学習は,それからでも遅くないと思いますが,いかがでしょうか。

2010年6月27日日曜日

部分月食

6月26日は部分月食でした。

今年は1月1日,6月26日,12月21日の3回,部分月食が起こります。

昨日はあいにくの天気だったので,部分月食が見られるかどうか微妙でした。

しかし,見に出かけずに万が一見られたという情報が入って後悔するよりも,見に行って見られなかったという後悔のほうが何倍もよいので,雨のなか見晴らしのよい海岸沿いまで出かけました。

とりあえず,自宅から南下して海に向かい,湘南海岸沿いのどこかで車を停めようと思ったのですが,車を停められるところが本当になく,苦労しました。

関東は車を停車させるだけでも一苦労です。

無料の駐車場や適当に停車できるスペースすらないうえに,有料駐車場の多くは夕方に閉場してしまいます。

何とか見つけられた駐車場が,七里ガ浜の駐車場でした。

車から降りてみると,案の定,空は真っ黒い雲で覆われています。

風も強く,雨もパラパラと降り続けていました。

雲の隙間から月が顔を出さないかという淡い期待も,空を見る限り,可能性は限りなくゼロに近いことは一目瞭然でした。

それでも,最も欠けが大きくなる8時38分過ぎまでは待っていましたが,七里ガ浜の駐車場も午後9時には閉場ということで,閉場される前に駐車場を出ました。

というわけで,残念ではありましたが,今年は半年後にもう一度見られる予定なので,そのときを楽しみに待ちたいと思います。

2010年6月26日土曜日

果実と胚珠

今年の三重県の入試で,サクラの果実(さくらんぼ)の断面の写真が出ていました。

しかしその写真が白黒でわかりにくいので,カラー写真を撮ってみました。

といっても,スーパーで売っていたアメリカンチェリーです。



個人的には,さくらんぼを食べるのなら,アメリカンチェリーが好きですね。

教材で使用できる写真はフォトエージェンシーから借りることも多いと思いますが,身近にあるものはこのように自分で楽しんで撮ってみるのもよいかと思います。

2010年6月24日木曜日

Twitter

Twitterに登録しました。

@kashiramojiF です。

改訂期ということもあり毎日がかなり忙しいので,Twitterには手を出さないようにと思っていたのですが,とりあえず登録だけしました。

つぶやくかどうかわかりませんが…。

優先順位は,こちらのブログが上です。

2010年6月22日火曜日

恒温動物と変温動物

まわりの温度の変化にともなって,体温が変化する動物を変温動物といいます。

対して,まわりの温度が変化しても,体温が変化せず,体温を一定に保つことができる動物を恒温動物といいます。

では,「まわりの温度が変化しても,体温を一定に保つことができる」動物を恒温動物というならば,「まわりの温度が変化すると,体温を一定に保つことができない」動物を変温動物といってよいのでしょうか。


「恒温動物は,体温を一定に保つことが“できる”」は,その通りのことなので,問題ないように感じます。

しかし,「変温動物は,体温を一定に保つことが“できない”」は,表現に違和感を若干覚えます。

エネルギー消費の面から考えると,まわりの温度の変化によって体温が変化するほうが,無駄なエネルギーを消費する必要もなく,効率的です。

(恒温動物は体温を一定に保つために,多くのエネルギーを消費します)

そう考えると,“できない”という恒温動物よりも劣っているというイメージをもってしまうような表現を使うことに,少々抵抗を感じます。

確かに,進化の過程から考えると,鳥類や哺乳類などの恒温動物のほうが,魚類や両生類,爬虫類などの変温動物よりも高等な動物だと思えます。

しかし,地球環境の変化や進化の過程の中で,たまたま体温を一定に保つ機能をもった動物のほうが繁栄しやすかっただけで,もともと体温を一定に保つ機能をもつ必要性のなかった動物自体が劣っているわけではないように感じます。

個人的な感覚だけの話かもしれませんが,文で示すとすれば,「変温動物は,自力で体温を一定に保つ機能をもっていない」くらいであれば,違和感が少ない気もします。

ただし,「自力で体温を一定に保つ機能をもっていない動物を変温動物という」というと,ちょっと違う気もします。

どちらも同じだといわれる方もいるかと思いますが,個人的にはまったく違う意味として受け取れます。

みなさんはいかがでしょうか。


さて,気になったのでネットでいろいろと調べて見ると,中学校の教科書で扱っているような知識だけでは,かなり危ういということを感じました。

中学では魚類・両生類・爬虫類は変温動物,鳥類・哺乳類は恒温動物と学習します。

しかし実際はもっと複雑なようです。

哺乳類や鳥類にも変温性のものはいるし,魚類・両生類・爬虫類にも恒温性とよべるものもいるようです。

また,Wikipedeiaによると,

『恒温が「恒に体温を一定に保つ」ことと考えるなら、そのような動物は発見されていない。「積極的な体熱産生と放散を伴って能動的にある範囲に体温を保つ」こととするならば、動物では様々な分類群に分布する(珍しくもない)生理特性である。例えばウミガメ,ネズミザメ類やマグロ類にはほぼ一定の体温を保ち、10℃近い冷水の中でも活発に活動するものがある。例としてはクロマグロで35℃,アカウミガメで23℃付近とされている。特にネズミザメ類はほ乳類や鳥類と同様、属するほぼ全種が恒温性を持つ。』

とのことです。

ウミガメやマグロなどは,問題制作等で使用しやすい動物ですので,気をつける必要がありそうです。


教科書で扱われている内容というのは,事実としては古い場合もありますし,研究によって新たな発見がされたことで事実が変わっていることもあります。

普段から意識して,気になったことはすぐに調べる習慣の必要性を改めて感じました。

2010年6月20日日曜日

電子出版に関するイベント

6月19日(土)に,神田ベルサールで行われた電子出版に関するイベント,DTP Booster 014 に参加してきました。

DTP Booster 014(Tokyo/100619)

講師陣は以下の方々という事前情報のなか,これは必ず行かなければ,ということで行ってきました。

森 裕司(InDesignの勉強部屋)
境 祐司(デザインの未来)
田代 真人『電子出版元年』著者
小木昌樹(毎日コミュニケーションズ『+DESIGNING』編集長)
黒須信宏(クロスデザイン)毎日新聞社のデジタル雑誌「photo-j」開発
Joel Ingulsrud(WoodWing)
岩本 崇(アドビ システムズ):Digital Publishing Platform
プロフィールド(「ProBridgeDesigner-i」)

12時半からスタートし,終わったのは18時40分頃という長丁場でしたが,かなり充実した内容で,大満足でした。

いままでもWEB上での教材やCD-ROM・DVD教材など,すでに電子教材は多々作成されてきましたが,これからはもっと真剣に電子書籍教材を考える時代が来たのだと感じました。



さて,電子書籍・電子出版をこれから考えていかなければならない中で,教材編集者として,何を知っておくべきかということですが,まずは,何ができるか,何をしておくかということを考えるべきかと思いました。


教材編集者の中には,デジタルに弱い人が比較的多いということをときどき感じます。

しかし,そういう人たちでも,これから電子書籍の企画を考えていくためには,「iPadで動作する電子書籍を制作するためには,最低限知っておきたいという知識がいろいろあるんだ」ということだけでも理解しておくことは重要だと考えられます。


黒須氏が言っていましたが,印刷物を制作するには印刷の知識が必要なのと同様,電子書籍をつくるのであれば電子書籍の知識が必要であるということは同意見です。

また,印刷物用データを利用して電子書籍にもっていくためには,それに適した状態での制作をしていかないと,時間と労力だけが必要以上にかかってくることも実感できます。

やはり,今後は中間データ(汎用データ)を考えることが重要だと思われますが,その一歩も二歩も手前の作業として,ファイル名やスタイル名などの管理くらいは,すべて欧文で管理すべきではないかと想像しました。

WEBで展開しているもののバックグラウンドのソースはすべて欧文英数の1バイト文字です。

現在の和文組版では,ファイル名もリンクファイル名もスタイル名も,和文の2バイト文字が多々使用されています。

これをWEBにもっていくことを基本とする電子書籍用フォーマットに書き出す際に和文が駄目だということは必然であり,これは簡単に改善できる話でしょう。

すぐに電子書籍をつくるというわけではなくとも,たとえば,いつかはInDesignで組んだデータをEPUB等に書き出していこうと思ったのなら,ファイル名・スタイル名などの名称管理をすべて欧文1バイトフォントにしておくということくらいは可能かと思います。

(結局はイチから制作しなおさなければならないのかもしれませんが…)

また,手作業で制作している部分のうち,段落スタイルや文字スタイルでの設定ができるところは,必ずスタイルを適用するということも簡単にできることでしょう。

(いまでもInDesignの校了データを見ると,努力と根性で制作したあとが見て取れるものがあり,そういうものはデータのコンバートには不向きだと思われます。)

しかし,それを行うオペレーターが,どうしてそのような必要性があるかという理解も必要不可欠ではないかと考えられます。

InDesignはただのDTPソフトではなく,スクリプト等でいろいろとできるソフトウエアであり,WEBや電子書籍へのデータコンバートも可能なソフトウエアであるということを,まずは皆が実感し,それを理解し,スキルアップしていくことが必要ではないかと思われます。

特に,教材制作に携わっている方で,このようなことまでしっかりと意識されているに方は,かなり偏りがあるように思われます。


それは,教材制作に携わっている方々にとってのInDesignとは,写研やQuarkXPressなどの代わりにInDesignを使用しているという場面が多いからだと思われます。

しかし,現在のCSファミリーは,DTPだけができるソフトウエアではありません。

それを踏まえて,先の展開を見越したInDesignの利用をしていき,将来の紙媒体のデータから電子書籍媒体へのコンバートや,電子書籍制作をスムーズに進められるようにしていくことができるのでないかと考えられます。

編集者がどこまで知っておくべきかというのは何ともいえませんが,知らないより知っておいたほうがよいということは間違いないと思います。

編集者だからといって書籍制作の仕組みを知らなくてもよいという時代は,もうすぐ終わるのかもしれません。

2010年6月18日金曜日

天気図

天気の問題を作成するとき,天気図を利用することが多々あると思います。

過去の入試問題などで取り上げられた天気図を利用される方も多いかと思われますが,いまはインターネットの時代です。

過去の天気図が,豊富にインターネット上にありますので,できればそのような天気図から,問題作成の上で最もよいと思う日の天気図を取り上げて作問したいものです。

インターネット上にある気象情報といえば,やはり気象庁のサイトでしょう。

気象庁のサイトには,平成14年以降の毎日の午前9時の天気図とともに,どのような天気であったかということが,簡単に記されております。

毎日の同時刻の天気図が掲載されているので,連続した3日間の天気などを取り上げることも可能です。


気象庁 日々の天気図
http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html


このほかにも,日本気象協会のtenki.jpでは,2008年以降のカラーの天気図を見ることができます。

さらにtenki.jpでは,3時間ごとの天気の変化を見ることができます。

なんと便利なサイトでしょう。


日本気象協会 tenki.jp
http://tenki.jp/past/


このような便利なサイトを利用して,どこかで見かけたことがある天気図ではなく,なるべく新しく,季節の特徴がよりわかりやすい天気図を利用して,完全なオリジナル問題を作りたいものです。

2010年6月14日月曜日

はやぶさ

小惑星探査機「はやぶさ」が,地球に帰ってきました。

2005年のイトカワにはやぶさが到達した頃,ちょうど仕事ではやぶさのことを調べており,毎日JAXAのサイトを見ていました。

はやぶさがイトカワに着陸することができ,そして岩石を採取できるかどうか。

当時,一喜一憂しながらサイトを見ていたことを思い出します。


さて,そのはやぶさが,本日地球に帰ってくるということで,相模原市博物館で「全天周映画 HAYABUSA BACK TO THE EARTH」が上映されました。

http://www.remus.dti.ne.jp/~sagami/zentenhayabusa.htm

ちなみに,この相模原市博物館は,JAXAの相模原キャンパスの目と鼻の先です。

この相模原市博物館,およびJAXA相模原キャンパスは自宅から比較的近いので,その映像を見に行ってきました。


プラネタリウムでの放映ということもあり,かなり臨場感のある映像でした。


また,その日の夜にはやぶさが帰ってくるということもあってか,フジテレビとTBSのクルーも撮影に来ており,明日のめざましテレビとNスタで取り上げるとのこと。

しかし,できれば翌日の放送とせずに,地球到着時刻に特別番組等を組んで,リアルタイムで実況放送して欲しかったですね。

世界初の偉業であるはずなのに,テレビメディアの特別番組といえばW杯ばかり。

結局,日本のテレビメディアはどこもリアルタイムでの実況放送がありませんでした。

さびしいものです。

そのため,インターネットでのJAXAの実況放送等にアクセスが集中し,アクセスできなかった人が多々いた模様。

そういう私も,結局一度もリアルタイムではアクセスできず,リアルタイムでの臨場感は味わえませんでした。

そこで,唯一アクセスできたツイッターや,新聞社のWEBサイト,およびYahoo等で状況を把握することしかできませんでした。

http://twitter.com/Hayabusa_JAXA


しかし,うれしかったことに,和歌山大学の方が現地で映像を撮影され,それがインターネット上にアップされており,そこで録画映像を見ることができました。

http://www.ustream.tv/recorded/7634995

感動しました。

和歌山大学の皆様,ありがとうございました。


さて,このブログを書き終えた現段階では,カプセルを目視で発見できたとツイートされています。

はやぶさは,どのようなサンプルを持ち帰ることができたのでしょうか。

楽しみです。

2010年6月12日土曜日

図版サイズ

理科教材では,図版のサイズを正確に出して,イラストレーターさんや組版さんに図版制作をお願いすることが多いと思います。

その際の図版のサイズ出しを,皆さんはどうしていますでしょうか。

やはり基本は,文字数と行数,および級数と歯送りから計算して出すことだと思います。

その際に,少しでも楽にサイズを出すために,文字数は自分で数えるとして,計算についてはExcelにまかせてしまいましょう。

というわけで,次のようなものを作ってみました。



D5セルとE5セルに入れる数値を変えれば,再計算されます。

ちなみに各セルには,次のような数式を入れています。



数式の前後に「"」が入っていますが,数式を文字として画面表示させるために付けているだけですので,実際は必要ありません。

これで,少しは図版のサイズ出しが楽になるでしょうか。

IllustratorCS5:線の強化

図版を作成する際に,物体の移動前と移動後の図で,移動前を破線で表現し,移動後を実線で表現することがあると思います。

次のような感じです。



この移動前の破線で示した図で,角(コーナー)に線分がない(線と線の間の部分が来てしまっている)ことに,少々歯がゆさを覚えたことはないでしょうか。

次の図の,赤丸部分のような感じです。



これが,IllustratorCS5では,角(コーナー)に線分が来るような設定をすることができるようです。

次の図の,赤丸部分のような感じです。



理科の図では,座標位置というのを正確に示す必要があることも多くあります。

そのため,角(コーナー)に線分がないことで,ちょっと違和感のある図になってしまうこともありました。

IllustratorCS5でこの違和感を解決できるようになれば,ほんのちょっとではありますが,図の質が上がるようになるでしょう。

とはいっても,書籍となると印刷まで考えなければなりませんので,その際にいろいろとバージョン指定の問題などを受けます。

そのため,すぐにCS5が使えるかどうかは何とも言えませんが,いずれにしてもうれしいことです。

ちなみに,この情報のソースは,以下のサイトです。

DTP Transit
http://www.dtp-transit.jp/adobe/illustrator/post_1026.html

コメツキムシ

本日は,仕事のきりが早くついたので,普段より早めに帰宅しました。

といっても,最寄り駅に着いたときには20時半を回っていましたので,外は真っ暗です。

自宅に到着すると,外灯に引き寄せられて飛んできたと思われるコメツキムシがいました。

コメツキムシと戯れるのが大好きな私は,部屋の中に持ち込み,飛び跳ねる様子をカメラに収められないかと,1時間以上奮闘してしまいました。

戯れたコメツキムシは,この子です。



しかし,撮れたのは,この程度の写真でした。






シャッタースピードを調整できないため,これが限界です。

かなりの枚数,おそらく100枚以上は撮ったと思います。

何とか1枚でも良いものが撮れれば…と思ったのですが,結局無理でした。

もっとよいカメラでないと駄目ですね。

それにしても,コメツキムシはどれだけ見ていても飽きません。

2010年6月8日火曜日

元素図鑑:The Elements

iPadの登場で,電子書籍の話題を多く耳にするようになりました。

電子書籍については,もう何年も前からいろいろと話題にはなっていますが,やはり時代はAppleなのでしょうか。

iPadの登場で,電子教科書やら何やらと,いまさらのように騒ぎ出している感じを受けます。

さて,そのiPadのアプリとして,「元素図鑑:The Elements」というものが登場しました。

http://itunes.apple.com/jp/app/id372994518?mt=8


その名の通り,元素の図鑑で,元素のサンプルを3D表示でき,それをグルグルと回転させることもできるようです。

元素を覚えるのが苦手な人も多いと思いますが,このアプリのようなもので視覚的な情報を得られるようになれば,覚えやすく,また理科嫌いが少しでも軽減されるようになるかもしれません。


紹介されていているサイトも,あわせてご紹介いたします。

NAVICON
http://www.kyozaishinbun.com/article/news/01/02/ipad_2.html
教材新聞Web
http://navicon.jp/news/8133/

理科は視覚的に学習したほうがわかりやすいものが多くあります。

いまでも視覚的な教材は多々ありますが,今後はさらに増えていくと思われます。

2010年6月7日月曜日

等加速度運動

中学3年の理科で,等加速度運動について学習します。

しかし,加速度という言葉は使用しないので「だんだん速くなる運動」という言い方をします。

この「だんだん速くなる運動」を学習するとき,斜面上を転がした台車を記録タイマーを用いて記録したテープを,0.1秒ごとに記録された打点を5打点ずつ(または6打点ずつ)切って並べた図をもとに,考察を行います。

この0.1秒ごとに記録され,5打点ずつ(または6打点ずつ)切って並べた記録テープの図をかき起こすのに,苦労している方も多いかと思います。

そんなとき,エクセルで作図してしまって,その図をイラストレーターさんに渡して,正確にトレースしていただけば,初校で間違った図があがってくることは,だいぶ減るかと思います。

では,作図方法です。

中学校で学習する等加速度運動は,初速度が0ですので,加速度を a ,時間を t とすると,移動距離 x は,次の式で表されます。

  x=1/2at2

この式をもとに,加速度 a をとりあえず「2」とおき,時間を0.1秒刻みとし,エクセルに展開していきます。



Aの列には,0.1秒刻みで時間を記しています。

Bの列には,加速度を2とおいたので,たとえばB2セルには,「=1/2*2*A2*A2」というような式を入れています。

Cの列には,差を入れています。たとえばC3セルには,「=B3-B2」というような式を入れています。

これで,Cの列には,0.1秒ごとに移動する距離が入ります。

これを5打点ごとに切り取ると,次のようになります。



これを,グラフウィザードでグラフ化すると,次のようになります。



これをPDFなどに書き出すなどしてイラストレーターさんに渡せば,かなり正確にトレースできるのではないでしょうか。

手描きの図版原稿に数値を記入するなどして作図指示を出すだけでなく,このような方法を使うと,より正確に作図していただけるかもしれません。

2010年6月6日日曜日

部分月食

6月26日の宵の頃に,部分月食が見られるようです。

詳細は,以下のAstroArtsのサイトをご覧ください。
http://www.astroarts.co.jp/alacarte/2010/201006/0626a/index-j.shtml

月の出前後の19時16分に欠け始め,20時38分にもっとも大きく欠け,22時00分に終了するようです。

月食終了時でも月の高度は20度ほどしかないということと,私の自宅の南東方向にはいろいろと建造物があるため,おそらく私の自宅からは観測でないでしょう。

しかし,運良く土曜日で休日なので,特に予定等がなければ,どこかで観測してみたいものです。

反応熱

中学校の理科では,化学変化にともなう熱の出入りとして,燃焼熱,生成熱,中和熱が扱われています。

もちろん,中学では物質量や熱化学方程式等は扱われないので,化学変化にともなって熱が発生したり,熱を吸収したりする程度の話となります。

この化学変化にともなう熱の出入りが,新学習指導要領では2年生に学習することになります。

しかし,中和を3年生で学習することになることから,化学変化と熱の学習では,中和熱についての扱いはなくなるのかもしれません。


ところで,熱の出入りは化学変化だけで起こるわけではなく,状態変化や溶解などの物理変化でも起こり得ます。

冷却パックを例として,溶解熱を「発展」として取り上げられている教科書もあります。


中学では「化学変化にともなう熱の出入り」が学習内容となっているので,このような溶解熱等の物理変化にともなう熱の出入りは発展扱いとなります。

しかしどうせなら,状態変化にともなう熱の出入りも含めて,指導要領内としてしまってもよかったのではと,個人的には感じます。

それは,2年のからだのつくりとはたらきで,汗を扱いつつ,汗が体表から蒸発することで体温が下がるということから,気化熱を定性的に扱ってもよいのではという考えからです。

汗こそ,こどもたちにとって身近な内容であり,それを科学的に考察することこそが,理解を深めることにつながると考えられます。

そうはいっても,学校によっては,化学分野と生物分野のどちらを先に学習するかわからないので,関連性を出せないのかもしれませんが…。

いずれにしても,新学習指導要領では物理変化にともなう熱の出入りは学習指導要領外となるので,注意が必要です。

2010年6月4日金曜日

日本の野草

山と渓谷社の「日本の野草」という図鑑を購入しました。
http://special.yamakei.co.jp/yasou/

発売から25年以上たち,累計で50万部も売れているベストセラーです。

その図鑑が,昨年,増補改訂されたとのこと。

この手のフルカラー図鑑で,730ページ以上もある書籍が,50万部ものベストセラーとなっていることに驚きつつも,内容を見ると,売れ続けていることに納得します。

図鑑は,1回購入すると,何年も使い続けられるものです。

50万部も出ているということは,50万人もの人が持ち続け,使い続けている可能性があるということです。

図鑑とは異なり教材の多くは,だいたい1人の生徒が1冊の教材を使用する期間は,1年間~3年間くらいでしょう。

中には長年使い続けてくれる人もいるでしょうし,先生などは何年も愛用してくださっていたり,採用し続けてくださっているかもしれません。

しかし,子どもたちの心にとまるような教材を提供することができ,その子どもたちが大人になってもそれを手放さずに愛用し続けていただけるようなことができれば,それは教材制作に携わった人たちにとって,最もうれしいことではないでしょうか。

そのような教材を提供できるよう,日々研鑽していきたいものです。

さて,最後に,購入した「日本の野草」の表紙にも掲載されていた私の好きな植物のひとつである,「サギソウ」の写真をアップしておきます。

湿地に生える多年草です。



5年前に撮影したものですが,久しぶりに湿地を歩きたくなりました。

2010年6月1日火曜日

新ゴの数字

現在,新規で作成する制作物については,InDesignとOTFの組み合わせで制作をしています。

しかし,何年も前から改訂し続けているものの中には,QuarkXPressとOCFの組み合わせで制作しているものがあります。

そんな制作物で新ゴが用いられているのですが,OTFではほとんど意識することのなくなった,数字のデザインバランスの悪さを,その制作物の改訂のときだけ,意識するようになります。

OCFやCIDの新ゴでは,2バイトフォントが半角のようなデザインで,1バイトフォントが全角のようなデザインです。

OTFになり,2バイトフォントが1バイトフォントのデザインに近づいたので,とりあえずいまは,それで納得して使用しています。

しかし,OCFやCIDの2バイトフォントと1バイトフォントのデザインの不統一感については,やはり気持ち悪さがぬぐいきれません。

そこで,1桁数字の場合の2バイトフォントを1バイトフォントに置き換えるのですが,1バイトフォントはプロポーショナルデザインなので,字送りがずれていきます。

本文中で1桁数字を扱う場合,できれば上下の行と字送りが揃った形のほうが見栄えがよいと,どうしても写研を経験してきた人間は,思ってしまいます。

それを読む人にとってはほとんど気にすることはないと思いますが,ずれているのは気持ち悪くてたまりません。

だからといって,2桁以上の数字を2バイトフォントに置き換えるのもどうかと思いますし,置き換えた数字の文字間を手作業で詰めるのも,仕事としてどうかと思います。

やはり,OCFやCIDで制作しなければならない場合は,新ゴの数字はすべて1バイトフォントにするのが,妥協点としてはベターでしょうか。

そろそろOCF・CIDの呪縛から逃れたいものです。

2010年5月27日木曜日

スチールウールの燃焼

激しく熱や光を出して物質が酸化することを「燃焼」といいます。

教科書を見ると,スチールウールを空気中で加熱すると赤っぽくなりながら反応し,加熱したスチールウールを集気びんなどに集めた酸素中に入れると,激しく燃焼するのが写真等からわかります。

さて,この2つの違いはわかりやすいのですが,大日本図書の教科書や学校図書の教科書に出ている,次の場合について疑問をもちました。

それは,空気中でガラス管を用いて空気を送りながらスチールウールを加熱するという実験です。
(学校図書の教科書では,呼気をガラス管から吹きかけるという操作)

さて,どのような反応を起こすのでしょうか。


どうしても気になったので,コンビニでスチールウールを買って帰り,自宅で実験してみました。


呼気を吹きかけずにガスコンロでスチールウールを加熱したときのようすが,次の写真です。





赤っぽくなりながら燃えているのがわかります。

もう少し,炎に近づけてみました。





そして,呼気をストローで吹きかけてみました。







シャッターをきるタイミングで雰囲気がだいぶ変わりますが,酸素中での燃焼までとはいえなくても,熱や光を出して燃焼しているといってもよいような反応は示しました。

(呼気の勢いで,熱で切れたスチールウールの小片が舞っているだけのようにも見えますが…。)

大日本図書の教科書では空気,学校図書の教科書では呼気でしたが,呼気も16%程度は酸素なので,空気とあまり変わらない結果になるでしょう。

ちなみに,撮影はこんな感じで行いました。参考までに。

「なぜ私は業者テストをやめさせたのか」

先週末,BOOKOFFを訪れて教育書関係の棚を物色していると,「なぜ私は業者テストをやめさせたのか」という書籍が目にとまりました。

著者は元埼玉県教育長の竹内克好氏です。

1993年3月30日発行なので,17年も前の書籍ですが,テスト等も制作している立ち場として,また,これから人の親になっていく身として,表紙に記された以下の文面にひかれて購入しました。


『とにかく親も問題だ。
 学校や偏差値まかせで子どもが幸せになるか。
 親の"下請けまかせ体質”をなくせば,かならず教育はよくなる。』


17年も前の書籍ですが,内容はかなり共感できるものばかりでした。


長時間通勤によって子どもとの時間が短くなるのは,教育上よくないと常日頃から感じています。

そうはいっても関東では,どうしてもベッドタウンでの生活にならざるを得ない状況におかれる人がほとんどで,みんな長時間通勤に耐えています。

編集という仕事も長時間労働になりやすい業種ですが,子どものことを思えば,ライフスタイルをいろいろと改めていかなければなと,考えさせられました。

また,教材を扱っている教材編集者が,教育の心をおろそかにしてはいけないと,改めて感じさせられました。

2010年5月25日火曜日

校正支援ツール

本日は,帰宅してから,ひたすらExcelとにらめっこをしています。

Excelでの作業といっても,Excelの機能を利用した仕事ではなく,ひたすらセルごとに区分けされたテキストデータを,チェックしては修正を加えるという作業です。

さて,膨大なテキストデータのチェックをしていると,表記のゆらぎや誤字脱字等を画面上でチェックしきれないことを感じます。

そんなとき,何か校正支援ツールはないかということで,本日はその話題です。


少し前から校正支援ツールとして話題になっているのは,JustSystemの「Just Right!」ではないでしょうか。

その Just Right! があれば楽なのですが,あいにく持ち合わせていません。

そこで,フリーのソフトウエアや校正支援サイトを活用して,チェックをかけてみました。


まず,Excelからテキストデータを引っぱり出し,Wordに貼り付けます。

すると,日本語としておかしいところなどが,波線で表示されますので,そこを修正します。

さらに,「Variant Detector」というフリーソフトを利用して,表記のゆらぎのチェックをし,修正を加えます。
http://www.forest.impress.co.jp/article/2007/07/25/okiniiri.html

そして最後に,「日本語文章校正ツール」というサイトでアラ探しをし,さらに修正です。
http://www.japaneseproofreader.com/

そんなに手間はかかりませんが,チェックをしてくれるだけで自動修正はしてくれませんので,その都度,一括置換等をかけての修正を行います。

人間の目だけのチェックでもミスを減らすことはできますが,なかなか完璧とはいきません。

特に,学年によって表記を変えているものをチェックしているときなど,人間ならときどき漢字の閉じ開きが混ざってしまうこともあります。

その点,ソフトウエアは間違えることはありませんので,安心できます。

ツールにすべてを任せるとかえってやりにくいこともありますが,人間がやるより作業が早く済むものは,粗ツールに任せるのも一つの手段だと思います。

2010年5月23日日曜日

新小学校教科書

5月に入り,平成23年度から使用される小学校教科書の見本本(展示本)を見る機会が増えてきました。

さて,その新教科書について,学校図書の話題がasahi.comで取り上げられていました。

「RPG見たいな小学校教科書 バンダイナムコが共同制作」
http://www.asahi.com/national/update/0522/TKY201005220135.html
とのことです。

この話題を見る前に,学校図書の「学年目標ツリーハウス」を見たとき,「こんな方法もあるのか…」と思いつつ,「ちょっとごちゃごちゃしすぎて,見にくいのでは…」と少し思いました。

しかし,バンダイナムコが制作という情報を聞くと,「子ども視点では,こういうもののほうが面白いのかな…」と少し思わされました。


個人的にはテレビゲームもそんなにやらずに大きくなったせいか,テレビゲーム世代の感覚が少し弱いのかもしれません。

いまだに,ファミコンのドクターマリオやスーパーファミコンのマリオカートが大好きでやっているくらいですから…。

教材制作は,使用する世代が,「先生・講師」と「児童・生徒」という,対極を見据えて企画する必要があります。

デジタル教材などが増えてくれば,現状以上に,「いま」の子どもたちがどんな感覚を持っているかということを読み取る力は,もっと必要になりそうな気がします。

制作側が年齢を重ねていっても,教材を使用する世代は変わりません。

そのため,そのときどきの子どもがどんな感覚を持っているかということへの制作側の意識の対応は,決して忘れてはいけないことだなと,この記事を読んで感じました。

2010年5月19日水曜日

形容詞+です

日々の仕事の中で,しばしば「とんでもありません」や「とんでもございません」を用いる人を見かけます。

そういう私も,恥ずかしながら使ってしまっております。

「とんでもない」は形容詞であり,「とんでもな・かろ」「とんでもな・く」・・・と活用します。

そのため,「とんでもありません」や「とんでもございません」は,ことばとしてはおかしいと思われます。


さて,それを意識して「とんでもないです」と丁寧語の「です」をつけて使用することもあるのですが,個人的に,この「形容詞+です」に違和感を覚えます。

微妙な感覚ではあるのですが,少々言葉としての美しさに欠ける感じがします。

とはいうものの,日常会話ではそんなことを意識して話していません。

しかし,紙面上で「形容詞+です」が出てくると,たいへん違和感を覚えながら,その文を眺めております。


調べてみると,この「形容詞+です」は,かつては間違った用法だったようです。
しかし,現在は正しい用法として,学校でも教えられているようです。

詳しくは,以下のサイトをご覧ください。
http://www.nhk.or.jp/a-room/kininaru/2004/11/1102.html

いずれにしましても,個人的には,教材紙面上ではなるべく「形容詞+です」を使用しない文章構成にしたいと考えてしまいます。

お花畑

中学理科ではほとんど使用されませんが,「お花畑」という用語があります。

「お花畑」とう言葉には,「花畑」という言葉の丁寧語という意味のほかに,高山などで,夏に高山植物が咲き乱れるところという意味もあります。

後者の意味を知らないと,「お」を取ってしまいがちになるので,どちらの意味で使用されているかを本文から理解し,使い分けをしなければなりません。

東部鉄道・西部鉄道

ある翻訳ものの本に,同音異義語の間違いがありました。

それは,「東部鉄道・西部鉄道」であるべきところが,「東武鉄道・西武鉄道」となっていました。

外国の話なので,日本の鉄道会社である東武鉄道と西武鉄道はおかしいですね。

このような見慣れた漢字,読みなれた漢字というのは,校正をしていても,意外とスルーしてしまいがちです。

理科教材では,「東部鉄道・西部鉄道」も「東武鉄道・西武鉄道」も出てくることはほとんどないと思いますが,このようなミスが起こりがちだということを,ちょっと意識しておくと,多少は役に立つかもしれません。

表現

理科では,「変化」を扱うことがよくあると思います。

この変化を問うときに,「どのように変化しましたか。」というような設問文を用いることがあると思いますが,この表現が少し気になります。

「どのように変化しましたか。」ですので,「変化している」ことが前提でなければならないと思うのは私だけでしょうか。

もし答えが,「変化しなかった。」となるような場合であれば,変化していないのですから,「変化しましたか」ではおかしいように感じます。

ちょっと理屈っぽいでしょうか。


個人的には,「どうなりましたか。」であれば,「変化しなかった。」と答えても,それほど違和感はないような気がします。


みなさんはどうされていますか。

2010年5月16日日曜日

きめこまやか?

テレビから,「きめこまやか」という声が聞こえてきました。


大辞林では,

『きめ【木目・〈肌理〉】(中略)3.物事をする際の心くばり。「―の細かい配慮」木目が細か・い
1.皮膚や物の表面がなめらかである。2.気配りが行き届いて丁寧であるさま。』

『きめこまか【木目細か・〈肌理〉細か】(中略)2.気くばりがこまやかなさま。丁寧で緻密なさま。「―な筆致」「―な対応」』

『こまやか【細やか・濃やか】1.情が深く心遣いが行き届いているさま。心のこもっているさま。「―な愛情を注ぐ」「―な心遣い」(以降略)』

となっています。

この解説を読む限り,木目・肌理は「細かい」「粗い」ものであり,「こまやか」なものではないと思われます。

日本語は難しく,私も断定できるほどの知識はありませんが,「きめこまやか」は間違いで,「きめこまか」が正しい使い方だと思います。

~たり~たり

動作や状態が繰り返されるときの表現をするとき,「歌ったり踊ったり」というように,「~たり~たり」と「たり」を繰り返すことで表現されます。

しかし,「歌ったり踊った」というように,「たり」を省略して表現してしまう人が多いようです。

辞書でも「~たり~たり」というように表現を繰り返して用いるというようなことを記していますので,正しい日本語は,「~たり~たり」でしょう。

編集の仕事を始めた頃から今に至るまで,今でも出回っている教材の中で,この間違いを多く見かけます。

文が長くなりすぎるのを嫌うために,2つ目の「たり」を削除してしまうのかもしれませんが,日本語として間違っているようなので,正しい日本語を用いなければなりません。


ネット上でも同じ疑問を持つ人がいないかと検索してみたところ,NHK文化研究所のサイトでも解説が載っていたので,ご紹介します。

http://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/kotoba_qq_06020601.html

正しい日本語を使用するというのも,なかなか難しいものです。

金星と月

本日は自宅にて仕事をしていました。

夕方5時過ぎまで仕事をし,そのあと食事に出かけました。

19時頃帰ってくると,西の空に三日月と金星が並んでいるのが見えました。

これはチャンスと急いで部屋に戻りカメラを手にし,それを写真に収めました。



また,その1時間後にも,もう一度写真に収めておきました。



このような天体上の特別な日が,休日と重なることはなかなかありません。

今日は仕事を持ち帰っていたために外出もせずに自宅にて仕事をしていたため,運良くこのような写真を撮ることができました。

植物の写真もそうですが,自然現象を写真に収めるのは,タイミングを逃すと何日,何週間,何か月,何年,…というように,しばらく写真に収めることができなくなります。

今日は本当に,運の良い日でした。

トホシテントウ

本日は仕事でした。

といっても,出社したわけではなく,ある会議のための外出でした。

その会議も午後3時過ぎには終わったので,そのまま帰るのがもったいなくなりました。

そこで,外出先からの帰り道に代々木公園があったのに気づき,原宿駅で途中下車し,1時間半ほど代々木公園に寄りました。

わたしの趣味のひとつに,動植物の写真を撮影して,帰宅後その動植物の名前を調べるというのがあります。

なかなかすべての動植物の名前を同定するのは難しいのですが,わからないなりに調べている時間が楽しいものです。

特に春になると,足元にいろいろと花が咲いているのがよく目に入るようになるので,わくわくしてきます。


さて,花というのは季節ものでもあるので,いつでも写真に残せるというものではありません。

そこで,最近はカメラを持ち歩いていることが多いのですが,今日も運良くカメラを持ち歩いていたので,写真に残したい動植物はないかと,下を見ながら公園を歩き,良い対象を見つけたら,しゃがんで写真撮影をしました。

しかし,スーツ姿でしゃがみこんで写真を撮っている姿は,傍から見たらかなり怪しい人だったかもしれません。


撮った写真の中で,ちょっと公開したくなったのが,トホシテントウです。

全国的に一般的なのかどうなのかわかりませんが,わたしとしてはかなり珍しいテントウムシのなかまです。





このトホシテントウはハルジオンにとまっていました。

この時期ハルジオンはあちこちに見られるので特に珍しくもないのですが,何となく気持ちが引き寄せられたハルジオンをみると,この写真のトホシテントウがいました。

うれしくなって10分近く写真を撮ったり眺めたりしていました。


このような動植物の写真もかなりたまってきたので,また別のブログで公開したいなと,最近考えております。

2010年5月13日木曜日

「ら」抜き言葉と「い」抜き言葉

会話等の口語でよく使用されている「ら」抜き言葉や「い」抜き言葉を,教材等で使用するのはご法度です。

教材制作に携わっている人は当たり前のように分かっていることだとは思います。


しかし,教材以外の書籍や雑誌における「ら」抜き言葉や「い」抜き言葉の多様が最近目立つようになった気がします。

また,広告や商品パッケージなどでも,最近,気になるほどに「ら」抜き言葉や「い」抜き言葉を見かけます。

「ら」抜き言葉や「い」抜き言葉がここまで氾濫していると,教材制作をしている私も,ときどき自分が間違っていたのかな・・・と感じてしまいます。

まわりに流されず,正しい言葉を使っていきたいものです。

2010年5月9日日曜日

外国人名の表記

中学までの教材ではあまり気にすることはありませんが,高校以上の教材になると,法則等を発見した研究者の名前をカタカナで表記することが多くあります。

そんなとき,どのようなルールでカタカナ表記をしたらよいのでしょうか。

今回は,特に個人的に気になっている,姓と名の間の「・」について取り上げたいと思います。


たとえば,中学で出てくる「メンデル」ですが,オーストリア生まれで,本名を「Gregor Johann Mendel」と表記します。

ちなみに,「Gregor」は修道名,「Johann」は名,「Mendel」は姓だと思われます。
(間違っていたらすみません)

これをカタカナ表記すると,多くの場合,「グレゴール・ヨハン・メンデル」となります。

現地の表記では「・」を入れていないのに,なぜカタカナ表記をすると「・」を入れるのでしょうか。

「グレゴール ヨハン メンデル」だと読みにくいからだと思われますが,日本人名の場合は「湯川秀樹」のように,姓と名の間を空けることはありませんし,もちろん「・」を入れることもありません。

そうなると,日本人名と同じように間を空けることもせずに,「グレゴールヨハンメンデル」もよいような気もしますが,やはり少々読みにくいです。

実際,教科書や教材等を見ていると,各社のルールがあるようで,取り上げた上記の例はすべてどこかしらで用いられているようです。

個人的には間を空ける形が原型に最も近いので好きなのですが,和文に欧文スペースを用いても,少々狭すぎて空きが目立たないので,2分アキくらいがちょうどよいかなと思っております。

ちなみに,空きを全角アキにしているところもありますし,「・」を半角送りにしているところもあるかもしれません。

どれが正しいというものではないと思いますが,少し気にして見てみると面白いと思います。

2010年5月7日金曜日

セロハンテープとステープラー

教材に限らず,セロハンテープとステープラーが紙面上に出てくることはあると思います。

このセロハンテープとステープラーという表記ですが,注意が必要です。

日常会話では,セロハンテープのことを「セロテープ」ということがあると思います。

この「セロテープ」という表記は,ニチバン株式会社の商標です。

そのため,教材上では「セロハンテープ」と表記する必要があります。

では,ステープラーはどうでしょうか。

人によってはあまり聞きなれない名称かもしれませんが,ホッチキスのことです。

ここで取り上げたので「ホッチキス」が商標かと思われるかもしれませんが,現在,文房具分野での商標は失効しているようです。

そのため,「ホッチキス」と用いてもよいのですが,英語での一般名称がステープラーであるため,教材では「ステープラー」を用いたほうがよいでしょう。

なお,JIS企画上での表記は「ステープラ」と,最後の音引きはつけないようです。

2010年5月5日水曜日

共存

昨晩,『生物多様性スペシャル 最後のいっぴき物語』という番組を見ました。

絶滅のおそれのある野生動物の種の保存について,理科教材編集者として何かできることはないかと,少し考えさせられました。


さて,その番組を見ていて耳に入った言葉に,「共存」がありました。

これは,「きょうそん」と読みます。

意外と「きょうぞん」と読んでいる人が多いのではないでしょうか。

日常生活では「きょうぞん」と読んでも許容とされているので,ルビ等で「きょうぞん」と振られていても気づかずにいってしまいがちですが,正しくは「きょうそん」です。

このように,日常生活では許容としてしまう読みが多々あります。

そのようなものは,普段から意識して読むように心がけるとよいかと思います。

2010年4月30日金曜日

教材は正しい日本語で

どんどん忙しくなっていっております。

なかなか落ち着いてブログも書けません。

そこで,スマートフォンやネットブックを購入して,通勤電車の中で書こうかと少し考えることもありますが,毎日の通勤電車の中を思うと,そんな広い空間を確保できないな…と,簡単に諦めてしまいます。

関東の通勤電車は最悪です。


さて,教材を制作していると,間違った日本語を用いていないか不安になります。

間違った日本語を使用した教材を使った子どもたちが,間違った日本語を覚えてしまったら申し訳がたちません。


そんな気持ちを持って書籍を読んだり,雑誌を読んだりしていると,いろいろと間違いに気づきます。

私も人に自慢できるような正しい日本語を用いられている自信はありませんが,自信がないからこそ不安にかられ,教材制作には慎重になります。


教材制作に携わる人は,不安にかられるぐらいの気持ちがあるのがよいと思います。

世に出ている教材だけでなく,教育系の書籍等を読んでいると,私の分かる範囲でも日本語の間違いをときどき見かけます。


理科教材といっても,内容だけにかたよらず,日本語の面でも恥ずかしくないものを作成したいものです。

2010年4月24日土曜日

常用漢字追加新案

文化庁から,常用漢字に追加される漢字の新案が発表されました。

6月の文化審議会で文部科学省に答申されたあと,早ければ11月にも内閣告示され,一般に使用されることになるようです。


さて,そうなると,新学習指導要領に向けて改定している教材等においても,使用する漢字をどうするかということを考えなくてはなりません。

とりあえず,今回発表された追加196字から,理科および教材に関係しそうなものをピックアップしてみました。


●嵐…あまり使用していませんが,地学の内容で使用することもありそうです。
●崖…ルビを振って使用していることもありますが,今後はその必要がなくなります。
●鎌…「鎌形赤血球」を漢字表記することができるようになります。
●桁…ルビを振って使用していることもありますが,今後はその必要がなくなります。
●鍵…「かぎ層」としていたものを「鍵層」と漢字にすることができます。
●勾…「こう配」としていたものを「勾配」と漢字にすることができます。
●頃…一般的にはよく使っていますが,教材では開いていました。常用漢字になっても開いておいたほうが読みやすい気もします。
●柵…「柵上組織」の「柵」を開く必要がなくなります。
●餌…個人的には,漢字にしたいという衝動を抑えて開いていたこともありますが,漢字が使えるようになります。
●腎…「腎臓」の「腎」を漢字にすることができるようになります。
●脊・椎…「セキツイ動物」としていたものを「脊椎動物」と漢字にすることができます。
●唾・腺…「だ液せん」としていたものが,「唾液腺」となります。
●堆…常用外でも「堆積」と漢字にしていることが多いですが,これからは安心して漢字表記できます。
●貼…「のりではる」というときの「はる」は,「張る」が現在は常用表記です。とても違和感がありましたが,これからは「貼る」と表記することができるようになります。
●瞳…「ひとみ」を「瞳」と漢字にすることができます。「どう孔」も「瞳孔」にでき,意味をとらえやすくなります。
●虹…「にじ」コラム等でときどき使用していますが,安心して漢字にできます。しかし,「にじ」の読み方しか示されていなかったので「虹彩」は「こう彩」または「こうさい」のままでしょうか。とはいっても,ルビをふって閉じることになる気がします。
●斑…「はん状組織」は「はんれい岩」が,「斑状組織」「斑れい岩」となります。
●膝・蓋…「しつがいけん反射」が「膝蓋けん反射」となります。残念ながら「腱」は常用外のままです。とはいっても,教材では「膝蓋腱反射」となるでしょう。
●肘…反射の内容で,ときどき「ひじ」と使用してたところを,漢字にすることができます。しかし,違和感がすごくあります。使い慣れていないせいでしょうか。
●哺…「ほ乳類」が「哺乳類」と漢字にできます,しかし,「ホニュウ類」とカタカナ表記していることも多く,漢字表記にすることに違和感があります。
●頬…「ほおの内側の細胞」と使っていたものが,漢字にできます。しかし,これも違和感を覚えます。
●冥…「冥王星」の「めい王星」としていたものを漢字表記にできます。


これら以外の追加案の漢字にも,理科教材で使用されることのあるものはあると思います。

意識して動向を見ておく必要がありそうです。

2010年4月20日火曜日

摩擦力

水平面で静止している立方体を水平方向に動かそうとするとき,静止摩擦力がはたらきます。



そして最大静止摩擦力以上の力が加わると立方体は動き出し,動き出すと,立方体と水平面の間には動摩擦力がはたらきます。



では,立方体ではなく球のときではどうでしょうか。

立方体のときとは異なり,球なので回転しやすくなります。

この物体を回転させるためには,回転摩擦力以上の力を加えればよいことになります。




この回転摩擦力は球の場合だけにはたらく摩擦力ではなく,斜面上における立方体などでも同じことがいえます。

たとえば斜面が急なときなど,立方体でも転がります。

このときの摩擦力の関係は,最大静止摩擦力より回転摩擦力が大きい状態です。

逆に,最大静止摩擦力のほうが回転摩擦力より大きければ,立方体は回転せずに斜面を滑りおります。


さて,水平面で回転しながら移動している物体が,だんだん遅くなって止まる場合は,どのような摩擦がはたらいているのでしょうか。

摩擦力は「運動を妨げる向きにはたらく力」ですので,運動方向とは逆向きの摩擦力(動摩擦)がはたらくといいます。



しかし,回転している物体の回転を止めるための力もはたらきます。

これは力のモーメントを考えればよく,回転方向とは逆向きの力がはたらきます。

つまり,運動を妨げる向きとは逆向きの力もはたらいているということです。



とはいえ,回転が止まるだけなので,進行方向と逆向きの摩擦力(動摩擦)がはたらかなければ,回転が静止した状態で等速直線運動を続けます。

ちょっと頭の中を整理したかったのでブログに記しましたが,合っていますでしょうか。

間違っていたらご指摘いただければ幸いです。

2010年4月19日月曜日

JST科学技術振興機構

先ほど帰宅しまして,ふとワールドビジネスサテライトを見たところ,興味を魅かれる話題が取り上げられていました。

その話題が終わる30秒ほどしか見れなかったので,気になってインターネットで検索してみたところ,JST(科学技術振興機構)のサイトにたどり着きました。

その気になった話題というのは,「アクアマテリアル」というものです。

主成分が水のゲル(ハイドロゲル)で,水に3種類の粉を混ぜるだけでできるそうな。

このゲルの強度を高めるために粘土を入れるとのことで,その粘土をばらけさせるために吸水性高分子を用いるとのこと。

詳細は以下のURLをご覧ください。
http://www.jst.go.jp/pr/jst-news/2009/2010-03/page07.html

紙おむつなどで使用される吸水性ポリマーが関連しているなど,コラムとして取り上げても面白いかなと思える内容です。

このJSTのサイトを細かく覗いたことはありませんでしたが,いろいろとアイデアのヒントになりそうなものがありそうです。

2010年4月17日土曜日

括弧付き数字

括弧付き数字に,どのようなフォントを使用しますか?

例えば明朝体ではどうでしょう。

個人的に最も好きなのは写研フォント(本蘭明朝かな)のカッコ付き数字です。


しかし,仕事で写研を使うことはなくなり,会社ではDTP(InDesign)のみで,フォントもモリサワを使用することが主流です。

写研フォントの美しさはやはり最高だと個人的には感じますが,モリサワを使用することへの抵抗はそんなになく,特徴を理解してフォントを選べば美しく組み上げることも可能だと思います。

ただし,括弧付き数字だけは好きになれません。

どこが好きになれないかというと,括弧の中の数字が小さすぎるところです。

どうしてモリサワの括弧付き数字はあんなに小さいのでしょうか。

もっとはっきりと大きく見せたいのに,モリサワの括弧付き数字は主張が弱すぎます。


そんなとき,パーレンとの組み合わせで表現すれば数字を大きく見せられます。

「開きパーレン」と「1バイト数字」と「閉じパーレン」を使えば,数字が小さくなることはありません。

こんな感じです。

  (1)(2)(3)・・・

しかし,一桁のときは1バイトフォント3文字分,つまり全角で1.5文字分なのですが,二桁になると1バイトフォント4文字分,つまり全角で2文字分になってしまいます。

そのため,小問番号として上下に並べると,揃えの見栄えが悪くなります。


やはり,全角1文字分(2バイトフォント)として用意されている括弧付き数字を使ったほうが,バランスがよくなるでしょう。


そこで私は,ヒラギノの括弧付き数字を選びます。

ヒラギノの括弧付き数字は括弧の中の数字が大きく,しっかり主張していて見やすいフォントです。


よくよく考えてみれば,ヒラギノフォントをデザインされている字游工房さんは,写研でフォントデザインをされていた方が立ち上げた会社です。

そのためなのか,モリサワにない写研のよさというのを持ち合わせたデザインのフォントもいろいろとあります。

モリサワもヒラギノも,個人的にはどちらが圧倒的に好きというわけではありませんが,組み合わせることで個人的に好きな明朝体を作ることも可能です。

そんなときにInDesignでは合成フォント機能がありますので,それが実現可能です。

でき上がった書籍を使う人がそんなことを気にして見ることはないと思いますが,少しでも見やすいほうが使いやすいということはあると思います。

ほんのちょっとしたフォントデザインの違いも,こだわってみるといろいろと発見できて面白いと思います。

学習効果

先日,あるディスカッションに参加してきました。

詳細は記せませんが,学習効果に関するような内容について,様々な業種の方と意見を交わしました。

普段の教材制作において,どのようにすればより子どもたちにとって学習効果があるかというのを考えていますが,社内のメンバーだけで会議をしていると,なかなか変わった意見が出てきません。

経験を重ねるほどに考え方が固まってしまったり,教材におけるオーソドックスというものがあったりと,なかなか奇抜なアイデアというのが出てきません。

しかし,業種が変われば考え方も様々で,普段の社内会議では聞くことができない考え方から,新たなアイデアがひらめいたりと,有意義な時間を過ごすことができました。

世の中には多くの教材があり,見比べてみるとどれも似たり寄ったりです。

それは教材におけるオーソドックスというものが出来上がってしまっていたり,それを使う先生方からの需要に変化が少なかったりと,教材に対する大きな変化が起こりにくい環境があるからかもしれません。

しかし,実際にそれを使用する人たちにとってどのようなものが本当によいかというのを考えると,オーソドックスと思われているものが本当によいのかどうかというのは,実際のところわかりません。

学習効果が本当に高い教材というのはどのようなものでしょうか。

大きな課題です。

本則

改訂期…,忙しいですね。

平日にブログを書く時間をなかなかとれません。

これから2年続く改訂作業。

まだまだ先が長いですが,息を切らさず頑張りたいものです。


さて,今日の話題は,IMEの変換についてです。


漢字の送りがなの統一は,書籍を作る上では重要です。

内容の本質ではありませんが,送りがなの表記がばらけていると読みにくく,みっともなくもあります。

そんな送りがなには,本則と通則というのがあります。

例えば「あらわす」。本則では「表す」ですが,通則として「表わす」もよしとしています。

そうはいっても,教材においては,本則で表記するのが基本でしょう。

しかし,パソコンで原稿を書いていると,頭では「表す」と思っていても,変換ミスで「表わす」となってしまうこともあるでしょう。

そんな変換ミスを校正で消していくのもよいですが,それよりも原稿段階で変換ミスを減らす方法があればよいとはおもいませんか。


IMEでは,標準で本則と通則をあわせた「全部」を変換候補として表示する設定となっています。

この設定を「本則」にしておけば,本則のみが変換候補として出てくることになります。



このように日本語入力システムの設定をちょっといじるだけで,無駄な労力を減らすことができます。

2010年4月11日日曜日

カンマと句点

理科教材に限らず,中学校の教科書や教材における横書きでは,句読点(、・。)ではなく,カンマ「,」と句点「。」を用いることが多いと思います。

どうして句読点ではなく,カンマと句点なのでしょうか。

このことについて,文化庁のサイト中の「国語表記の基準」に,以下のような文言がありました。

  『句読点は,横書きでは「,」および「。」を用いる。
   事物を列挙するときには「・」(なかてん)を用いることができる。』

公用文については,このようなルールがあるようです。

その流れを汲んでいるのかどうかは定かではありませんが,中学校の教材関係では,カンマと句点が使われているのかもしれません。

しかし,これが高校以上になってくると,カンマとピリオドを用いているものも見られるようになり,専門書になると,カンマとピリオド表記のものも多く見られるようになります。

もともと日本語は縦書きなので,横書きは英語と同じカンマとピリオドにするというルールなのかもしれません。

いずれにしても,詳細が知りたい方は調べてみてください。


さて,このカンマと句点なのですが,PCの日本語入力システムで基本設定することができます。

ときどき原稿で読点とカンマが混ざっているものを見かけますが,初期設定しておけばそんな間違いもなくなるでしょう。

次の画像は,MS IMEとGoogle日本語入力のプロパティです。
ATOKを私は使っていないので 画像は用意できませんが,おそらくできるはずです。





このように,PCの設定をちょっといじるだけで,ミスが少し減ると思います。

まだ設定されていない方は,試してみてはいかがでしょうか。

模擬テストの作成

ある塾が,ライバル塾の模試の問題を盗用したとのニュースが流れました。

模試制作というのは,かなりのエネルギーと技術を必要とします。

私立中・高・大入試対策模擬試験であったり,公立高校模擬試験,センター試験対策模擬試験や大学二次試験対策模擬試験などなど,各模擬試験に合わせて過去問を分析し,予想してオリジナル問題を作成しなければなりません。

このオリジナル問題作成というところがかなりの技術と創造性を必要としますが,なかなか完全自作できる方はいないと思われます。

そんなとき,高校入試対策模擬試験の問題制作では,過去の公立高校入試問題を参考にして作成することもあるでしょう。

しかし,この「参考」ということばの捉え方を,自分の都合のよいように捉えて,言い回しや表現,雰囲気だけを各都道府県や私立校にあわせたり,数値を変えたりすればよいと思って原稿を作成される方がときどきいます。

オリジナルとは,基本的には個々の頭の中で考え,それを紙面上に起こしたものです。

他のものを写して体裁を整えることではありません。

参考にするというのは,ある内容の問題を出したいなと考えたときに,ほかではどのような小問を出していたり,どのような設定を用いていたりしているかというのを,オリジナル問題を作成するうえでの参考にするということです。

その参考にした資料は決して見ずに,すべて自分の頭から捻り出した言葉で原稿を書いていただければ,同じような問題になることもなく,オリジナルになるはずです。

参考にする過去問も複数題見れば,頭の中の引き出しも増えますし,蓄積されているはずの知識と総合して作問すれば,オリジナルの問題がで上がるはずです。

過去にどこかで見たような問題をいじっただけの問題を提供するなら,過去問をやらせれば済むことです。

そうではなく,各都道府県や学校の過去問を分析し,どのような問題が出題される可能性があるかを予想した問題を提供することが,子どもたちの入試に役立つテストとなります。

今後,模試の原稿執筆に携っていこうと思っている方は特に,参考という言葉を自分の都合のよいように捉えず,常に自分の頭で考えたことばで原稿を書く習慣をつけていただきたいと思います。

2010年4月5日月曜日

デジタル教科書協議会

「2015年にすべての小中学生がデジタル教科書を持つ」という政府目標の実現を図るために,「デジタル教科書協議会(仮称)」というのが立ち上げられたようです。

具体的な活動内容は,以下の通りです。

デジタル教科書に関する課題整理,実証実験,普及啓発,政策提言等
1) デジタル教科書の要件の検討
2) ビジネスモデル、普及方策の検討
3) 実証実験の企画・実施
4) その他課題の整理・検討・提言

詳細は次のURLをご覧ください。
http://www.yougolab.jp/mpc/d-text1004.pdf

さて,2010年,2011年と小中の新学習指導要領の実施に伴って,教材出版社は多忙な2年間を過ごしている最中だと思います。

しかし,この政府目標の2015年のデジタル教科書というのが現実のものとなった場合,次の改訂期はどのようになっていくのか,想像ができません。

コンピュータ技術の進歩の速度はすさまじく,コンピュータを使った学習の普及が世界的に日本が遅れているとはいえ,今後4年というのは,過去の4年のスピードとは比べ物にならないくらい速いと思います。

4年後,本当にデジタル教科書が実現されていたとしたら,教材出版社どのように対応していったらよいのでしょうか。

4年後に紙の教材がなくなっているとは思えませんし,学習という面においても紙の教材は必要だと思います。

しかし,時代はデジタルも併用という流れになっています。

教材編集者も,しっかりそのような流れに順応していくことは必要だと思います。

2010年4月3日土曜日

溶解度

物質ごとの溶解度を紙面等で表示する際に,理科年表のデータを用いることがあると思います。

しかし,中学校では溶解度を100gの水に溶ける物質の質量で表しているのに対し,理科年表では100gの飽和水溶液中に溶けている物質の質量で表されています。

そのため,数値を換算しなければなりません。

というわけで,エクセルを用いて計算してみました。



範囲B3~G6に記されている数値が,理科年表に掲載されている値です。

これを,範囲H3~M6に100gの水に溶ける物質の質量として換算しています。

計算式は簡単です。例えばH3には,次のような式が入っています。

  =(100/(100-B3))*B3

100g飽和水溶液中の水(溶媒)の質量を引き算で出し,その水の量を100gにしたときの比率で掛けただけです。



さて,ここで注意したいのが,これらの物質が無水物ということです。

中学校の実験で用いられている硫酸銅は,硫酸銅(Ⅱ)五水和物です。

そのため,硫酸銅を水に溶かしていくと,五水和物も一緒に溶けていくことになります。

よって,硫酸銅については,このことを踏まえて溶解度を算出し直さなければなりません。

というわけで,分子量を利用して算出してみました。



硫酸銅(Ⅱ)無水物の分子量が160,硫酸銅(Ⅱ)五水和物の分子量が250なので,無水物の値に250/160を掛ければ,五水和物の値になります。

例えば,D4のセルには =D3*250/160 の式が入ります。

ついでに,水和物の質量も出しておこうと思えば,例えばD5のセルには,=D4-D3 を入れればよいだけです。

さらに溶媒の質量も出しておこうと思えば,例えばD6のセルには,=100-D4 と入れればよいでしょう。


下の2行(五水和物・溶媒(水)の量)は余談ですが,100gの水に溶ける硫酸銅(Ⅱ)五水和物の質量を求めるには,先と同じように計算すればよいだけです。

例えば,J4のセルには,

  =(100/(100-D4))*D4

と入れるだけです。


ご興味のある方は試してみてください。

小学校教科書検定

小学校教科書検定について,もう少し記事がありましたので,紹介いたします。

先に出た内容と重複している部分もあると思います。

●朝日新聞
月の満ち欠け、芭蕉が説く?新教科書、伝統・道徳が満載
http://www.asahi.com/national/update/0402/TKY201004010520.html?ref=rss

●読売新聞
教科書検定合格取り消しを、韓国国会が決議
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100402-OYT1T00974.htm?from=rss&ref=rssad

移行措置出題状況

公立高校入試の移行措置状況の確認が終わりました。

詳細を載せることはできませんが,出題率や配点等,かなり高い割合で移行措置内容が出題されていました。


さて,全国で見た出題率は約80%の都道府県で移行措置内容が扱われていました。

分野ごとの出題率は,およそ次の通りでした。

仕 事・・・28%
イオン・・・47%
遺 伝・・・28%
 月 ・・・47%

分析の仕方によって数値は多少変わると思いますが,おおよそこのような感じであると思われます。

傾向としては,現行の指導要領に組み込みやすかったイオンと,日食という話題にしやすいテーマがあった月の内容の出題率が高かったといえます。

今年の傾向から,来年も同じように移行措置内容がたくさん出るだろうとも考えられるし,逆に,来年は落ち着いて,出題率が下がるだろうという考え方もできるかもしれません。

いずれにしても,昨年は補足程度に移行措置内容をやっていたような学校等でも,この入試の出題状況から,今年はしっかりやらなければならないな…という環境が芽生えるだろうと思われます。

小学校教科書検定

小学校教科書検定に関する記事がもう少しありましたので,ご紹介します。

●毎日新聞

社説:新教科書 分厚さ、うまく活用を
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100401k0000m070109000c.html?inb=ra

余録:脱ゆとり教科書
http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20100401k0000m070112000c.html?inb=ra

●産経新聞

小学校教科書 神話で日本のよさ学ぼう
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100401/edc1004010319000-n1.htm

2010年4月1日木曜日

小学校教科書検定

来年4月から小学校で使用される教科書の検定結果に関する報道がありました。

理科の教科書は現行の教科書よりページ数で平均37%増,平成14年度教科書と比べると約67%増とのことです。

このことについて,主要新聞社から様々な報道がされており,ネットでも取り上げられていますので,見つけられたものをピックアップしておきます。


●読売新聞
「ゆとり」決別、ページ大幅増…小学教科書検定
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100330-OYT1T00743.htm
国語教科書,新聞で読解力養うコーナーも
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100331-OYT1T00022.htm?from=rss&ref=rssad

●朝日新聞
小学校教科書、算数・理科3割増 11年春から脱ゆとり
http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY201003300345.html
教科書調査官、検定意見に強い影響力 89%がそのまま
http://www.asahi.com/national/update/0331/TKY201003300519.html?ref=rss
「竹島」、今回合格の全5社掲載 社会科教科書
http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY201003300347.html?ref=rss
教科書調査官の意見書初公開 プロセス透明化の一環
http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY201003300346.html?ref=rss

●毎日新聞
ページ4割増「脱ゆとり」対応
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100331k0000m040071000c.html?inb=ra
アイヌ文化のページ大幅増
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100331k0000m040085000c.html?inb=ra
大転換に教師不安「どこまで教えれば」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100331k0000m040112000c.html?inb=ra
小3からメディア教育
http://mainichi.jp/life/edu/news/20100331k0000e040061000c.html?inb=ra

●日経新聞
小学校教科書検定、ゆとり転換鮮明 ページ3割増
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E0E5E2E3968DE1E2E2E1E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

●産経新聞
伝統文化尊重、ページ数増で「ゆとり」決別
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100330/edc1003301707000-n1.htm
「“ゲット”って何?」「特定の宣伝になる」気になる検定意見
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100330/edc1003302021006-n1.htm
官房長官、竹島記述「正確に記述、何ら問題ない」
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100330/edc1003301840005-n1.htm
算数、理科を文系教員にも優しく
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100330/edc1003301822004-n1.htm
年越し派遣村、裁判員…最新の話題に言及
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100330/edc1003301722003-n1.htm
検定透明化へ審議概要を公開
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100330/edc1003301708002-n1.htm
神話など伝統文化増えるも、自虐史観は残る
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100330/edc1003301708001-n1.htm

2010年3月29日月曜日

富士山

東京書籍の現行教科書の2分野上に,発展「科学のとびら」で,富士山の断面の想像図が描かれています。

その図では,富士山は「富士山」「古富士火山」「小御岳火山」と3段階構造であったというように示されています。(文章では示されていませんが…)

さて,この3段階構造ですが,現在では4段階構造であると考えられています。

Wikipediaには,『東京大学地震研究所が2004年4月に行ったボーリング調査によって、小御岳の下にさらに古い山体があることが判明した。この第4の山体は「先小御岳」と名付けられた。』と記されています。

つまり,「先小御岳」「小御岳」「古富士」「新富士」の4段階構造となります。

軽く記憶の片隅にでも入れておくとよいかもしれません。

2010年3月28日日曜日

感覚神経

感覚の運動としくみのところで,刺激や命令の伝わり方を習います。

そのとき,刺激の伝わり方と中枢神経からの命令の伝わり方を図で示すことが多くあります。

その図において,感覚神経の細胞体が示されていないものをときどき見かけ,気になることが多々あります。

いっぱんに,刺激は感覚器で受け取って感覚神経によって中枢まで伝えられ,中枢からの命令が運動神経によって効果器へ伝えられます。

また,中枢においては,感覚神経と運動神経が介在神経によって仲介されています。

ざっくりと言うと,こんなところだと思います。

また,各神経(ニューロン)は,核のある細胞体とそれからのびる多数の突起(長い軸索と枝分かれした樹状突起)からできています。

刺激の伝導・伝達については高校生物で扱われますので細かいことは述べませんが,先にも述べた通り,神経の伝わり方を示す図において,感覚神経におけるニューロンの基本が守られておらず,細胞体がないものをときどき見かけるのです。

感覚神経の細胞体は背根の神経節にあり,そこから軸索が受容器側と中枢側に伸びています。

この細胞体がないと,感覚神経(ニューロン)として少々おかしい図になってしまいます。

編集・校正の際は意識していただければと思います。

惑星探査機「はやぶさ」,地球帰還に目処

啓林館の2分野下の教科書で取り上げられている,惑星探査機「はやぶさ」。

2003年5月9日に打ち上げられ,2005年11月に小惑星「イトカワ」に着地し,イトカワの破片を採取し離脱。
(破片が採取できているかどうかは帰還してみないとわからないようだが…)

その後,故障等により帰還予定が遅くなるなどのトラブルがあったが,地球帰還へ向けた軌道修正が終了し,今年6月の地球帰還に目処がたったとのプレスリリースがJAXAから発表されました。

http://www.jaxa.jp/press/2010/03/20100327_hayabusa_j.html

啓林館の教科書を使用している学校では,今年の後半に学習する「地球と宇宙」の導入では,「はやぶさ」や「イトカワ」について,より深い話ができることと思います。

新センター試験開発(朝日新聞)

asahi.comで,「新センター試験、開発へ模索 選抜機能強化めざす」という記事がありました。

『大学入試センターが2010年度から、新しい選抜試験の開発研究に着手することが分かった。入試の多様化で、今の大学入試センター試験では、受験生の学力が維持できず、選抜機能が弱まっているなどの指摘があることがきっかけ。』とのこと。

http://www.asahi.com/national/update/0327/TKY201003270421.html?ref=rss


高校全入時代と言われるなか,大学においても,大学を選ばなければ必ずどこかの大学に入れる全入時代になりました。

大学によっては,AO入試や推薦入試で入学者のほとんどを決めてしまい,学力試験で入学する学生はほんのわずかだといいます。

また,大学から見たAO入試や推薦入試の本質は学生確保であり,学力重視での選抜ではないため,入学してきた学生の学力低下が近年顕著になってきました。

それを防ぐために大学入学前にリメディアル教育などを大学側が行うなどの対策も施されています。

しかしそれでも学力低下傾向は止まらず,高校からの学校推薦の生徒を,あまりの学力不足から大学側が断るということも出てきてしまっているようです。


そんななか,asahi.comの記事では,

『試験開発部門では、高校の教育課程を生徒がどの程度理解しているのか到達度を測る「到達度試験」や、大学院での教育に必要な判断力や思考力が備わっているかをみる「適性試験」など、目的に応じた試験の開発を進める。特に到達度試験は、受験生が大学入学後、授業で戸惑うことがないように一定のレベルを維持する働きが期待されている「高大接続テスト」の事前研究の意味がある。』

と述べられています。

学力向上,または学力低下の歯止めとして,何かしらの試験というものの存在は必要だと思います。

試験のために知識を詰め込むことは意味がないという意見もありますが,学習のきっかけになればよいし,詰め込んだものがまったく今後に生きないということはまずないと思います。

受験勉強もせずに大学に入ってしまう学生が増え続けている現在,センター試験に限らず,何かしらの共通テストを受けるための勉強をする機会が,今後できることを期待します。

2010年3月23日火曜日

学習評価

学習指導要領の改訂にともない,指導要録における学習評価の検討もされています。

教材ごとの特性もありますので,すべての教材において学習評価まで検討すべきかどうかという議論はありますが,世の中の動きの一つとしてブログに記しておきます。

現在の生徒指導要録の中学理科における学習の記録は,以下の4つの観点で評価されています。

・自然事象への関心・意欲・態度
・科学的な思考
・観察・実験の技能・表現
・科自然事象についての知識・理解

これらが適切な評価規準であるかどうか,また先生方に浸透しているかどうかなどが検討されており,「審議の中間まとめ」が2月12日に公示され,3月5日まで意見が公募されていました。

(詳細は以下のURL)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000457&OBJCD=&GROUP=


上記URL中にリンクされている「児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループにおける審議の中間まとめ」のPDFに改正案について記されており,中学理科は以下の4観点となっています。

・自然事象への関心・意欲・態度
・科学的な思考・表現
・観察・実験の技能
・科自然事象についての知識・理解

変更されている場所は「表現」の位置です。
(詳細は本文をご覧ください)

意見公募も踏まえて最終決定が4月にはされるのだと思います。

評価も踏まえた教材作りを検討するにあたり,最終決定を見るだけではなく,このような審議の中間まとめも大変勉強になります。

分類学

分類学は日々進化しています。

気にしていないと,知らないうちに有力な分類体系が変わり,教科書での扱いも変わってしまっていることもあります。


中学の新学習指導要領で,種子をつくらない植物としてシダ植物とコケ植物を学習することになりましたが,藻類は扱われていません。

平成18年度以降に発展的内容が扱われるようになった中学教科書では,シダ植物・コケ植物とともに藻類も扱われていましたが,どうしてでしょうか。


生物の分類については,現在の学習指導要領では,高校の生物Ⅱで扱われています。

高校生物Ⅱではヘッケルの三界説やホイタッカーの五界説など,生物の分類にはいろいろな考えがあり,いまも修正が加わっているというようなことを学習します。

平成15年の検定本を見てみると,その段階における五界説では藻類は植物界として取り上げられていました。

しかし,その後の研究により,藻類を植物界に入れるのは不適切だということで,平成19年度の検定本では原生生物界に藻類が分類されるようになりました。

現在においても,藻類は植物界ではなく,原生生物界に分類するという説のほうが有力でしょう。

つまり,「種子をつくらない“植物”のなかま」という意味で取り扱う場合において,藻類を併記するのは不適切なのだと思います。

しかし,その五界説についても分類学的には過渡的な考え方であるとして,現在はカール・ウーズの提唱している3ドメイン説が支持されてきているようです。

いずれにしても,何が正しいというわけではなく,まだまだ変わるものだと思いますが,日本における学習においては,文部科学省の指針のもとに教科書検定が行われますので,何かしらの基準はあるのでしょう。

とりあえず,中学の教材を制作しているからといってよそ事とせず,かつては植物界に分類されていた藻類が,現在では原生生物界に分類されているという事実は認識しておいてもよいかと思います。

とはいっても,私も専門化ではないので,最新の研究はわかりません。

分類について気になった方は,より深く調べてみてください。

2010年3月19日金曜日

計算問題

理科の問題には,計算問題が出てきます。

質量パーセント濃度を求めたり,圧力を求めたり,速度を求めたり…。

いろいろな計算問題が出てきますが,その問題の条件設定をするときには,科学的信憑性も考慮したいし,校正の際も科学的信憑性を疑う必要があります。


例えば,質量パーセント濃度を求める問題では,溶かす物質の溶解度を超えていないかどうかを確認しなければなりません。

圧力を求める問題では,その物質が実際にありえる物質かどうか,密度を想定するとよいかと思います。

空気より軽くなってしまっていないか,また,重過ぎないか。できれば,鉄の密度7.87g/cm3より小さくしておきたいですね。

地震の速度を求めるのであれば,P波とS波がそれぞれ6~8km/s,3~5km/s程度になっているかどうか,チェックしておきたいです。

電力に関する問題では,電熱線に電流が流れすぎて,実際だったら電熱線が焼けきれてしまっているほどの大きな電流が流れてしまっていないかなども,疑ってみる必要があるでしょう。


また,計算問題ではありませんが,天気図を用いた問題でも,前線の移動する速度があまりに速すぎたらおかしいでしょう。

このような感じで,作問・校正の際には,科学的信憑性も疑っていきたいものです。

2010年3月17日水曜日

公立高校入試終了

忙しい日々が続いています。

忙しい中でも何とかブログの更新が滞らないようにしていきたいと思っていますが,思う以上に疲れがたまっています。


さて,本日で全国の公立高校入試が終わりました。

思った以上に各県で移行措置の内容が出題され,先生方の中にはかなり驚いている人もいるのではないでしょうか。


そんな公立高校入試ですが,愛知県ではAグループとBグループの2回,公立高校入試を受けるチャンスがあり,今年は,3月11日にAグループの学力検査が,3月15日にBグループの学力検査がそれぞれ行われました。


愛知県の公立高校入試問題の理科では,大問1と大問6で,物理・化学・生物・地学の4分野から1問ずつ問題が出されます。

3月11日に行われたAグループの入試では,大問1の(2)で移行措置内容の「遺伝」が,大問6の(1)で移行措置内容の「仕事」が扱われました。

この入試問題を見た先生方や教材制作に携わっている方の中には,3月15日のBグループの入試では,この大問1と6で移行措置内容である「イオン」と「月」が“必ず扱われる”と思った人も多いと思います。


そして,Bグループの入試が終了して問題を見てみると,案の定,「イオン」と「月」が扱われました。

これだけ分かりやすい予想も珍しいのではないでしょうか。


現在,移行措置内容の入試での扱われ方を分析していますが,なかなか面白いです。

掲載できる面白い内容があれば,また取り上げてみたいと思います。

2010年3月14日日曜日

入試とオシロスコープ

改定期…,忙しいですね。

先週はなかなか疲れました。


先週は公立高校入試ラッシュだったので,実務と並行して,簡単に移行措置の内容をチェックしていると,あっという間に時間が過ぎていきました。

土曜日は,そんな疲れを取るためだけに,ほとんど1日を費やした気がします。


さて,そうは言っても仕事があるので,現在も自宅で仕事中です。

ちょっと息抜きにブログを書いています。



以前,モノコードとオシロスコープの関係をブログで話しました。

きれいな波長をコンピュータで示すには,モノコードより音叉のほうがよいという話です。


今年の入試を見ていると,気づいた限りでは,熊本と鹿児島でモノコードとオシロスコープを用いた問題が出ていました。

実際のところ,どうなのでしょうか。

金属線でできたモノコードが手元にないので,正確な実験はできません。

しかし少なくとも,ゴムで作るような簡易モノコードではきれいな波長はできないと思っています。

実際のところはどうなのでしょうか。気になります。

2010年3月8日月曜日

高校入試と再結晶

再結晶の用語の定義について,以前取り上げました。

さて,そんな再結晶という用語が,実際の高校入試ではどのように取り扱われているのでしょうか。


とりあえず,今年の鳥取の入試問題で再結晶の用語を答えさせる問題が出されました。


設問は次の通りです。

『実験のように,物質をいったん水にとかし,溶液の温度を下げたり,溶媒を蒸発させたりして物質をとり出す操作を何というか,答えなさい。』


というわけで,蒸発も再結晶に含めており,教科書に忠実な設問でした。

公立高校入試は地域で採択されている教科書に忠実であるべきなので,このようになるのでしょう。

震度階級関連解説表

地震の震度が,階級ごとにどれくらいであるかを体感や被害の状況などで解説したものに「震度階級関連解説表」があります。

この震度階級関連解説表は,平成8年に作成され,その後しばらく改訂されていなかったのですが,

『この表は、新しい事例や耐震性の向上等により、実状と合わなくなった場合には内容を変更することとしています。』

ということで,平成21年3月に改訂されていました。

震度階級と被害の関係に大きな変更はないようですが,次のような修正を行ったとのことです。

『○震度6強と震度7は強い揺れであり、人間の感覚では区別が困難なため、
 人の体感・行動の事項では、震度6強と震度7の項を統合して記載。
○木造建物や鉄筋コンクリート造建物の状況は、耐震性の高低に応じて記載。
 また、実際よりも大きな被害をイメージする用語が用いられていたことか
 ら、誤解を与えないよう、実際の現象を適切に表す表現に変更。
○これまでの人の体感等に加え、社会的関心の高いライフライン・インフラ等、
 超高層ビル等の大規模構造物への影響について記載。
○被害などの数量や程度を表す副詞・形容詞について、「かなり」、「多い」
 など、人によりどちらが多いと感じるか異なる用語を避け、一般の理解が
 共通している用語を使用。この場合においても、本資料で用いる際の一応
 の目安としての意味を定義して使用。
○地震による被害は、地震動の振幅、周期及び継続時間の違い、対象となる
 建物や構造物の耐震性等の違い、建物が建っている地盤の状況により
 異なることを明記。
○今後5年程度で定期的に内容の点検を行う旨を明記。』

詳細は,以下をご確認ください。

http://www.blogger.com/post-create.g?blogID=6012058468384321677

中生代

新生代第四紀が約260万年前からに変更という話題は以前しました。

しかし,新生代ばかりでなく,中学校の教科書では,中生代が2億4500万年前からという表記になっていることに,ふと気がつきました。

記憶がさだかではないのですが,高校の地学の教科書が改訂される少し前くらいに,中生代の年代が変わったはずです。

実際,平成18年3月に検定された高校地学の教科書(啓林館・数研出版・実教出版)では,2億5100万年前(または2億5000万年前)となっています。

しかし,平成14年3月に検定された教科書(東京書籍・第一学習社)では,2億4500万年前となっています。

おそらく,この間に変更があったのでしょう。


ちなみに,ICS(International Commission on Stratigraphy)のINTERNATIONAL STRATIGRAPHIC CHARTでも,2億5100万年前となっています。

2009年度版の理科年表では,2億5100万年前と2億4500万年前の間を三畳紀の「前期」としていました。

新しい中学校の教科書では2億5100万年前という表記になると思います。

http://www.stratigraphy.org/upload/ISChart2009.pdf

Wordで原稿執筆04:日本語と英数字の間隔

Wordで原稿執筆の第4回です。

今回は日本語と英数字の間隔についてです。

InDesign等のDTPで実際に組み付けるときに,日本語と英数字の間隔をどうするかは,各編集者やオペレーターの好みがあるでしょう。

しかし教材系で写研を経験してきた人であれば,比較的日本語と英数字の間のアキは0%であるものを,意識するしないに関わらず,美しい組付けだと思うような気がなんとなくします。

ただし,このときの英数字とはアルファベットなら2文字以上,数字なら2桁以上の場合を示しています。

1文字や1桁の場合は全角取りするので,この限りではありません。


日本語と英数字のアキが0%のとき,原稿用紙に手書きで原稿を書いていたときは,1マスに英数字を2文字書いていたと思います。

しかし,Wordの標準設定では,この原稿用紙のときと同じ文字数での原稿作成ができません。

なぜなら,日本語と英数字の間隔が,自動的に少し空く設定になっているからです。

そこで,その設定を外してしまいましょう。


「書式」メニューの「段落」を選択し,「体裁」タブを開きます。

すると,「文字幅と間隔」項目の中に,

 日本語と英字の間隔を自動調整する(E)
 日本語と数字の間隔を自動調整する(S)

の2つにチェックが入っていると思います。

このチェックを外します。



これで,日本語と英数字の間の空きがなくなりました。


どのように変わるかというと,次のようになります。

ちなみにこの文字列は,InDesignの合成フォント編集で用いられているサンプルです。


こちらがチェックの入った場合



こちらがチェックを取った場合



いかがでしょうか。だいぶ文字数が変わると思いませんか。