さて,昨日の話の続きとして,PDFでのオフ入稿の話題を書いてみようと思う。
私の感覚からすると,だいたい8〜9年くらい前から,データ校了後のオフ入のデータ形式として,印刷用PDFが少しずつ用いられるようになってきたような気がする。
それより前は,QuarkXPressやInDesignでDTPを行った場合は,ネイティブデータでの入稿が主流だった。
もちろん,今でもネイティブデータでの入稿はあるが,現状で私が仕事をしている中では,だいたい9割以上はPDF入稿になっている。
印刷用PDFとしてPDF/X-1aやPDF/X-4が広まり,印刷会社でもPDFによる入稿が安定してきたためであるが,この入稿時のPDFにおいても,印刷会社によって設定が異なるので,なかなか大変である。
印刷会社が「なんでも大丈夫ですよ。」といえば,たいがいどんなPDFを用意しても印刷会社のほうで何とかしてくれるが,融通のきかない(というか安定した設定でやることを重視する)印刷会社のほうが経験上多いので,入稿前にしっかりとPDFプリセットについてはやりとりをしておきたい。
また,DTPのオペレータさんの中にも,経験上でRIP処理エラーが多く起こったプリセットは,受け入れがたい場合も多いようである。
しかし,印刷会社にとっても,最もその印刷会社のDDCPで安定してRIP処理できるプリセットを検討した結果であるので,譲れないというのも最もである。
とはいっても,もしプロダクションの編集者やDTP会社のオペレータさんが,版元の編集者などから「PDFであれば何でもいいですよ」と言われた場合は,印刷会社から直接言われたわけではないので,念のためPDFプリセットを聞いておいたほうがよいと思う。
また,AdobeのAcrobatを使ってPDFを書き出すのか,それともInDesignから直接書き出すのかといったところでの問題もある。
過去にいろいろなトラブルを経験した人ほど,Acrobatの安定性を実感しているのでAcrobatでPDFを書き出したがるが,現状の私の仕事では,ほぼ100%がInDesignから直接書き出したものを印刷会社から要求されている。
いずれにしても印刷会社がRIP処理するので,プロダクションやオペレータの立場としては多少不安であっても,そこは印刷会社に従うしかない。
なお,細かいプリセットはあまりこだわらないが,トンボの有無とドブの幅については,やはり印刷会社の機械に合わないと,基本的に突き返されることが経験上多かった。
経験値としては,ドブは3mmのところと4mmのところがあり,トンボは必要なところと不要なところがあった。
これだけでも,4通りの組み合わせになるので,ちゃんと事前に言ってくれないと,最大3回やり直しの必要性が発生する。実に面倒だ。
そのほか,ときどき単ページPDFでの入稿を要求してくるところもある。最近はPCのスペックも上がり,PDFの書き出しが速くなったからよいものの,PCスペックが低いころは書き出しにも結構な時間がかかったので,連PDFを入稿したあとに単ページにしてと言われると,同じ以上の時間を費やすのかと,少々辟易したものだ。
いずれにしても,印刷会社と出版社・プロダクション・DTP会社の間で,しっかりとPDF書き出し設定のすり合わせは,事前にしておきたいものである。