2013年9月7日土曜日

データ校了〜オフ了における用語の違い

広く書籍の制作をしていると,いろいろと工程ごとに業界用語がある。

しかし,この業界用語は,どんな出版社や印刷会社,編集プロダクションなどでも同じかというと,意外に…というかかなり違う。

ときどき出版社の編集者に,「なんでこんなことも知らないんだ。業界標準だろ。」ということを自信満々に言う人もいるが,そんな人に限って,そこの出版社でしか通じない用語を使っていたりする。

校正記号一つとっても,とりあえず基準としてもよさそうなものにJIS規格の印刷校正記号というものがあるが,私も印刷出版業界に携わるようになり15年以上になるが,JIS規格ではない校正記号のほうが伝わるというものはときどきあった。

さて,そうはいっても最近は,原稿執筆からデータ校了あたりまでは,比較的用語の共通性も大きく,教材関係以外の編集者や印刷会社の方などと話をしていても,だいたい話は通じる場面が多い。

しかし,データ校了(といっても,データ校了がどこを指すのかが違うケースもあるのだが)以降においては,用語の統一性の無さはかなり大きい印象だ。

とりあえず,DTP上での校了(RIP処理前の校了)をデータ校了ということにして,話を進めたいと思う。

とはいっても,「印刷する会社がDTPを行っている場合」と印刷する会社以外の「DTP専門会社やプロダクションなどがDTPを行った場合」でも使用している言葉が異なるケースが多いので,これも結構厄介だ。
そのため,DTP専門会社やプロダクションから印刷会社にデータを入稿する場合は,その工程を「オフ入」といったり「データ入稿」といったりする。もちろん,それ以外の呼び方もあるのだろうが,印刷する会社がDTPを行っている場合は,単純に「入稿」といったり「RIP入稿」といったり,さらに様々だ。
(※印刷会社でも,DTPだけを行う場合もあるので,ここでは「印刷する会社」と記した)

いずれにしても,行う作業としては,InDesignなどのDTPネイティブデータ(生データといったりもする)や印刷用PDF(PDF/X-4など)などのベクターデータを,まずはRIP処理してラスターデータにラスタライズするとともに面付け作業を印刷会社が行う。これを「オフ入またはオフ入稿(「オフセット印刷のための入稿」からの短縮だと思う)」,「データ入稿」,単に「入稿」,そして「RIP入稿」などといったりするわけである。
(ベクターデータ,ラスターデータ,RIP,ラスタライズなどは,別途調べてください。)

いずれにしても,この段階では刷版はまだ出ておらず,刷版を出す前にちゃんとラスタライズされ,面付けがちゃんとできているかを確認しなければならない。
そこで,フィルム時代でいうところの「青焼き」のような出力紙でチェックしておきたい。このフィルムにおける「青焼き」にあたるものを,CTPでは何というかが,これまたかなり千差万別である。

例えば,青くないので,「白焼き」や「黒焼き」というところもあったし,インクジェットプリンタで出力するので「インクジェット」というところもあった。
しかし,レーザプリンタで出力するところもあり,そいうところでは「レーザプリント」というのかどうかは知らないが,そういうところもあるかもしれない。
さらに,印刷会社からみれば校正紙であるので,普通に「プルーフ」というところもある。
またさらには,そのプルーフを出力する装置をDDCPとよんでいる印刷会社などは,プルーフ自体を「DDCP」とよんでいたりする。
さらには,版下入稿〜フィルム時代の色校正とはだいぶ校正する観点は変わってしまい,ほとんど色校正ができないような状態なのに「色校正」というところもある。
とはいっても,しっかりとカラーマネージメントができている印刷会社がDTPからオフ了まで一貫して行っているのであれば「色校正」といってしまってもよいのかもしれないが,私の普段の仕事上では,色校正はほとんどできない。なぜなら,プルーフの色と実際の色はまったく違うから…。
しょうがないのでそんなときは,1折くらいのみ刷版を先に出してもらい,刷り出しをチェックして,プルーフとの比較でだいたいの刷り上がりを想像するしかない。
(私はこれを本機校正というが,もしここで色がおかしかったら,データ上の色を再調整しなければならないので,かなり大変なのである)

おっと,ここで「刷り出し」という用語を使ったが,「刷り取り」というところもあるし,ほかにもあるかもしれない。

さて,とりあえずDDCPから出る校正紙を「プルーフ」と呼ぶことにして,話を進める。

このプルーフのチェックをするときに最終ゲラと突き合わせをするのだが,そのゲラを何と呼ぶか。(「ゲラ」自体も,現在はゲラやゲラ刷りといってよいかどうかは正直疑問があるが,ゲラという言葉が今でも最も広く使われている印象なので,とりあえずゲラと呼んでおくことにする。)

「最終ゲラ」「(データ)校了ゲラ」「カンプ」「出力紙」「校了紙(責了紙)」…。
ほかにもあると思うが,ちょっと考えるだけでいくつもある。

私は「カンプ」とよぶので「カンプ」で話を続けるが,「プルーフ」と「カンプ」を突き合わせて,正しくRIP処理されてベクターデータがラスターデータにラスタライズされているかどうかと,面付けが正しくされているかを主にチェックする。

そして問題なければ「オフ了(オフセット校了からの短縮だと思う)」となるが,ここではじめてラスターデータとなったので「データ校了」という人もいれば,ここがすべてにおいての校了なので「校了」といったり,RIP処理の校了で「RIP校了」といったりするところもある。もちろん,ほかにもあるだろう。

そして,刷版が出力されて印刷され,製本前に「刷り出し」や「刷り取り」と言われるサンプルが届いて(印刷会社内でのチェックで終えることもあるが),印刷の品質のチェックをして,だいたい編集者の制作上の仕事は終わる。

以上,ざっくりと書いたので,正確にいえば間違っていると印刷会社の人には指摘されそうな部分もあると思うが,何となく業界標準がないということはまとめられたような気がする。


本当は,ここにCTP以前の話題も加えられたらなおよいのだが,おそらくひっちゃかめっちゃかになりそうな気がするので,今回はやめておいた。

いずれにしても,プロダクションなどの編集者で,版元によって用語が違いすぎて困っている人,または出版社の若手編集者などで,プロダクションとの意思疎通がうまくいかずこまっている人などの参考にでもなれば幸いである。

また,私の言葉不足で内容が理解できなかった人などで興味が出た方は,個々に調べてみていただければと思う。