2010年12月5日日曜日

設定の重要性

理科の教材を制作しているのならば,問題等の設定も,科学的におかしくないかどうかということを意識するのが基本だと思います。

圧力や密度,速度などの計算問題で,計算しやすい数値を設定したときに,計算上は正しくても,実際にありえない数値を用いるのは,理科教材としてはどうかと思います。

意外と“その程度のこと”くらいにしか思っていない人がいることに時々げんなりするのですが,そこはこだわって欲しいものです。

たとえば,圧力の問題であれば,底面積の大きさと質量の大きさの関係から,その物体がありえるかどうか。

ときどきあるのが,実際は少しの風で倒れてしまいそうなくらい軽い物体になっていたり,金よりも密度が大きい物体になっていたりとか。

現実味のある設定にしてほしいものですし,その設定と図をある程度正確に描いてほしいものです。


密度に関する計算問題でも同様ですね。


また,水槽に水を入れる設定であれば,水の密度も意識して条件設定してほしいものです。

水槽の底面積を大きく設定しすぎて,質量から換算すると,水深がすさまじく浅かったり,すさまじく深かったりと,いくら計算しやすくなっていても,非現実的であれば,それは理科教材としてどうかと思います。


また,速さを計算させる問題で,人の走る速さがウサイン・ボルトより速かったり,自動車の速さが法廷速度より極端に速かったり,以前も書きましたが,地震波の速さを求めるさせる問題で,実際のP波やS波の速さより速すぎたりと,科学的なことをまったく考慮していない問題をときどき見かけます。


執筆者(作問者),編集者,校正者…,理科教材制作において内容に携わる方は,必ず意識して欲しい観点だと,個人的には思っています。