2010年1月17日日曜日

高校と中学

忙しい日々が続いております。

先週は,毎日遅くまで残業があり,ひどい日は帰宅が午前様のときもありました。

現職になってからの仕事による午前様は初めてかもしれません。
(出張や外出,遅くまで呑んでの午前様はときどきありますが…。)

今年,来年と改訂作業で追われることとなり,どうなるか今から少々不安ですね。


さて,今年もセンター試験が始まりました。

最近は中学以下の仕事ばかりでしたので,ふと高校の仕事を考えたときに,先週のブログで書いた「速さ」と「速度」の表記について少々疑問が上がりました。

そういえば,「速さ」はスカラー量を表すときに使用する用語で,「速度」はベクトル量を表すときに使用する用語だったなと…。

高校の仕事をしているときは気をつけているものが,中学以下の仕事をしているときには意識から外れてしまうことがある典型です。


似たようなことが,仕事をしている中で出会う問い合わせなどにも見られます。

例えば,「細胞質」と「細胞質基質」の用語。

「細胞質」は核以外の核を取り巻くもの,つまり,液胞や葉緑体,また細胞膜も細胞質です。

しかし,この細胞質を細胞質基質(細胞質から細胞小器官を取り除いた部分)と同意と誤解して理解されている方も意外と多くいるようです。

例えば,「植物と動物の共通する部分は」との問いに対し,「核・細胞膜・細胞質」と答えてしまうようにです。


もし生徒がこのような解答をしてしまった場合,まったく間違いとも言い切れないので,またたちが悪いのですが,そもそもそのような解答を生徒にされる可能性のある問題というのは,よい問題とは言えないでしょう。


ほかにも,身体の反射の例に見られます。

中学では指などが熱いものに触れたときなどに起こる屈筋反射,つまり脊髄反射とその反射弓を扱いますが,それ以外の反射はほとんど触れません。

つまり,脊髄反射の反射弓のみを例としてあげて,人体の反射とはこういうものですよと示します。


しかし,反射には瞳眼反射などの中脳反射や,唾液分泌の延髄反射などもありますので,ひとくくりでまとめること自体に無理があります。

でも中学までの知識で教えられている方の中には,すべての反射は同じ反射弓だと理解しまっている方もいるようです。


これは,教材制作においても大事なことです。

いくら中学の教材とはいえ,扱っていることは科学的内容ですので間違いがあってはなりません。


教材制作の際には,学習学年を超えた知識をもって制作にあたらなければなりません。