前回の光の屈折に関連する内容です。
光が水中から水面に向かって進むとき,入射角がある角度以上になると,その光は空気中に出ない状態になります。
これを全反射といいます。
中学ではこの程度の内容として習いますが,この全反射になる入射角にももちろん規則性があります。
それが臨界角です。
臨界角とは,屈折角がちょうど90度になるときの入射角のことをいます。
入射角が臨界角以上になると屈折光はなくなり,光はすべて反射しますので,これを全反射といいます。
では,この臨界角は何度でしょうか。
臨界角 i と,水に対する空気の相対屈折率を n12 とすると,i と n12 の間には,次の関係が成り立ちます。
sin i = n12 = n2 / n1
n1 =1.3330(水の屈折率),n2 =1.0003(空気の屈折率)なので,上の式は
sin i = 0.75041
これを解くと,
i ≒ 49°
となります。
つまり,入射角がおよそ49度以上になると,全反射することになります。
これを踏まえて中学理科教材でも作図する必要がありますが,いろいろと教材を見ていると,入射角が49度未満で全反射している図をときどきみかけます。
そのようなわけで,中学の教材といえども全反射の図を制作する際は,入射角が49度以上になるようにして,科学的に正しい図にするようにしたいものです。