2010年6月20日日曜日

電子出版に関するイベント

6月19日(土)に,神田ベルサールで行われた電子出版に関するイベント,DTP Booster 014 に参加してきました。

DTP Booster 014(Tokyo/100619)

講師陣は以下の方々という事前情報のなか,これは必ず行かなければ,ということで行ってきました。

森 裕司(InDesignの勉強部屋)
境 祐司(デザインの未来)
田代 真人『電子出版元年』著者
小木昌樹(毎日コミュニケーションズ『+DESIGNING』編集長)
黒須信宏(クロスデザイン)毎日新聞社のデジタル雑誌「photo-j」開発
Joel Ingulsrud(WoodWing)
岩本 崇(アドビ システムズ):Digital Publishing Platform
プロフィールド(「ProBridgeDesigner-i」)

12時半からスタートし,終わったのは18時40分頃という長丁場でしたが,かなり充実した内容で,大満足でした。

いままでもWEB上での教材やCD-ROM・DVD教材など,すでに電子教材は多々作成されてきましたが,これからはもっと真剣に電子書籍教材を考える時代が来たのだと感じました。



さて,電子書籍・電子出版をこれから考えていかなければならない中で,教材編集者として,何を知っておくべきかということですが,まずは,何ができるか,何をしておくかということを考えるべきかと思いました。


教材編集者の中には,デジタルに弱い人が比較的多いということをときどき感じます。

しかし,そういう人たちでも,これから電子書籍の企画を考えていくためには,「iPadで動作する電子書籍を制作するためには,最低限知っておきたいという知識がいろいろあるんだ」ということだけでも理解しておくことは重要だと考えられます。


黒須氏が言っていましたが,印刷物を制作するには印刷の知識が必要なのと同様,電子書籍をつくるのであれば電子書籍の知識が必要であるということは同意見です。

また,印刷物用データを利用して電子書籍にもっていくためには,それに適した状態での制作をしていかないと,時間と労力だけが必要以上にかかってくることも実感できます。

やはり,今後は中間データ(汎用データ)を考えることが重要だと思われますが,その一歩も二歩も手前の作業として,ファイル名やスタイル名などの管理くらいは,すべて欧文で管理すべきではないかと想像しました。

WEBで展開しているもののバックグラウンドのソースはすべて欧文英数の1バイト文字です。

現在の和文組版では,ファイル名もリンクファイル名もスタイル名も,和文の2バイト文字が多々使用されています。

これをWEBにもっていくことを基本とする電子書籍用フォーマットに書き出す際に和文が駄目だということは必然であり,これは簡単に改善できる話でしょう。

すぐに電子書籍をつくるというわけではなくとも,たとえば,いつかはInDesignで組んだデータをEPUB等に書き出していこうと思ったのなら,ファイル名・スタイル名などの名称管理をすべて欧文1バイトフォントにしておくということくらいは可能かと思います。

(結局はイチから制作しなおさなければならないのかもしれませんが…)

また,手作業で制作している部分のうち,段落スタイルや文字スタイルでの設定ができるところは,必ずスタイルを適用するということも簡単にできることでしょう。

(いまでもInDesignの校了データを見ると,努力と根性で制作したあとが見て取れるものがあり,そういうものはデータのコンバートには不向きだと思われます。)

しかし,それを行うオペレーターが,どうしてそのような必要性があるかという理解も必要不可欠ではないかと考えられます。

InDesignはただのDTPソフトではなく,スクリプト等でいろいろとできるソフトウエアであり,WEBや電子書籍へのデータコンバートも可能なソフトウエアであるということを,まずは皆が実感し,それを理解し,スキルアップしていくことが必要ではないかと思われます。

特に,教材制作に携わっている方で,このようなことまでしっかりと意識されているに方は,かなり偏りがあるように思われます。


それは,教材制作に携わっている方々にとってのInDesignとは,写研やQuarkXPressなどの代わりにInDesignを使用しているという場面が多いからだと思われます。

しかし,現在のCSファミリーは,DTPだけができるソフトウエアではありません。

それを踏まえて,先の展開を見越したInDesignの利用をしていき,将来の紙媒体のデータから電子書籍媒体へのコンバートや,電子書籍制作をスムーズに進められるようにしていくことができるのでないかと考えられます。

編集者がどこまで知っておくべきかというのは何ともいえませんが,知らないより知っておいたほうがよいということは間違いないと思います。

編集者だからといって書籍制作の仕組みを知らなくてもよいという時代は,もうすぐ終わるのかもしれません。