2010年6月22日火曜日

恒温動物と変温動物

まわりの温度の変化にともなって,体温が変化する動物を変温動物といいます。

対して,まわりの温度が変化しても,体温が変化せず,体温を一定に保つことができる動物を恒温動物といいます。

では,「まわりの温度が変化しても,体温を一定に保つことができる」動物を恒温動物というならば,「まわりの温度が変化すると,体温を一定に保つことができない」動物を変温動物といってよいのでしょうか。


「恒温動物は,体温を一定に保つことが“できる”」は,その通りのことなので,問題ないように感じます。

しかし,「変温動物は,体温を一定に保つことが“できない”」は,表現に違和感を若干覚えます。

エネルギー消費の面から考えると,まわりの温度の変化によって体温が変化するほうが,無駄なエネルギーを消費する必要もなく,効率的です。

(恒温動物は体温を一定に保つために,多くのエネルギーを消費します)

そう考えると,“できない”という恒温動物よりも劣っているというイメージをもってしまうような表現を使うことに,少々抵抗を感じます。

確かに,進化の過程から考えると,鳥類や哺乳類などの恒温動物のほうが,魚類や両生類,爬虫類などの変温動物よりも高等な動物だと思えます。

しかし,地球環境の変化や進化の過程の中で,たまたま体温を一定に保つ機能をもった動物のほうが繁栄しやすかっただけで,もともと体温を一定に保つ機能をもつ必要性のなかった動物自体が劣っているわけではないように感じます。

個人的な感覚だけの話かもしれませんが,文で示すとすれば,「変温動物は,自力で体温を一定に保つ機能をもっていない」くらいであれば,違和感が少ない気もします。

ただし,「自力で体温を一定に保つ機能をもっていない動物を変温動物という」というと,ちょっと違う気もします。

どちらも同じだといわれる方もいるかと思いますが,個人的にはまったく違う意味として受け取れます。

みなさんはいかがでしょうか。


さて,気になったのでネットでいろいろと調べて見ると,中学校の教科書で扱っているような知識だけでは,かなり危ういということを感じました。

中学では魚類・両生類・爬虫類は変温動物,鳥類・哺乳類は恒温動物と学習します。

しかし実際はもっと複雑なようです。

哺乳類や鳥類にも変温性のものはいるし,魚類・両生類・爬虫類にも恒温性とよべるものもいるようです。

また,Wikipedeiaによると,

『恒温が「恒に体温を一定に保つ」ことと考えるなら、そのような動物は発見されていない。「積極的な体熱産生と放散を伴って能動的にある範囲に体温を保つ」こととするならば、動物では様々な分類群に分布する(珍しくもない)生理特性である。例えばウミガメ,ネズミザメ類やマグロ類にはほぼ一定の体温を保ち、10℃近い冷水の中でも活発に活動するものがある。例としてはクロマグロで35℃,アカウミガメで23℃付近とされている。特にネズミザメ類はほ乳類や鳥類と同様、属するほぼ全種が恒温性を持つ。』

とのことです。

ウミガメやマグロなどは,問題制作等で使用しやすい動物ですので,気をつける必要がありそうです。


教科書で扱われている内容というのは,事実としては古い場合もありますし,研究によって新たな発見がされたことで事実が変わっていることもあります。

普段から意識して,気になったことはすぐに調べる習慣の必要性を改めて感じました。