2009年10月12日月曜日

生物の図版

今年のノーベル化学賞に,リボソームの立体構造と機能を解明し,抗生物質の開発を大きく前進させたとうことで,イギリスのベンカトラマン・ラマクリシュナン博士(57),アメリカのトーマス・スタイツ博士(69)、イスラエルのアダ・ヨナット博士(70)の3氏に贈ると発表されました。


さて,この記事を見ていてふと思ったのは,生物の図版をどこまで正確に,また詳細に描くかということです。

リボソームに限らず,細胞の電子顕微鏡像の図版を起こす際に,どうしても教科書や参考書などの図を参照しながら,オリジナルで起こします。

本当はオリジナルの電子顕微鏡像を見ながら描くべきなのかもしれませんが,現実的にはほぼ不可能です。

というわけで,教科書や参考書を参照せざるを得ないわけですが,このときに知識不足で間違った図に仕上がったまま,気づかずに校了ということも少なくありません。

特に,中学理科の教材を見ていると,中学までの知識しかない人が制作しているせいか,高校までの仕事をしていた人からみるとおかしいと思える図をちらほらみかけます。

まあ,同じことが大学以上の専門家の方々から見れば,高校教材にそのようなことがあるのかもしれませんが。

いずれにしましても,図を起こす際は,それ以上の知識をもってチェックする必要があるかと思います。

中学の図版であれば高校の教科書を参考するだけでも,中学の教科書だけをみてチェックするよりは多少でも正しい図に仕上がるかと思います。

使っている生徒や先生がそのときは間違いに気づかない可能性があっても,将来の子どもたちが間違って覚えてしまわないように,少しでも正確なものを提供するのが教材制作に携わる私たちの義務かもしれません。