ある塾が,ライバル塾の模試の問題を盗用したとのニュースが流れました。
模試制作というのは,かなりのエネルギーと技術を必要とします。
私立中・高・大入試対策模擬試験であったり,公立高校模擬試験,センター試験対策模擬試験や大学二次試験対策模擬試験などなど,各模擬試験に合わせて過去問を分析し,予想してオリジナル問題を作成しなければなりません。
このオリジナル問題作成というところがかなりの技術と創造性を必要としますが,なかなか完全自作できる方はいないと思われます。
そんなとき,高校入試対策模擬試験の問題制作では,過去の公立高校入試問題を参考にして作成することもあるでしょう。
しかし,この「参考」ということばの捉え方を,自分の都合のよいように捉えて,言い回しや表現,雰囲気だけを各都道府県や私立校にあわせたり,数値を変えたりすればよいと思って原稿を作成される方がときどきいます。
オリジナルとは,基本的には個々の頭の中で考え,それを紙面上に起こしたものです。
他のものを写して体裁を整えることではありません。
参考にするというのは,ある内容の問題を出したいなと考えたときに,ほかではどのような小問を出していたり,どのような設定を用いていたりしているかというのを,オリジナル問題を作成するうえでの参考にするということです。
その参考にした資料は決して見ずに,すべて自分の頭から捻り出した言葉で原稿を書いていただければ,同じような問題になることもなく,オリジナルになるはずです。
参考にする過去問も複数題見れば,頭の中の引き出しも増えますし,蓄積されているはずの知識と総合して作問すれば,オリジナルの問題がで上がるはずです。
過去にどこかで見たような問題をいじっただけの問題を提供するなら,過去問をやらせれば済むことです。
そうではなく,各都道府県や学校の過去問を分析し,どのような問題が出題される可能性があるかを予想した問題を提供することが,子どもたちの入試に役立つテストとなります。
今後,模試の原稿執筆に携っていこうと思っている方は特に,参考という言葉を自分の都合のよいように捉えず,常に自分の頭で考えたことばで原稿を書く習慣をつけていただきたいと思います。