文化庁から,常用漢字に追加される漢字の新案が発表されました。
6月の文化審議会で文部科学省に答申されたあと,早ければ11月にも内閣告示され,一般に使用されることになるようです。
さて,そうなると,新学習指導要領に向けて改定している教材等においても,使用する漢字をどうするかということを考えなくてはなりません。
とりあえず,今回発表された追加196字から,理科および教材に関係しそうなものをピックアップしてみました。
●嵐…あまり使用していませんが,地学の内容で使用することもありそうです。
●崖…ルビを振って使用していることもありますが,今後はその必要がなくなります。
●鎌…「鎌形赤血球」を漢字表記することができるようになります。
●桁…ルビを振って使用していることもありますが,今後はその必要がなくなります。
●鍵…「かぎ層」としていたものを「鍵層」と漢字にすることができます。
●勾…「こう配」としていたものを「勾配」と漢字にすることができます。
●頃…一般的にはよく使っていますが,教材では開いていました。常用漢字になっても開いておいたほうが読みやすい気もします。
●柵…「柵上組織」の「柵」を開く必要がなくなります。
●餌…個人的には,漢字にしたいという衝動を抑えて開いていたこともありますが,漢字が使えるようになります。
●腎…「腎臓」の「腎」を漢字にすることができるようになります。
●脊・椎…「セキツイ動物」としていたものを「脊椎動物」と漢字にすることができます。
●唾・腺…「だ液せん」としていたものが,「唾液腺」となります。
●堆…常用外でも「堆積」と漢字にしていることが多いですが,これからは安心して漢字表記できます。
●貼…「のりではる」というときの「はる」は,「張る」が現在は常用表記です。とても違和感がありましたが,これからは「貼る」と表記することができるようになります。
●瞳…「ひとみ」を「瞳」と漢字にすることができます。「どう孔」も「瞳孔」にでき,意味をとらえやすくなります。
●虹…「にじ」コラム等でときどき使用していますが,安心して漢字にできます。しかし,「にじ」の読み方しか示されていなかったので「虹彩」は「こう彩」または「こうさい」のままでしょうか。とはいっても,ルビをふって閉じることになる気がします。
●斑…「はん状組織」は「はんれい岩」が,「斑状組織」「斑れい岩」となります。
●膝・蓋…「しつがいけん反射」が「膝蓋けん反射」となります。残念ながら「腱」は常用外のままです。とはいっても,教材では「膝蓋腱反射」となるでしょう。
●肘…反射の内容で,ときどき「ひじ」と使用してたところを,漢字にすることができます。しかし,違和感がすごくあります。使い慣れていないせいでしょうか。
●哺…「ほ乳類」が「哺乳類」と漢字にできます,しかし,「ホニュウ類」とカタカナ表記していることも多く,漢字表記にすることに違和感があります。
●頬…「ほおの内側の細胞」と使っていたものが,漢字にできます。しかし,これも違和感を覚えます。
●冥…「冥王星」の「めい王星」としていたものを漢字表記にできます。
これら以外の追加案の漢字にも,理科教材で使用されることのあるものはあると思います。
意識して動向を見ておく必要がありそうです。