2010年3月23日火曜日

分類学

分類学は日々進化しています。

気にしていないと,知らないうちに有力な分類体系が変わり,教科書での扱いも変わってしまっていることもあります。


中学の新学習指導要領で,種子をつくらない植物としてシダ植物とコケ植物を学習することになりましたが,藻類は扱われていません。

平成18年度以降に発展的内容が扱われるようになった中学教科書では,シダ植物・コケ植物とともに藻類も扱われていましたが,どうしてでしょうか。


生物の分類については,現在の学習指導要領では,高校の生物Ⅱで扱われています。

高校生物Ⅱではヘッケルの三界説やホイタッカーの五界説など,生物の分類にはいろいろな考えがあり,いまも修正が加わっているというようなことを学習します。

平成15年の検定本を見てみると,その段階における五界説では藻類は植物界として取り上げられていました。

しかし,その後の研究により,藻類を植物界に入れるのは不適切だということで,平成19年度の検定本では原生生物界に藻類が分類されるようになりました。

現在においても,藻類は植物界ではなく,原生生物界に分類するという説のほうが有力でしょう。

つまり,「種子をつくらない“植物”のなかま」という意味で取り扱う場合において,藻類を併記するのは不適切なのだと思います。

しかし,その五界説についても分類学的には過渡的な考え方であるとして,現在はカール・ウーズの提唱している3ドメイン説が支持されてきているようです。

いずれにしても,何が正しいというわけではなく,まだまだ変わるものだと思いますが,日本における学習においては,文部科学省の指針のもとに教科書検定が行われますので,何かしらの基準はあるのでしょう。

とりあえず,中学の教材を制作しているからといってよそ事とせず,かつては植物界に分類されていた藻類が,現在では原生生物界に分類されているという事実は認識しておいてもよいかと思います。

とはいっても,私も専門化ではないので,最新の研究はわかりません。

分類について気になった方は,より深く調べてみてください。