2009年9月29日火曜日

生物写真

今日は軽めの話題です。


最近,スルメイカが安いですね。
関東では,1杯100円くらいから150円くらいで購入できます。

スルメイカは年中とれるようですが,旬としてはまさしく今なのでしょう。

まあ,海に近いところではもっと安く鮮度がよいのでしょうが,とりあえず旬ということもあり,関東のスーパーで買っても鮮度のよいなものが手に入ります。


また,秋の魚介と言えばサンマですね。
サンマもこの季節は1匹100円以下で購入できます。


というわけで,先週末は土曜日にスルメイカの刺身とサンマの刺身,サンマのなめろうをつくって夫婦で晩酌。ついでに日曜日は,アジのなめろうとサバの味噌煮をつくり,秋の魚介を楽しみました。



前置きはさておき,本題です。

平成22年度の移行措置により,中学2年生で無脊椎動物が扱われるようになります。

その無脊椎動物の中で軟体動物が扱われることになり,代表例としてイカのからだの構造が扱われると予想されます。

このイカのからだの構造ですが,いままさにスルメイカのシーズンですから,写真を撮っておくのに,ちょうどよい機会です。


というわけで,スルメイカの写真を撮ろうと思っていたのですが,イカをさばきだすと手がぬるぬるになるので,手を洗ってまでカメラを手にするのが面倒になり,結局撮らずじまいでした・・・。


写真はフォトエージェンシーから借りたり,専門フォトライブラリーに依頼したりしてもよいですが,用意できるものは用意しておくのもよいかなと思います。

写真として使用しなくても,作図用資料としても使えます。

教科書などの写真をもとにイラストレーターに描いてもらうよりも,実際に撮影した写真を参考資料にしてもらうほうが,何倍も参考資料としては詳しいですしね。


博物館や水族館・動物園などにも,参考資料になるものがいろいろとあります。

アンモナイトの化石などはあちらこちらにあるので,軽く1枚写真に残しておいてもよいかと思います。


使わないかもしれないけど,何年か先に使えることになるかもしれない。

そんな未来の「かもしれない」の写真をコツコツためておくのもよいかなと思います。


そうこういいつつ今年の初夏,海のタイドプールで出会ったアメフラシは,水中写真として残せずじまい。
海に行く際はハウジング(カメラの防水カバー)を常に持ち歩くべきだったと反省です。

また,サクラの花の断面図の写真も,毎年撮ろうと思いつつ,結局ものぐさで撮らずじまいで今年まで来ています。

生物写真は年中撮れないので,気づいたときに撮る習慣をつけねばと思う次第です。



あっ,そういえば・・・,少し前にホウセンカも咲いていたのに,スルーしたような・・・。

2009年9月28日月曜日

リットルの表記

リットルの表記には,小文字のエルのイタリック l や,手書きのイタリック ℓ ,大文字ローマン のエル L などが使われています。

しかし,現在の中学理科や高校化学の教科書類では,大文字ローマンの L でほぼ統一されていると思います。
(生物などでは,小文字エルのイタリック l を,まだ使用していることがあります)

この大文字ローマンになったのは,現在の教科書からで,それより前は小文字エルのイタリック l が主流だったと思います。


さて,なぜ大文字ローマンの L になったかというと,国際単位系(SI)に準じることになってきたからだと思います。

リットル自体はSIの単位ではないのですが,SIとともに併用される単位に含まれます。

このとき,SIの表記のルールとして,

  「書体は立体活字(ローマン体)で,人名に由来する場合には記号の最初の
   文字のみ大文字,他は小文字[例:m, s, cd, N, Pa,Hzなど]とする。 」

となっています。

つまり,リットルは,小文字ローマンの l を使用することになります。

しかし,小文字の l は数字の 1 と似ているため,混同するのを避けて大文字ローマンの L を併用することに1976年に決められ,使用状況を見ながらどちらかを将来的には削除することになりました。
(小文字 l の使用は,1879年に決定)

この併用については2006年発表の国際文書第8版でも変更されていません。


つまり,小文字のイタリックで表記するというルールは国際的にはないため,教科書類ではこのSIの文書にのっとり,大文字ローマン L を使用することとなったのだと思います。

そのようなわけで,現状の中学理科教科書と高校化学教科書は大文字ローマン L が使用されているのですが,なぜか高校生物などでは小文字のイタリック l を使用してる場合もあります。


いずれにしても,今後の流れとしては大文字ローマン L での表記が中学以上の教材での主流となると思いますので,意識しておいたほうがよいと思います。

もちろん,教材以外では混在して利用されているので,この限りではありません。


なお,国際単位系(SI)についての詳細は,以下よりご覧ください。
http://www.nmij.jp/library/units/si/

2009年9月27日日曜日

gの話

アルファベットの g には,フォントによって,通称メガネ g と呼ばれるものと,手書きと同じ雰囲気の g があります。(以下,メガネ g と,手書き g と表現します)



一般書などの編集では意識する必要はほとんどないかもしれませんが,中学校の教材では,多少意識したほうがよいかもしれません。

なお,小学校ではアルファベットは極力使わず,使っても大文字でA,B,C…程度,高校教材ではそれほど意識しなくてもよいかもしれません。

しかしながら,中学入試対策となると,同じ小学生といえどアルファベットの使用も多少増えてきて,変数を表すアルファベットをイタリックにする機会なども出てきます。

さて,話を g に戻します。
本文は明朝体にすることが多く,明朝体の g はメガネ g が一般的です。

しかし,理科の教材では図中の文字をゴシック体にすることが多く,ゴシック体には種類によって,メガネ g のものと 手書き g のものがあります。

このとき,図中に使われるゴシック体の g が手書き g であった場合,本文中の明朝体のメガネ g と雰囲気が変わってしまいます。

教材の統一事項によっては,本文中の図中に使用されている記号類は,図中と同じフォントを使用するということがあります。そのような場合はメガネ g であろうが手書き g であろうが,同じデザインなので問題ありません。

しかし,本文中の記号類もすべて明朝体で統一し,図中はすべてゴシック体ということも多々あります。

そのようなときにメガネ g と手書き g が混在した場合どうしますか?

これは編集者次第ということなのですが,個人的にはメガネ g で統一したいですね。

ゴシック体にもメガネ g のものは多々ありますので,他のフォントで代替するなりして,本文中の明朝体のメガネ g と雰囲気をそろえます。

たいした問題ではないような気がしますが,教材という性格上,多少は意識したいですね。

2009年9月24日木曜日

水素

9月23日に,三鷹市の市民協働センターで行われたサイエンスカフェに行ってきました。

日本の理科教育界の礎を築き,サイエンスショーの草分け的存在として知られている縣秀彦さん,左巻健男さん,滝川洋二さんの3名がゲストとして招かれ,「科学を文化に」をテーマに語られました。

さて,そのなかで左巻さんのお話の中で,水素に関する実験が行われました。

炭酸水素ナトリウム水溶液を電気分解して水素と酸素を発生させ,その水素と酸素が混ざった気体をシャボン玉に閉じ込めます。そのシャボン玉を点火すると,「パンッ!」と激しい音を立てて燃えるという実験です。

中学校の教科書では金属にうすい塩酸を加えて,それを水上置換などによって試験管に集めて,それにマッチの火を近づけると,水素が爆発して燃えて水ができることを学びます。

また,教科書には水素の発生口に直接火を近づけないようにとか,水素と酸素が混ざり合った状態で火がつくと激しい爆発が起こり危険であることが記されています。

さらに予備知識として,水素爆弾などが危険であったり,ロケットエンジンに液体水素が用いられているなど,水素はかなり大きな化学エネルギーを備えているのであろうということも想像できるかもしれません。

しかし,それを実感する機会というのはなかなか得られません。

高校入試対策教材などでも,「ポンッ」と音を立てて燃えるなど,それほど大きなエネルギーを持っているという印象は得られない始末です。

その実感を,このサイエンスカフェで得ることができました。

直径1~2cm程度のシャボン玉を点火すると,かなり激しい音で「パンッ!」という音とともに水ができました。

文字で表現しても伝わりにくいかもしれませんが,かなりのものです。

さらにその水素と酸素の混合気体を3~5mくらいの細い透明なチューブに入れて同じように点火したところ,同じく激しい音がなりました。

この実験を公教育の現場でやることは難しいかもしれませんが,実感をともなう科学とは,こういうことかもしれません。


このサイエンスカフェの話の中で,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている高校で理科の実験をしていないところがあるという実態を聞きました。

実験をやることによってテストや模試の成績が下がることは許されないため,結果として知識偏重の授業となってしまっているようです。

実験・観察がすべてではないですが,少々さびしいお話です。


また,理科教材を制作している私が,紙面上だけでの知識で制作していることの危うさも,少々感じてしまいました。

実験をしっかり行っているような現場の先生方の意見を聞いてつくられる教科書と違い,教材はそのような方々に手伝っていただくことは少ないかと思います。

教科書までとはいわないまでも,少しでも実感の伴った教材が制作できればと感じられたサイエンスカフェでした。

112番元素

シルバーウィークにより更新が止まっていましたが,本日より再開いたします。

さて,少し前の話になりますが,112番元素が正式に認定され,名前の候補として「コペルニシウム」が提案されているとの報道がありました。

元素が最後に認定されたのは,2004年の111番元素「レントゲニウム」でした。
そのため,それ以降の教科書等に掲載されている周期表では111番元素までしか載っていません。

しかし,1996年にドイツの研究者が112番元素の合成に成功するなど,112番目以降の元素の存在も発表されていました。

実験や検証などが不十分であったためウンウンビウムなどの仮称が用いられていたのですが,日本の研究者が合成に成功するなど,国際純正・応用化学連合(IUPAC)により112番元素が正式に認定されたようです。

正式認定されたことにより112番元素を発見したドイツの研究グループが「コペルニシウム」という名称を提案しているそうで,数か月後にはIUPACが最終決定するそうです。

さて,中学校の教科書は平成24年度(2012年度)から新教科書になり,高校の教科書も平成25年度(2013年度)から新教科書になります。

おそらくその頃までは正式名称も決定し,教科書も更新されることと思います。
そのため,新学習指導要領による教材制作で周期表を扱うことがあれば修正する必要があるかもしれませんし,もし,それまでに正式名称が決定していれば,これから制作する教材等ではそれを反映する必要があります。

そのため,112番元素の名称の正式決定には,少し耳を傾けておいたほうがよいかと思います。

2009年9月19日土曜日

算用記号

+,-,×,÷,=,…など,理科教材では計算式などで算用記号を用いることが多々あります。

最近ではMS Wordなどで原稿を入稿することが多く,原稿で計算式が出てくれば,計算式において使われていた数字や算用記号などのデータを,そのまま組版で流用してしまうこともあります。

そんなときよく困るのが,上記算用記号が,1バイトフォントで組みあがってくることです。

以前にも書きましたが,1バイトフォントは欧文での使用をベースにデザインされています。

そのため,印刷用フォントで組みあがってきた計算式を見ると,算用記号が文字の中心より少し下がっていることがあります。

これが何とも格好悪いこと。

フォントによっては,バランスよく中央にくるようにデザインされたものもありますが,すべてのフォントがそうというわけではないのが,また困ります。

例えば,次のものは小塚明朝R(OTF:Open Type Font)のものです。



1バイトの+と=の位置が,何とも格好悪いですね。

なお,話の流れの都合上,答えにも+をつけているのでご了承ください。

では,+と=を2バイトにしてみると,このようになります。



1バイトに比べてかなりよくなりました。

しかし個人的には,少々数字に比べて大きすぎるデザインかなとも思います。

なお,欧文と和文の間の文字組みアキ量設定は0%になっておりますので,以下そのような形での計算式であるということ前提でご覧ください。


では,モリサワで試してみましょう。

モリサワのリュウミンR(OTF)で+と=を1バイトで組むと,このようになります。



モリサワのOTF場合は,和文の中央にくるようにデザインされているようなので,とりあえず下がっていてバランスが悪いということはないようです。

しかし,和文中に組み込むには,こじんまりとしすぎた計算式が,どうもしっくりこないような気もします。


まあ,そこまでいいだすとこだわり過ぎだと思われるかもしれませんが,ちょっとこだわって話しを進めましょう。


では,リュウミンRで2バイトにしてみます。



2バイト,つまり全角になったわけですが,リュウミンの2バイトについては,+や=に限らず,-,×,÷なども,小ぶりの左右に小さいデザインです。

そのため,全角となると文字間のアキが気になります。

とくに,上記の式では=と+の間のアキが気になりませんか?


では,バランスのよいフォントに変えてみましょう。

個人的には,じゅん101の算用記号が好きなので,+と=のみをじゅん101の2バイトに変更します。



バランスよくなった気がしませんか?

しかし,1バイトにすると,先ほどのリュウミンよりくっつきすぎているように見えるので,気をつけましょう。


さて,最後に算用記号の1バイトで厄介なのが,-(マイナス)です。
小塚明朝RにしてもリュウミンRにしもじゅん101にしても,すべて最悪です。

マイナスではなく,ハイフンですね。欧文では,ハイフンもマイナスも同じなので,しょうがない話です。
ただし,小塚明朝は他の算用数字も下がっているため,逆にバランスよく見えますが,リュウミンやじゅんにいたっては,マイナスのみ下がっているため,すごく違和感を覚えます。
しかし,OTFであれば異体字*切り替えができるため,中央に配置されたマイナスに変更することも可能なので,最低それくらいはしたいですね。
  *同じ字で異なるデザインのものや異なる字体のもの。
   例えば普通の「高」に対して,いわゆる「ハシゴ高」とよばれるものが「高」の異体字。



とまあ,気にならなければ気にならないし,無理して修正することもない話かもしれませんが,見栄えをよくした計算式を求めるなら,数字と算用数字の間のアキのバランスと,1バイトのマイナスについては,多少は意識したいものです。


私はやっぱり,リュウミンRの1バイトの数字に,じゅん101の2バイトの算用記号を使うのが好きですね。
なお,これが高校数学・物理以上の数式になってくると,こだわり箇所はもっと増えるので,そのお話はまた機会があれば致します。

2009年9月17日木曜日

三校の恐ろしさ

昨日,今日と,青焼きやDDCP(プルーフ)のチェックをしていていました。

そして,DTPが始まって何年たってもなかなかなくならない,DTPの怖さを再び実感しましたので,そのお話をします。

ちなみに,どうして青焼きとDDCPの両方があるかというと,作業している書籍のうちの1冊は,既存のフィルムの一部を差し替えてフィルムの複版をとって改訂しているからです。

DDCP(プルーフ)のほうはもちろん,全ページがデータ入稿のCTPです。

ちなみにDDCPについては,プルーフといったり白焼きといったり,インクジェットといったり,なぜかそれも青焼きといったりと,編集者や出版社によっていろいろな言い方がありますが,うちはDDCPといっています。


さて,今回実感した恐ろしさとは,三校の恐ろしさです。

原稿,初校,再校でしっかりチェックし,外部校正,外部編集者など,再校まではしっかりすぎるほどチェックをいれました。

そして再校では,どうしても直しておきたいところ以外は,どうでもよいミスを減らすために,必要以上の余分な修正はしていません。

そのため,基本的に三校では,修正を入れた箇所以外のチェックは基本的にせず,ざっと最終素読みをしただけでした。

しかし,青焼きをチェックしていると,ふと視線が止まりました。
(ページ単位でデータ入稿し,データからフィルム出力しているので,こちらもDTPでの制作です)

図版のところで何か違和感を覚えたのです。

何度も何度も見ているので,記憶の片隅に残っている画像と違うような気のする図版がちらっと目にとまりました。


ところで,基本的に青焼きやDDCPでは内容チェックや素読みなどはしません。
面付けがおかしくないか,入稿データどおりに出力されているか,裁ち落としまで出力されているかなどのほか,念のため小口とノドがまさかとは思いますが逆になっていないかなどのチェック,あとはざっと眺めて,おかしいところがないかどうかのチェック程度です。

しかし,これだけの作業をしておくと,記憶上にない違和感を覚えることがあります。

そして今回ありました。

再校まではまったく問題のなかった箇所,しかし再校で修正の入ったページについて,まったく修正とは関係のない部分のデータが一部消えていました。

冷や汗ものです。

いままでもときどきありました。
三校または四校で,消しこんで校了と思っていたのに,なぜか関係のない箇所がおかしくなっているという状況です。

版下作業ではまず起こらなかったことですが,DTPになってからそのようなことがときどき起こります。


三校での消しこみ作業では,内容チェックをしなくても,修正のなかった箇所も含めてできる限り再校と照合したほうがよいのかもしれません。

そのためにも,再校までに修正箇所は極力減らしておき,再校戻しはどうしても修正せざるを得ないところのみにできるようにしておく必要があります。

そうしないと,照合しているだけで多くの時間を費やしてしまいます。


DTPになって簡単に直せるようになり,気になるところを必要以上に修正したくなります。
しかしそれが,かえっていらないミスを引き起こす引き金にもなります。

妥協はしたくありませんが,ミスよりはマシかなとも思ってしまいます。

しかし,妥協とこだわりのバランスをとるのが難しいのですがね…。

2009年9月16日水曜日

スラッシュ

今日は,単語を区切ったり,「m/秒」などのような単位で使ったりするスラッシュについてです。

スラッシュにも,全角「/」と半角「/」があります。



しかし,先日の数字と同様,等幅フォントであれば半角ですが,実際はプロポーショナルの欧文のデザインです。



また,“欧文デザイン”というように,欧文のアルファベットと数字とともに使ったときにバランスよく見えるようにデザインされています。



例えば,「m/s」と アルファベットではさんだときはしっくりくる欧文スラッシュですが,和文とともに「m/秒」と使用すると,“秒”に比べてスラッシュが天地に短く,バランスが悪くなります。



ブログ上のテキストで示すとわかりにくいので,InDesign上で表現してみましょう。





このように,バランスが悪いのが分かります。

なお,このm/秒の“/”と“秒”の間はアキ0%としてあります。


InDesignでは標準の文字組みアキ量設定(欧文と和文のアキなどを細かく設定するところ)において,欧文のあとの和文は25%アキ,つまり4分アキが最適となっているので,“/”と“秒”の間は4分空いており,バランスの悪いものとなってしまいます。


ですので,文字組みアキ量設定でアキを最初から0%にしておくか,カーニングを-250(1文字が1000なので,4分詰めるので250戻す,つまり-250)かける必要があります。


ただし,文字組みアキ量設定の欧文の後の和文までのアキを0%にすると,数字なども含めてすべて0%になってしまうので,好みに応じて設定をどうするか詰めておく必要はあります。


しかし,いずれにしても,最近のDTPをやっている人の中には,ここのアキに対して何も感じないのか,まぬけに25%のアキが入った状態で初校が上がることが多々あります。


さて,ではどうすると美しくなるか。


とりあえずわたしの場合は,長体120%をかけます。

120%程度で,だいたい和文の天地のサイズと同じくらいになります。

もちろん,フォントによってデザインが違うので,一概に120%とは言い切れませんが,だいたいそんなもんです。


なお,ミスのもとなので,欧文には長体120%の指示はあまりいれませんが,やはり和文中で用いるのであれば,120%かけたほうがバランスがよいかもしれません。


先のものに長体120%をかけると,次のようになります。




さらに,ここからはこだわりすぎの話になりますが,m/s どのように,スラッシュの次が s のような小さいアルファベットの場合,スラッシュと文字の間がまだ空きすぎのように見えなくもないので,さらにカーニングで-125をかけることもあります。まあ,ほとんどしませんが…。




続いて,全角スラッシュについてのお話です。


学参では,モリサワフォントを使用することが多いのですが,このモリサワでよく使うリュウミンや新ゴなどの全角スラッシュは,同じリュウミングループの太さや新ゴグループの太さを変えても,全角スラッシュは太さが変わらないのです。


文字が太くなっているのだから,スラッシュも太くなって欲しいものの,欧文スラッシュしか太くなりません。


そのデザインが美しいと思ってモリサワさんはデザインされているのかもしれませんが,わたしにはしっくりきません。


こんな場合は,組版への戻しで「太くして」みたいに漠然と指示しますが,よいフォントがあれば,指定したいものです。


とりあえず,無理矢理同じフォントでやるならば,欧文スラッシュを平体200%,長体120%かけると,個人的にはバランスよくなると思います。


ただ,少し太すぎる印象もあるので,新ゴMの本文中に使うのなら,新ゴRくらいにしてもよいかもしれません。





いずれにしても好みの話なので,気にならなければそのままでもまったく問題ない話です。

とりあえずわたしは,これらスラッシュに,すごく気になってしまいます。

2009年9月15日火曜日

選択肢のチェック

教材を作っていれば,選択問題の校正をすることもあると思います。

「次のア~エの中から最も適当なものを選び,記号で答えなさい。」といったたぐいのものです。

校正の基本としては,まずは上記の文の「ア~エ」という部分と,続いて出てくる選択肢が,正しく ア,イ,ウ,エ の4つであるのかをチェックします。

しかし,ときどきこの基本的な校正を漏らしてしまうことがあります。

鉛筆で斜線を引きながら文章中の“ア”と“エ”を消しこみ,選択肢をアから順番に消しこんでいるのに,無意識のうちに ア,ア,ウ,エ となっているのに気づかない…何てこともあります。

数字の連番をチェックするときもそうですが,文字をちゃんと画像として捉えないために,校正漏れしてしまうのだと思います。

頭の中で,ア,イ,ウ,エと唱えているだけでは駄目ですね。
ちゃんと1文字1文字を拾っていかなければなりません。

また,選択肢がア~カの6つなのに,問題文中が「ア~エ」となっていても気づかないこともあります。
このようなことも,しっかり文字を拾って,さらに鉛筆で消しこんで,丁寧に校正する必要があります。


ここまでは校正の文字校正レベルの基本事項ですが,もちろん選択肢の内容的なチェックもちゃんとしなければなりません。

基本事項としては,選択肢の重複がないかどうかです。

中学理科までは比較的選択肢は少ないのでそのようなミスは少ないのですが,大学入試問題を改題した場合など,理科ではかなりたくさんの選択肢が並べられている問題をみかけます。

そのようなとき,しっかり鉛筆で選択肢を1つずつ消しこんで,選択肢の重複がないかどうか確認する必要があります。

また,内容的なチェックとしては,正答が間違っていないかどうかをチェックするのは当たり前ですが,それ以上に,間違いの選択肢が本当に間違いかどうかをチェックするのを怠ってはいけません。

これも選択肢が増えれば増えるほど,また大学入試レベルになればなるほど,原稿段階,初校段階,また再校段階でさえも,選択肢の中にある間違いのはずの選択肢が,意外と許容解になってしまう場合があります。

これらは,分かったつもりで校正してしまいっているためにやってしまう見逃しが多いと思います。
間違いの選択肢が間違いだと思っていても,意外と自分の知識外の部分で許容解が隠れているのです。

中学理科ではなかなかありませんが,大学入試レベルの問題を制作しているときに,よくひやひやされます。

また,最近では中学入試対策の問題でも,そのようなことがありました。

自分の知っていると思っていた,また多くの人がそう思っているだろうと考えられる常識が,意外と正しくなかったというものです。

模試の問題なのでここでは書きませんが,驚きました。
外部校正者の方からの指摘で知ったのですが,私も知っていたつもりで見逃してしまいました。


さらに,捨て選択肢についても,気にかけたほうがよいでしょう。

選択肢の中に,理科とは関係のない選択肢が入っているのは,あまり芳しくありません。
理科の用語ではありえない造語なども,芳しくありません。

高校入試であれば,教科書で扱われている用語からしか選択肢は出されません。
それなのに,まったく教科書で見ないような用語を選択肢として載せた問題集やテストを提供していては,教材の質としては疑問を感じてしまいます。

というわけで,選択肢のチェックも奥が深く,みっともないミスが意外と出てしまう場所なので,1つ1つの選択肢を丁寧に確認し,校正漏れを減らすように心がける必要があると思います。

2009年9月14日月曜日

優性の法則

今日は,移行措置の「遺伝の規則性と遺伝子」の話です。

平成21年度の中学3年生の移行措置で,「遺伝の規則性と遺伝子」が始まりました。

この単元について,各教科書会社の補助教材を見てみると,優性の法則が扱われています。
この優性の法則について,疑問点をあげてみます。

さて,メンデルの3法則と呼ばれるものに,「優性の法則」,「分離の法則」,「独立の法則」があります。
現行の高校の教科書にも,これら3つの法則がメンデルの法則であるような表現があると思います。

しかし,この3つの法則のうち,優性の法則については,法則ではないのではないかという考え方があります。

そもそも,メンデルの3法則ということばを用いたのはメンデルではなく,メンデルの死後,同じような研究をしていた科学者がメンデルがすでに発見したことを知り,そのように命名したのだったと思います。

この法則として広く知れ渡るようになった3つの法則ですが,優性の法則には例外やはっきりしないものが多く,法則として成り立っていないのではないかという話があります。

一昨年の文科省からの新学習指導要領に関する説明会でも,世界的には優性の法則は法則として教科書に扱われていないため,新学習指導要領には載せなかったと言っていました。

そのようなわけで,補助教材で優性の法則は扱われたとしても補足説明程度だろうと思っていたのですが,蓋を開けてみれば,本文中に太字で扱われている準拠もありました。

もともと補助教材は検定を受けないという報道だったと思うのですが,実際は文科省が確認をしており,文科省がチェックしたのに補助教材に載ってしまった優性の法則。

このことは,平成24年度からの新教科書で優性の法則を扱ってもよいということとイコールになるのでしょうか。

将来的に日本でも優性の法則がなくなる可能性が高いとは思いますが,今回載せてしまえば,あと10年は日本で優性の法則を扱うということとなります。

世界的な常識はわかりませんが,間違っていると思われていることを載せてしまうのはいかがなものかとも思います。

結論は何も出ていませんが,とりあえず優性の法則の動向に意識を向けておくのもよいかもしれません。

2009年9月11日金曜日

数字フォント

本文中の数字のフォントをどうするかで,よく迷います。

まずは全角と半角です。

この全角と半角という言葉も,校正をするうえで微妙な言葉ですね。

漢字やひらがななどの1文字分を全角,1/2文字を半角といいます。
だから,1/2文字分ではない英数字は,正しくは半角ではありません。

本文中で使用する英数字をCenturyOldなどの欧文に統一するのであれば,「欧文」という呼び方でもよいのかもしれません。

しかし,和文で使用しているフォントと同じフォントで英数字を入れるとき,何といったらよいのでしょうか。

とりあえずわたしは,「1バイトフォント」ということにしています。

和文などの全角文字は16ビット,つまり2バイトのデータ量でできており,欧文フォントなどは8ビット,つまり1バイトのデータ量でできています。

和文フォントセットにおいても,通称半角と呼んでしまう英数字は1バイトでできています。


だから,2桁の数字や英語の単語などが全角で入力されて組み上がってきたときなんかは,「1バイトフォントに修正」などと赤入れしています。

しかし,「半角」でも通じるので,校正者さんは「半角」で問題ないでしょう。


さて,わかりやすいように,MS Wordを例に説明しておきましょう。

Wordでよく使われるフォントに「MS 明朝」と「MS P 明朝」があります。
この「P」があるかないかは,等幅フォントかプロポーショナルフォントかの違いです。

「MS 明朝」は等幅フォントです。字のごとく,等しい幅のフォントです。
全角のひらがな・カタカナ・漢字・アルファベット・数字など,すべて同じ字送りで構成されます。
1バイトの英数字などは,半角(1/2角)でデザインされているので,2桁の数字は全角サイズ,4桁の数字は2文字サイズというように,きれいになります。

「MS P 明朝」のようなプロポーショナルフォントは,文字のデザインにあわせて字送りが変わるフォントです。なので,iやlのような幅の狭い字は字送りが狭く,MやWのような幅の広い字は字送りが広くなります。

これが,一概に全角・半角と呼べない理由です。



では,実際の仕事を考えてみましょう。

学参ではモリサワのフォントを多用しますが,モリサワのリュウミンなどの2バイトの数字と1バイトの数字のデザインのバランスが,どうも好きになれません。

OpenTypeFontとなり,CIDのときよりは1バイトと2バイトのデザイン差がなくなり,見栄えはよくなりましたが,それでも本文中で混在していると,すごく気になります。

OpenTypeの2バイトフォントの異体字の中に1バイトデザインに近いものもありますが,どうもしっくりくるようなこないような…。

そのため,編集者によっては,絶対に2バイトフォントは使わず,すべて1バイトフォントの数字を使用してしまう人もいます。

その際,1桁の数字の場合は前後をカーニングなどで空けて全角送りにしています。

わたしも本当はこのやり方にしたいのですが,時間がかかったり,組版さんが意図をくみとってくれなかったりと手間がかかってしょうがないので,1桁は2バイト,2桁以上は1バイトとしてしまっています。

しかし,正直なところ,気持ち悪さが残ります。

それでも,CIDのリュウミンLの1バイトフォントがTimesNewRomanであったことに比べれば,かなり違和感は少なくなったので,CIDを使っているころよりはよくなりましたが,やはり妥協しない組版レベルにしたいものです。

やはり,現段階ではすべて1バイトフォントの英数字にしてもらって,カーニング処理がいちばんよいのかな…。



いずれにしても,校正していて,2バイトフォントと1バイトフォントが混在していたら,違和感を覚えるようになれば,校正力も1ステップアップといったところでしょうか。


ところで,Wordで原稿等を書くときの英数字のフォントはどうしていますか。
わたしなんかは初期設定のCenturyが気に食わないので,日本語用のフォントが「MS 明朝」ならば,基本的に英数字用のフォントは「MS P 明朝」にしています。

2009年9月10日木曜日

大気の大循環

22年度の移行措置で,大気の循環が加わります。

現行の指導要領外ではありますが,現行の中学理科の教科書(2分野下)には,発展事項として,この大気の循環が扱われている準拠もあります。

とりあえず自宅にある3準拠(東京書籍・啓林館・大日本図書)を見てみると,それぞれ発展事項として取り扱われていました。

東京書籍はp.27,啓林館はp.34,大日本図書はp.28にそれぞれ載っています。

さて,この大気の大循環モデルですが,中緯度域の垂直循環を矢印で示すときはどうしたらよいのでしょうか。

北半球で考えてみます。

まず,低緯度付近ではハドレー循環が起こっており,あたたかい大気が上昇して中緯度域に運ばれ,中緯度域で下降し,地上の風である貿易風となって低緯度域に流れています。

高緯度域では大気が冷たいため下降気流が起こり,地上を極編東風が中緯度域まで吹き,中緯度域で上昇気流が起こります。そして,上空の風が高緯度域に流れます。

となると,中緯度域ではハドレー循環による亜熱帯高圧帯での下降気流により北上する地上の風が吹き,高緯度低圧帯で上昇気流を起こし,上空は南下する風が吹くように考えられます。

しかし,そんなに単純ではないようです。
とりあえず,低緯度域と高緯度域の物理的な大気の循環に対して,中緯度域は見た目上,または理論上の循環のようであり,これをフェレル循環と呼ぶようです。

さて,教科書に移ってみます。

啓林館の大気の循環の図を見ると,上記の理屈とはことなり,中緯度地域では地上の風も上空の風も北上しています。

対して東京書籍と大日本図書では,垂直断面の大気の循環がなく,偏西風波動が示されています。

この偏西風波動が曲者のようです。

啓林館のホームページに「ユーザの広場」という解説ページがあります。
http://www.keirinkan.com/kori/kori_earth/kori_earth_1_kaitei/contents/ea-1/3-bu/3-2-2.htm
(ここにいろいろと詳しく説明されおりますので,詳細はそちらをごらんください。)

地上の風は偏西風として北上しているのですが,中緯度域では上空にも偏西風が吹いており,これが南北に循環しています。これが偏西風波動で,これをもって啓林館の教科書では北上する矢印のみを示しているのかもしれません。

残念ながら,啓林館の高校地学1の教科書が自宅になく,確認できませんが,おそらくそんなところなのかもしれません。

ちなみに,数研出版の地学1の教科書には,北緯30度より北の中・高緯度地域の南北断面循環は明確でないと記されていますので,ここの大気の垂直断面図を示すのは難しいのでしょう。

また,実教出版の地学1の教科書には垂直循環がのっていますが,中緯度域の図は,上記啓林館のユーザの広場の図のように,地上の風は北上し,上空の風は循環しているというような表現です。

いずれにしましても,ここは再度勉強しなおさないと,私も理解が微妙です。

上記の説明も間違っている可能性がありますので,ご了承を。


ところで,結論はどうすべきか…というと,中学教材においての表現は「悩みます」です。

2009年9月9日水曜日

移行措置の話

今年から中学校の理科と数学において,学習指導要領の前倒し実施が始まりました。
広く移行措置と呼ばれ,平成24年度から実施の新指導要領の一部を,教科書のほかに配られる補助教材や移行教材と呼ばれるものを用いて授業をすることになっています。

その移行措置1年目の今年は,中学理科では,1年生と3年生が移行措置を行っております。

たとえば,1年生では「力とばねののび」「重さと質量」「水圧・浮力」「代表的なプラスチック」「粒子のモデル」「質量パーセント濃度」「シダ植物とコケ植物」「代表的な火成岩」「断層と褶曲」などが新たに加わり,指導が始まっています。

3年生では,「仕事とエネルギー」「水溶液とイオン」「遺伝の規則性と遺伝子」「月の運動と見え方」が新たに加わり,今年から指導が始まっています。

さて,教材をつくる上で重要な教科書情報に準じるものとして,移行措置においては補助教材の情報入手が必要です。

もちろん,かつての教科書や新学習指導要領から,およその内容を予測することは可能です。
しかし,学校のテストや入試は教科書や補助教材にそって出題されますので,補助教材に載っているのに,教材会社が作った教材にその内容が載っていないというのでは困ります。

そのようなわけで,何とか移行措置の情報を入手したいと思うものの,そういうわけにもいきません。

そんななか,現在,各社22年度の移行措置にどう対応するか検討していたり,場合によっては,予測のもと作り終えてしまっている会社もあるでしょう。

ちなみにうちは,もろもろの事情から,ほぼ作り終えました。
文科省からの移行措置の概要や学習指導要領解説,および過去の教材や教科書をもとに予想しての作成です。

疑問点は多々残っております。
たとえば,22年度から移行措置が始まる2年生において,新学習指導要領では「進化」について,「脊椎動物を例にあげる」ということになっています。
しかし,かつて進化が扱われていたころは,植物の進化も取り扱われていましたが,今回はどうなのかわかりません。
また,1年生で種子をつくらない植物のなかまでは,シダ植物とコケ植物は扱われていますが,藻類は扱われていません。これは,藻類の分類には微妙な部分が多々あるからだと思われます。
そのため,植物の進化を扱ってよいという判断がくだされた場合,どのような表現をとるのかも想像の域を出ません。

さらに,3年生から下りてくる「酸化と還元」,および「化学変化と熱」については,現行の教科書を用いて指導することになると考えられますが,2年生の段階では未履修の内容などが含まれているため,その部分の扱いをどうするかなど,微妙な部分が多々残ります。

いずれにしても,教科書会社から文科省への補助教材の提出の第1回目が8月末だったようですので,現段階では何も結論は出ていません。

最終的な補助教材がどのようになるか,不安と楽しみが入り混じっております。

2009年9月8日火曜日

まずは文字校正から

校正といっても,媒体によってやり方はいろいろあると思いますし,理科教材の校正といえば科学的な内容チェックも重要です。

しかし,どんな教材においても,文字の誤字・脱字はみっともないものです。
もちろん,内容が間違っていたり,答えが間違っていたりするのは論外ですが,意外と内容チェックの漏れよりも,誤字・脱字の校正漏れが目立ちます。

それは,内容チェックも文字校正を同時にやってしまっているからです。

わたしはもっぱら,内容チェックをやったあと,あらためて文字校正を行います。
もちろん体裁チェックや番号・記号の通しのチェックなども別途行うので,1回の校正に対して,4回以上は同じ校正紙をチェックします。

校正漏れをなくすためには,一度にいろいろなチェックをせず,やることを絞ってチェックしたほうがよいでしょう。

さて,そんな複数回チェックする校正のなかで,誤字・脱字を拾う作業が文字校正です。
文字校正の仕方は人それぞれあるかもしれませんが,ここでは私の作業方法を記します。

誤字・脱字を「拾う」と表現したように,文字校正は文字を一つひとつ「拾って」いきます。
ここ数年やらなくなりましたが,編集業について5~6年は,文節ごとに線で区切りつつ,文字を拾っていくという方法をとっていました。

たとえば,次のような文章があるとします。

「セキツイ動物は,魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類に分けられる。呼吸のしかたは,魚類はえらで呼吸し,両生類は子どものころはえらで呼吸し,おとなになると肺と皮膚で呼吸する。…」

これを文字校正するときは,鉛筆で次のように線を引きながらチェックします。

「セキツイ動物は,/魚類/・両生類/・ハチュウ類/・鳥類/・ホニュウ類に/分けられる。/呼吸の/しかたは,/魚類は/えらで/呼吸し,/両生類は/子どもの/ころは/えらで/呼吸し,/おとなに/なると/肺と/皮膚で/呼吸する。/…」


こうすることで,単語や文節単位の塊で視界に文字列が入ってくるため,誤字・脱字や必要のない文字の重複などを発見しやすくなります。

これを数年続けた今は,文節単位で点を打ったり,点を打つような感じでペンを走らせたりしながら校正をするようになりました。

それでもときどき校正漏れをし,再校や三校でどきっとすることは今でもあります。

しかし,この文字校正での校正漏れで多いのが,漢字の変換ミスに気づけないことです。
同音異義語もやっかいなのですが,同音でさらに漢字が似たようなものや,音は違うのに漢字が似ているものなどの校正漏れもよくあります。

初校で外部に2名,再校で外部に2名と出していても,誰も気づかないということもあるので,文字校正は重要です。

昔からよくあるのは,「発泡スチロール」の「泡」の字が「砲」になっているものです。同音である上に形も似ているため,見逃しやすい代表例です。
最近は,「物質」であるべきものが「物資」になっているというのもありました。「質」と「資」は形が似ているので音は違うのに,見逃してしまいそうになります。

このブログでは,このような変換ミスなども適宜アップしていこうと思っております。

とりあえず第一歩

理科教材制作においてよく悩まされるのは,外部校正者不足です。

出版業界自体が文系的な職業なので,理系出身の校正者が少ないということもあるでしょうが,そればかりではないと常日頃から感じています。

仕事で外部スタッフの募集をホームページなどに公開すると,理科教材校正者への応募もそれなりにあるのが現状です。(もちろん文系科目よりは少ないですが)

しかし,そのような応募者に試しに校正を出してみると,やはりこちらの求めるレベルに届いておらず,それきりになってしまうことが多いのも現状です。

ただ,そのような人たちも,たんに校正経験がなかったり少なかったりしているだけで,しっかり校正について学習すれば,質のある人もいるかもしれないと思っています。

そのような人たちに校正力をつけていただくために,理科教材の校正とはどのような観点でチェックするものなのか,どのように進めるのかというのを,もっと広めたいと常日頃から思っていたため,とりあえずブログという形でスタートしてみました。

もちろん,わたしもまだまだ未熟です。理科の知識に関しては足りないことだらけで,外部校正者のチェックを見させていただきながら,一つひとつ知識を地道に増やしている毎日です。

しかし,このような知識を一人締めしておいてもしょうがありません。さらにほかの人たちに広めることで,よりよい理科教材作りができるはずです。

そのような勉強の機会が,このブログを通してできればと思っております。