今日は,単語を区切ったり,「m/秒」などのような単位で使ったりするスラッシュについてです。
スラッシュにも,全角「/」と半角「/」があります。
しかし,先日の数字と同様,等幅フォントであれば半角ですが,実際はプロポーショナルの欧文のデザインです。
また,“欧文デザイン”というように,欧文のアルファベットと数字とともに使ったときにバランスよく見えるようにデザインされています。
例えば,「m/s」と アルファベットではさんだときはしっくりくる欧文スラッシュですが,和文とともに「m/秒」と使用すると,“秒”に比べてスラッシュが天地に短く,バランスが悪くなります。
ブログ上のテキストで示すとわかりにくいので,InDesign上で表現してみましょう。
このように,バランスが悪いのが分かります。
なお,このm/秒の“/”と“秒”の間はアキ0%としてあります。
InDesignでは標準の文字組みアキ量設定(欧文と和文のアキなどを細かく設定するところ)において,欧文のあとの和文は25%アキ,つまり4分アキが最適となっているので,“/”と“秒”の間は4分空いており,バランスの悪いものとなってしまいます。
ですので,文字組みアキ量設定でアキを最初から0%にしておくか,カーニングを-250(1文字が1000なので,4分詰めるので250戻す,つまり-250)かける必要があります。
ただし,文字組みアキ量設定の欧文の後の和文までのアキを0%にすると,数字なども含めてすべて0%になってしまうので,好みに応じて設定をどうするか詰めておく必要はあります。
しかし,いずれにしても,最近のDTPをやっている人の中には,ここのアキに対して何も感じないのか,まぬけに25%のアキが入った状態で初校が上がることが多々あります。
さて,ではどうすると美しくなるか。
とりあえずわたしの場合は,長体120%をかけます。
120%程度で,だいたい和文の天地のサイズと同じくらいになります。
もちろん,フォントによってデザインが違うので,一概に120%とは言い切れませんが,だいたいそんなもんです。
なお,ミスのもとなので,欧文には長体120%の指示はあまりいれませんが,やはり和文中で用いるのであれば,120%かけたほうがバランスがよいかもしれません。
先のものに長体120%をかけると,次のようになります。
さらに,ここからはこだわりすぎの話になりますが,m/s どのように,スラッシュの次が s のような小さいアルファベットの場合,スラッシュと文字の間がまだ空きすぎのように見えなくもないので,さらにカーニングで-125をかけることもあります。まあ,ほとんどしませんが…。
続いて,全角スラッシュについてのお話です。
学参では,モリサワフォントを使用することが多いのですが,このモリサワでよく使うリュウミンや新ゴなどの全角スラッシュは,同じリュウミングループの太さや新ゴグループの太さを変えても,全角スラッシュは太さが変わらないのです。
文字が太くなっているのだから,スラッシュも太くなって欲しいものの,欧文スラッシュしか太くなりません。
そのデザインが美しいと思ってモリサワさんはデザインされているのかもしれませんが,わたしにはしっくりきません。
こんな場合は,組版への戻しで「太くして」みたいに漠然と指示しますが,よいフォントがあれば,指定したいものです。
とりあえず,無理矢理同じフォントでやるならば,欧文スラッシュを平体200%,長体120%かけると,個人的にはバランスよくなると思います。
ただ,少し太すぎる印象もあるので,新ゴMの本文中に使うのなら,新ゴRくらいにしてもよいかもしれません。
いずれにしても好みの話なので,気にならなければそのままでもまったく問題ない話です。
とりあえずわたしは,これらスラッシュに,すごく気になってしまいます。