2009年9月11日金曜日

数字フォント

本文中の数字のフォントをどうするかで,よく迷います。

まずは全角と半角です。

この全角と半角という言葉も,校正をするうえで微妙な言葉ですね。

漢字やひらがななどの1文字分を全角,1/2文字を半角といいます。
だから,1/2文字分ではない英数字は,正しくは半角ではありません。

本文中で使用する英数字をCenturyOldなどの欧文に統一するのであれば,「欧文」という呼び方でもよいのかもしれません。

しかし,和文で使用しているフォントと同じフォントで英数字を入れるとき,何といったらよいのでしょうか。

とりあえずわたしは,「1バイトフォント」ということにしています。

和文などの全角文字は16ビット,つまり2バイトのデータ量でできており,欧文フォントなどは8ビット,つまり1バイトのデータ量でできています。

和文フォントセットにおいても,通称半角と呼んでしまう英数字は1バイトでできています。


だから,2桁の数字や英語の単語などが全角で入力されて組み上がってきたときなんかは,「1バイトフォントに修正」などと赤入れしています。

しかし,「半角」でも通じるので,校正者さんは「半角」で問題ないでしょう。


さて,わかりやすいように,MS Wordを例に説明しておきましょう。

Wordでよく使われるフォントに「MS 明朝」と「MS P 明朝」があります。
この「P」があるかないかは,等幅フォントかプロポーショナルフォントかの違いです。

「MS 明朝」は等幅フォントです。字のごとく,等しい幅のフォントです。
全角のひらがな・カタカナ・漢字・アルファベット・数字など,すべて同じ字送りで構成されます。
1バイトの英数字などは,半角(1/2角)でデザインされているので,2桁の数字は全角サイズ,4桁の数字は2文字サイズというように,きれいになります。

「MS P 明朝」のようなプロポーショナルフォントは,文字のデザインにあわせて字送りが変わるフォントです。なので,iやlのような幅の狭い字は字送りが狭く,MやWのような幅の広い字は字送りが広くなります。

これが,一概に全角・半角と呼べない理由です。



では,実際の仕事を考えてみましょう。

学参ではモリサワのフォントを多用しますが,モリサワのリュウミンなどの2バイトの数字と1バイトの数字のデザインのバランスが,どうも好きになれません。

OpenTypeFontとなり,CIDのときよりは1バイトと2バイトのデザイン差がなくなり,見栄えはよくなりましたが,それでも本文中で混在していると,すごく気になります。

OpenTypeの2バイトフォントの異体字の中に1バイトデザインに近いものもありますが,どうもしっくりくるようなこないような…。

そのため,編集者によっては,絶対に2バイトフォントは使わず,すべて1バイトフォントの数字を使用してしまう人もいます。

その際,1桁の数字の場合は前後をカーニングなどで空けて全角送りにしています。

わたしも本当はこのやり方にしたいのですが,時間がかかったり,組版さんが意図をくみとってくれなかったりと手間がかかってしょうがないので,1桁は2バイト,2桁以上は1バイトとしてしまっています。

しかし,正直なところ,気持ち悪さが残ります。

それでも,CIDのリュウミンLの1バイトフォントがTimesNewRomanであったことに比べれば,かなり違和感は少なくなったので,CIDを使っているころよりはよくなりましたが,やはり妥協しない組版レベルにしたいものです。

やはり,現段階ではすべて1バイトフォントの英数字にしてもらって,カーニング処理がいちばんよいのかな…。



いずれにしても,校正していて,2バイトフォントと1バイトフォントが混在していたら,違和感を覚えるようになれば,校正力も1ステップアップといったところでしょうか。


ところで,Wordで原稿等を書くときの英数字のフォントはどうしていますか。
わたしなんかは初期設定のCenturyが気に食わないので,日本語用のフォントが「MS 明朝」ならば,基本的に英数字用のフォントは「MS P 明朝」にしています。