教材を作っていれば,選択問題の校正をすることもあると思います。
「次のア~エの中から最も適当なものを選び,記号で答えなさい。」といったたぐいのものです。
校正の基本としては,まずは上記の文の「ア~エ」という部分と,続いて出てくる選択肢が,正しく ア,イ,ウ,エ の4つであるのかをチェックします。
しかし,ときどきこの基本的な校正を漏らしてしまうことがあります。
鉛筆で斜線を引きながら文章中の“ア”と“エ”を消しこみ,選択肢をアから順番に消しこんでいるのに,無意識のうちに ア,ア,ウ,エ となっているのに気づかない…何てこともあります。
数字の連番をチェックするときもそうですが,文字をちゃんと画像として捉えないために,校正漏れしてしまうのだと思います。
頭の中で,ア,イ,ウ,エと唱えているだけでは駄目ですね。
ちゃんと1文字1文字を拾っていかなければなりません。
また,選択肢がア~カの6つなのに,問題文中が「ア~エ」となっていても気づかないこともあります。
このようなことも,しっかり文字を拾って,さらに鉛筆で消しこんで,丁寧に校正する必要があります。
ここまでは校正の文字校正レベルの基本事項ですが,もちろん選択肢の内容的なチェックもちゃんとしなければなりません。
基本事項としては,選択肢の重複がないかどうかです。
中学理科までは比較的選択肢は少ないのでそのようなミスは少ないのですが,大学入試問題を改題した場合など,理科ではかなりたくさんの選択肢が並べられている問題をみかけます。
そのようなとき,しっかり鉛筆で選択肢を1つずつ消しこんで,選択肢の重複がないかどうか確認する必要があります。
また,内容的なチェックとしては,正答が間違っていないかどうかをチェックするのは当たり前ですが,それ以上に,間違いの選択肢が本当に間違いかどうかをチェックするのを怠ってはいけません。
これも選択肢が増えれば増えるほど,また大学入試レベルになればなるほど,原稿段階,初校段階,また再校段階でさえも,選択肢の中にある間違いのはずの選択肢が,意外と許容解になってしまう場合があります。
これらは,分かったつもりで校正してしまいっているためにやってしまう見逃しが多いと思います。
間違いの選択肢が間違いだと思っていても,意外と自分の知識外の部分で許容解が隠れているのです。
中学理科ではなかなかありませんが,大学入試レベルの問題を制作しているときに,よくひやひやされます。
また,最近では中学入試対策の問題でも,そのようなことがありました。
自分の知っていると思っていた,また多くの人がそう思っているだろうと考えられる常識が,意外と正しくなかったというものです。
模試の問題なのでここでは書きませんが,驚きました。
外部校正者の方からの指摘で知ったのですが,私も知っていたつもりで見逃してしまいました。
さらに,捨て選択肢についても,気にかけたほうがよいでしょう。
選択肢の中に,理科とは関係のない選択肢が入っているのは,あまり芳しくありません。
理科の用語ではありえない造語なども,芳しくありません。
高校入試であれば,教科書で扱われている用語からしか選択肢は出されません。
それなのに,まったく教科書で見ないような用語を選択肢として載せた問題集やテストを提供していては,教材の質としては疑問を感じてしまいます。
というわけで,選択肢のチェックも奥が深く,みっともないミスが意外と出てしまう場所なので,1つ1つの選択肢を丁寧に確認し,校正漏れを減らすように心がける必要があると思います。