リットルの表記には,小文字のエルのイタリック l や,手書きのイタリック ℓ ,大文字ローマン のエル L などが使われています。
しかし,現在の中学理科や高校化学の教科書類では,大文字ローマンの L でほぼ統一されていると思います。
(生物などでは,小文字エルのイタリック l を,まだ使用していることがあります)
この大文字ローマンになったのは,現在の教科書からで,それより前は小文字エルのイタリック l が主流だったと思います。
さて,なぜ大文字ローマンの L になったかというと,国際単位系(SI)に準じることになってきたからだと思います。
リットル自体はSIの単位ではないのですが,SIとともに併用される単位に含まれます。
このとき,SIの表記のルールとして,
「書体は立体活字(ローマン体)で,人名に由来する場合には記号の最初の
文字のみ大文字,他は小文字[例:m, s, cd, N, Pa,Hzなど]とする。 」
となっています。
つまり,リットルは,小文字ローマンの l を使用することになります。
しかし,小文字の l は数字の 1 と似ているため,混同するのを避けて大文字ローマンの L を併用することに1976年に決められ,使用状況を見ながらどちらかを将来的には削除することになりました。
(小文字 l の使用は,1879年に決定)
この併用については2006年発表の国際文書第8版でも変更されていません。
つまり,小文字のイタリックで表記するというルールは国際的にはないため,教科書類ではこのSIの文書にのっとり,大文字ローマン L を使用することとなったのだと思います。
そのようなわけで,現状の中学理科教科書と高校化学教科書は大文字ローマン L が使用されているのですが,なぜか高校生物などでは小文字のイタリック l を使用してる場合もあります。
いずれにしても,今後の流れとしては大文字ローマン L での表記が中学以上の教材での主流となると思いますので,意識しておいたほうがよいと思います。
もちろん,教材以外では混在して利用されているので,この限りではありません。
なお,国際単位系(SI)についての詳細は,以下よりご覧ください。
http://www.nmij.jp/library/units/si/