2009年9月9日水曜日

移行措置の話

今年から中学校の理科と数学において,学習指導要領の前倒し実施が始まりました。
広く移行措置と呼ばれ,平成24年度から実施の新指導要領の一部を,教科書のほかに配られる補助教材や移行教材と呼ばれるものを用いて授業をすることになっています。

その移行措置1年目の今年は,中学理科では,1年生と3年生が移行措置を行っております。

たとえば,1年生では「力とばねののび」「重さと質量」「水圧・浮力」「代表的なプラスチック」「粒子のモデル」「質量パーセント濃度」「シダ植物とコケ植物」「代表的な火成岩」「断層と褶曲」などが新たに加わり,指導が始まっています。

3年生では,「仕事とエネルギー」「水溶液とイオン」「遺伝の規則性と遺伝子」「月の運動と見え方」が新たに加わり,今年から指導が始まっています。

さて,教材をつくる上で重要な教科書情報に準じるものとして,移行措置においては補助教材の情報入手が必要です。

もちろん,かつての教科書や新学習指導要領から,およその内容を予測することは可能です。
しかし,学校のテストや入試は教科書や補助教材にそって出題されますので,補助教材に載っているのに,教材会社が作った教材にその内容が載っていないというのでは困ります。

そのようなわけで,何とか移行措置の情報を入手したいと思うものの,そういうわけにもいきません。

そんななか,現在,各社22年度の移行措置にどう対応するか検討していたり,場合によっては,予測のもと作り終えてしまっている会社もあるでしょう。

ちなみにうちは,もろもろの事情から,ほぼ作り終えました。
文科省からの移行措置の概要や学習指導要領解説,および過去の教材や教科書をもとに予想しての作成です。

疑問点は多々残っております。
たとえば,22年度から移行措置が始まる2年生において,新学習指導要領では「進化」について,「脊椎動物を例にあげる」ということになっています。
しかし,かつて進化が扱われていたころは,植物の進化も取り扱われていましたが,今回はどうなのかわかりません。
また,1年生で種子をつくらない植物のなかまでは,シダ植物とコケ植物は扱われていますが,藻類は扱われていません。これは,藻類の分類には微妙な部分が多々あるからだと思われます。
そのため,植物の進化を扱ってよいという判断がくだされた場合,どのような表現をとるのかも想像の域を出ません。

さらに,3年生から下りてくる「酸化と還元」,および「化学変化と熱」については,現行の教科書を用いて指導することになると考えられますが,2年生の段階では未履修の内容などが含まれているため,その部分の扱いをどうするかなど,微妙な部分が多々残ります。

いずれにしても,教科書会社から文科省への補助教材の提出の第1回目が8月末だったようですので,現段階では何も結論は出ていません。

最終的な補助教材がどのようになるか,不安と楽しみが入り混じっております。