2010年2月9日火曜日

放水曲線

新学習指導要領では,水圧が扱われることになりました。

それにともない,平成21年度から移行措置でも水圧が扱われ始めました。

その水圧のところで,穴を空けた円柱に水を入れたときのようすを,図版で表現することが出てきました。

そんなとき,いかにその図版を正確に描くかが問われるようになりました。


まずは,基本を押さえておきます。

円柱から放出される水は,落下運動を行っています。

水平方向には等速で運動し,垂直方向には自由落下運動をしています。

つまり,作図をするときに問題となるのは,垂直方向の運動です。
(水平方向は等速なので問題ありません。)

自由落下する運動は,初速が0,加速度が g のとき,t 秒後の移動距離 y は,次のように示されます。

  y = 1/2 gt ^2

つまり,二次関数を示しますので,そのグラフは放物線を描きます。

よって,放水曲線も放物線になるわけです。


また,水圧は深さに比例する(10mごとに1気圧大きくなる)ので,深さによって放水曲線を描く場合も,それを考慮しなければなりません。


たとえば,等間隔に4箇所穴を空けた円柱に水を入れたときを考えましょう。

そのときの放水曲線は下向きの放物線を描くので,仮に一番上の穴から出る水の放水曲線を次の式とします。

  一番上の穴 y = - x ^2

水圧は深さに比例するので,水深が深くなるほど水の出る勢いは強くなります。

よって,一番上の穴から出る水の放水曲線を上式で表した場合は,上から2つ目の穴,3つ目の穴,4つ目の穴から出る水の放水曲線は,次の式で表すことができます。

  2つ目の穴 y = - 1/2 x ^2

  3つ目の穴 y = - 1/4 x ^2

  4つ目の穴 y = - 1/8 x ^2

これをグラフに表してみましょう。

何を使って表すかというと,Excelです。

Excelも使いこなせれば,いろいろとできるソフトです。

次の図が,Excelで作図したものです。




どのように作図したかというと,

・A列に -15~15 の x 軸の値を入れます。
・B列からE列に上記4式とA列との計算式を入れます。
 (もちろん y 切片が異なるので,それを考慮します。)
 たとえば,セルB2は,「=-1/8*A2^2-15」という式が入っています。
・これらをグラフウィザードでグラフ化します。

入力したのが,次の図です。




そして,できた図をWordで加工して,円柱から水が出るようすの図を作成してみました。



これをもとにイラストレーターさんに作図してもらえば,それなりの放水曲線の図ができると思います。