新学習指導要領では,水圧が扱われることになりました。
それにともない,平成21年度から移行措置でも水圧が扱われ始めました。
その水圧のところで,穴を空けた円柱に水を入れたときのようすを,図版で表現することが出てきました。
そんなとき,いかにその図版を正確に描くかが問われるようになりました。
まずは,基本を押さえておきます。
円柱から放出される水は,落下運動を行っています。
水平方向には等速で運動し,垂直方向には自由落下運動をしています。
つまり,作図をするときに問題となるのは,垂直方向の運動です。
(水平方向は等速なので問題ありません。)
自由落下する運動は,初速が0,加速度が g のとき,t 秒後の移動距離 y は,次のように示されます。
y = 1/2 gt ^2
つまり,二次関数を示しますので,そのグラフは放物線を描きます。
よって,放水曲線も放物線になるわけです。
また,水圧は深さに比例する(10mごとに1気圧大きくなる)ので,深さによって放水曲線を描く場合も,それを考慮しなければなりません。
たとえば,等間隔に4箇所穴を空けた円柱に水を入れたときを考えましょう。
そのときの放水曲線は下向きの放物線を描くので,仮に一番上の穴から出る水の放水曲線を次の式とします。
一番上の穴 y = - x ^2
水圧は深さに比例するので,水深が深くなるほど水の出る勢いは強くなります。
よって,一番上の穴から出る水の放水曲線を上式で表した場合は,上から2つ目の穴,3つ目の穴,4つ目の穴から出る水の放水曲線は,次の式で表すことができます。
2つ目の穴 y = - 1/2 x ^2
3つ目の穴 y = - 1/4 x ^2
4つ目の穴 y = - 1/8 x ^2
これをグラフに表してみましょう。
何を使って表すかというと,Excelです。
Excelも使いこなせれば,いろいろとできるソフトです。
次の図が,Excelで作図したものです。
どのように作図したかというと,
・A列に -15~15 の x 軸の値を入れます。
・B列からE列に上記4式とA列との計算式を入れます。
(もちろん y 切片が異なるので,それを考慮します。)
たとえば,セルB2は,「=-1/8*A2^2-15」という式が入っています。
・これらをグラフウィザードでグラフ化します。
入力したのが,次の図です。
そして,できた図をWordで加工して,円柱から水が出るようすの図を作成してみました。
これをもとにイラストレーターさんに作図してもらえば,それなりの放水曲線の図ができると思います。