最近は,MS Wordで原稿を執筆することも増えていると思います。
原稿で最も重要なことは内容であることは覆りませんが,それでもきれいな原稿をWordで仕上げることができたらちょっとうれしいかもしれません。
ただし,最初に注意しておきたいのは,どれだけきれいな原稿をWordでつくっても,そのデータはテキストデータとして用いられるだけで,結局はInDesign等のDTPソフト等で組みなおされます。
そのため,Wordできれいに仕上げることに気をとられ,内容がおろそかになってしまっては元も子もありません。
それを踏まえたうえで,もしWordできれいに原稿を執筆することに興味がある方がいたら,ちょっと挑戦してみてください。
というわけで,今回から少しずつ,Wordで原稿をきれいに書く方法を記していきたいと思います。
なお,現在最も多くの方が使われているであろうWord2003が自宅にはなく,Word2000とWord2007しかありません。
しかし,Word2000はWord2003と操作方法が近いので,Word2000をベースに説明いたします。
まず,第1回として,まずは級数とポイントの換算からです。
Wordでページ設定をする際に,実際の版面と字詰め行数に近づければ,実際の仕上がりに近い原稿ができ上がります。
そのとき,Wordの文字サイズの単位はptですが,実際の仕上がりの単位は級を用いることが多いことです。
1ptは1/72インチで,1インチ=25.4mm,つまり1pt=約0.353mmとなり,きれに割り切れる数値になりません。
そのため,完全に同じ版面と字詰め行数にあわせたページ設定はできませんが,この値をもとに,実際の紙面に近づけることは可能です。
では,仮にA4判で,14級24歯,50文字×44行,天15mm,地23.5mm,ノド20mm,小口15mmという紙面設定の場合を想定してページ設定をしてみましょう。
まず,1級をptに換算すると,1級=0.25mmなので,1級あたりのptをx〔pt〕とすると,
0.25〔mm〕:0.353〔mm〕=x〔pt〕:1〔pt〕
x≒0.708
となります。
つまり,14級≒9.9pt,24歯=17.0pt となります。
この値をもとに,版面のサイズを計算すると,
9.9〔pt〕×50〔W〕×0.353〔mm〕≒174.7〔mm〕
(17.0〔pt〕×43〔L〕+9.9〔pt〕)×0.353〔mm〕≒261.5〔mm〕
となります。
このとき,天・地・ノド・小口を完全に同じ値で設定することはできませんので,どちらかのみをそろえることとします。
たとえば,天と小口を実際の値とそろえたときの,地とノドのサイズは,
地……297-261.5-15=20.5〔mm〕 (297mmはA4判縦のサイズ)
ノド…210-174.7-15=20.3〔mm〕 (210mmはA4判横のサイズ)
となります。
これらの値を用いて,ページ設定をしてみましょう。
まず,文字サイズが9.9ptですので,「フォント」で文字サイズを設定しておきます。
ただし,9.9ptは設定できないので,10ptで設定します。
次に,「ページ設定」の「余白」設定で,先の数値を当てはめてみます。
このとき,「見開きページ」にチェックを入れます。
続いて,「ページ設定」の「文字数と行数」で,「文字数と行数を設定する」をチェックし,50W×44Lにします。
すると,字送りが9.9pt,行送りが16.8ptに自動設定され,実際の紙面に近づきました。
値がピッタリ一致しないのは,単位換算のときにきれいに割り切れないために,概数にしてしまっているからです。
なので,若干微調整しまてみましょう。
下の余白の値を18.5mmにすると,行送りが16.95ptになりましたので,行送りが実際の値に近くなりました。
いかがでしょうか。この程度までそろえられれば,実際の仕上がりをイメージした原稿が書き始められそうです。