2010年2月2日火曜日

P波とS波

P波とS波が伝わる速度を求める問題がときどき出題されます。

実際の地震によるデータを用いた問題であればよいのですが,ときどき架空の地震を想定したオリジナルデータを用いて問題が作られることもあります。

そんなとき注意したいのが,P波とS波の伝わる速度です。

物理的に起こっている縦波(P波)と横波(S波)なので,起こりえない速度であってはいけません。

いっぱんに,地表付近の岩石中を伝わるP波の速度は5~7km/s,S波の速度は3~4km/sと教科書には記されています。

なお,この「地表付近」というところが重要で,深くなると速度が変わるので注意が必要です。

また,P波は固体・液体・気体中を伝わりますが,S波は固体中しか伝わりません。

そのため,液体である外核にはS波は伝わりませんし,固体のマントルから液体の外核に変わることでP波の速度も変わり,速度が遅くなります。

これがモホロビチッチ不連続面です。中学では扱いませんが,このような変化が起こるので仮想設定をする際は注意が必要ですし,できればというか基本的には無理な仮想設定はしないほうがよいでしょう。

また,マントル中であっても,先にも述べましたように深いほど波の伝わる速度が速くなるので,震源地と観測地点が極端に遠いような問題設定には無理が生じやすいので,気をつけましょう。

といっても,中学では日本近辺のみでの設定しか用いないと思うので,そこまで気にする必要はありませんが…。

なお,震央距離が100~600km程度の地震に対しては,初期微動継続時間〔s〕と震源までの距離d〔km〕の間には,dkT (ただし,k は比例定数で,いっぱんに k=6~8km/s)の関係があります。

これを大森公式といいますが,校正での条件設定確認等で用いることができるので,知っておくとよいかと思います。