2010年2月23日火曜日

吸収

2分野の2年生の内容,消化と吸収のところについて,今回は記しておきます。

消化によってできたブドウ糖やアミノ酸,脂肪酸,グリセリンなどが体内に取り込まれるときの表現は,例えば東京書籍の教科書では,次のようになっています。

『ブドウ糖とアミノ酸は,柔毛で吸収されて,毛細血管に入る。』
『脂肪酸とグリセリンは,柔毛で吸収されたのち,再び脂肪酸になってリンパ管に入る』

ここで気にして欲しいのが,

『柔毛で“吸収”されて,毛細血管に“入る”』
『柔毛で“吸収”されたのち,再び脂肪酸になってリンパ管に“入る”』

というように,“吸収”と“入る”が使い分けられていることです。


「吸収」は,大日本図書の教科書では,

『消化された養分が消化管の中から体内にとり入れられること』

と定義されています。


また,岩波生物学辞典では,

『消化管壁からの栄養素のとりいれ』

と定義されています。


このことより,消化管である小腸の壁,つまり小腸の表面の柔毛からブドウ糖,アミノ酸,脂肪酸,グリセリンなどの栄養分が,体内に取り入れられることを「吸収」と呼ぶということが分かります。

対して,毛細血管やリンパ管は消化管壁ではないので吸収ではありません。
だから「入る」という表現を使っているのだと思います。

教材を見比べていると,毛細血管やリンパ管に入ることも「吸収」と言っているものをときどき見かけます。

教科書も使い分けていますので,注意したほうがよいでしょう。